「時すでにおスシ!?」と重なった、50代がゼロから学ぶ話|「ようやくカレッジに行きまして」感想
ドラマ「時すでにおスシ!?」を見て、光浦靖子さんの「ようやくカレッジに行きまして」を思い出しました。
50代でシェフ養成カレッジに飛び込んだ2年間の感想と、「助けを求めることが恥ずかしくなくなった」という変化の話です。

時すでにおスシを見てこの本を手に取った
ドラマ「時すでにおスシ!?」を見て、しまいこんでいた光浦靖子さんの本を取り出しました。
「ようやくカレッジに行きまして」です。
ドラマ「時すでにおスシ!?」主人公・みなとは50歳のシングルマザーで、息子が独立したあとに「3カ月で鮨職人になれる」鮨アカデミーへ入学します。
厳格な師匠のもとで修業を積みながら、「遅い」とは誰にも言わせない日々を描く作品です。
TBS系の火曜ドラマで、永作博美さんが2026年4月から主演しています。
「どこかで見た構造だ」と思って本棚をさがしたら、積んでいた「ようやくカレッジに行きまして」が出てきました。
50代の女性がプロの料理学校にゼロから飛び込む。
厳しい師匠とぶつかりながら変わっていく。
「遅い」とは誰も言わない──。
ドラマと本書は別の作品です。でも構造が重なります。
みなとが画面の中にいる。
光浦さんは本の中にいた。
2つが頭の中で重なって、積んでいた本を開きました。
「ようやくカレッジに行きまして」という本
光浦靖子さんが50代でバンクーバーのカレッジに飛び込んだ2年間のエッセイで、2025年10月に文藝春秋から発売されました。
50代のシェフ養成コースに2年間通ったエッセイ
2022年夏、光浦靖子さんはバンクーバーの公立カレッジのプロのシェフ養成コースに入学しました。
芸能の仕事をいったん離れ、英語もほとんど通じない環境で2年間の学生生活が始まります。
「軍隊のような厳しさ」とも言われる授業の中で、言葉の壁・肉体的な疲労・多国籍クラスメイトとのトラブルを経験する。
それでも笑いを交えながら書かれていて、告白本でも感動の手記でもなく、エッセイとしての落ち着きが独特です。
前作ようやくカナダに行きましてとの連続性
前作「ようやくカナダに行きまして」(2024年9月・240ページ)はカナダへ渡るまでを書いた1冊で、本書は前作の続きにあたります。

2冊通して読むと、「渡航前の自分」と「2年後の自分」の落差が大きい。
光浦さんが変わっていく全貌を、より鮮明に追えます。
楽天ブックスでは2冊とも購入できるため、前作からまとめて読んでみてください。
助けを求めることが恥ずかしくなくなった話
読んで最も残ったのは、光浦さんの中で起きた「変化」の話でした。
言葉も技術も体も追いつかない中で変わったもの
言葉が通じない、技術が足りない、体が追いつかない──3つが同時にのしかかる環境で、光浦さんに起きた最大の変化は「助けを求めることへの抵抗がなくなった」ことです。
「できない」を認めて声に出す。
最初からできていたわけではありませんでした。
それでも徐々にできるようになったプロセスが、読んでいると自分への問いになってくる。
50代でゼロから学ぶことの怖さと解放感が、同時に描かれています。
全部が今の自分を作っているという統合の感覚
「全部が今の自分を作っている」感覚は、本書を読んだ読者の多くが言及するテーマです。
過去の選択・苦労・失敗が全部意味を持つという視点は、特に中年以降に刺さります。
淡々とした文体の中に、温かみがある。
「告白本」でも「感動の手記」でもなく、エッセイとしての落ち着きで読める点が特徴です。
読んでいて光浦さんが他人事でなくなった話
読んでいて、光浦さんを「遠い話の人」として見ていられなくなりました。
羨ましいと思った気持ちの正体
光浦さんの選択を読んでいると、羨ましいという感情が浮かんできます。
「夢があるから羨ましい」ではありません。
「役割や慣習から抜け出して、自分のためだけに動いている」という部分です。
ドラマのみなとも、同じ構造で動いています。
息子が独立したあと「自分の時間」が来た瞬間に飛び込んでいく。
みなとの姿を見ながら「羨ましい」と「自分はどうする」が交互に浮かびます。
50代でゼロから始めることへの憧れと怖さ
光浦さんもみなとも、怖くなかったのか──そういう問いが自然に浮かぶ。本書を読んでいくと、怖くなかったわけではないとわかります。
それでも動いたという話です。
50代という年齢を「遅い」と見るかどうかは、結局自分が決めます。
光浦さんの2年間を読み終えて、「遅すぎる」を言い訳にしてきた時間のことが少し気になってくる。
ドラマを見るのとは、また違う感触がありました。
こんな人に読んでほしい
本書は決して軽い読み物ではないけれど、読んで損はありません。
特に手に取ってほしいのは、こんな人です。
ドラマ「時すでにおスシ!?」を見て、みなとが他人事でなかった人
「もう遅い」と自分に言い聞かせてきた人
50代以降のゼロからの挑戦が、他人事でなくなってきた人
楽天ブックスで2冊とも購入できます。
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