読書:「藍を継ぐ海」を読んで、自分は何を継いでいくんだろう?
今どう生きていくかを考えさせられる本でした
「藍を継ぐ海」 (伊予原新 著 : 新潮社 2024年)をオーディオブックで聴き終えました。
直木賞受賞の本作、かなり読み応えのある内容でした。
5つのお話の感想をサラッと紹介します。
夢化けの島
代々続く萩焼を復活させたい謎の男と、それに協力する女性地質学者のお話。山口の見島で伝説の土を探す内に、2人の絆が深まります。
焼物の技術を継承していくのって大変なんだと知りました。不器用で言葉足らずな2人を応援したくなります。
狼犬ダイアリー
絶滅したはずのニホンオオカミを、近所の少年と探しに行くフリーのWEBデザイナーのお話。
都会から田舎へ移住する若者。リアルな実情が丁寧に描かれます。
さらに狼犬の気高くて、圧倒的な存在感に魅了されます。
祈りの破片
ある空き家に残された、長崎の原爆についての数々の資料や瓦礫の破片から家の主の生き様を探る、市役所職員のお話。
主人公も聞き手も、最初は役所仕事がとてもつまらないと感じますが、大切な歴史を守り抜く、とても意義のある仕事だと思い直す事が出来ました。
星隕つ駅逓
北海道遠軽町で発見された隕石を巡る、郵便局勤めの夫とその妻、さらにその父についてのお話。
近々無くなる予定の田舎の郵便局と、突然落とされた隕石によって話題になりそうな町。
老いていく父と、もうすぐ産まれる新しい命。
2つのテーマが重なっていく展開が上手いなと思いました。
藍を継ぐ海
徳島県姫ケ浦でウミガメの産卵と子亀の巣立ちを見守る少女のお話。
年々減っていくウミガメの産卵。それを守りたい主人公サツキは、自身の複雑な生い立ちを子亀に重ね合わせているようでした。
中学生の揺れ動く繊細な感情を丁寧に描いています。
⟡.──────────── .⟡
伝統や、自然を守り抜くこと
萩焼という伝統、消滅していく野生動物、風化していく戦争の歴史など。語り継がなければいけないものがテーマの本作。
読んでいると、全部無くなって欲しくないと自然に思えます。
今を懸命に生きる
どの話の主人公達も自分の仕事をなんとか誇りに思いたくて、一生懸命でした。やりがいとは何かを考えさせられる話ばかりでした。自分の仕事が、地味で先の見えない仕事かもしれない。そんな不安を抱えながらも今やれることを懸命にやる。
少し前向きになれる本です。
1話1話がどれも良かったです。
静かに、でも希望を残して終わる話でした。
フィクションではあるけれど、各地域や専門家に取材をかなりしているようで、現状を伝えてくれます。
気になっていたので、読めて良かったです。
大どんでん返しとか、あっと驚く展開ではないのに、読後に満足感があります。
最後まで、読んでいただきありがとうございます😊
