見出し画像

海の猫 シロクマ文芸部


「海の猫」という言葉から、何を連想するだろう。

朝から夕まで、砂浜に打ち寄せる波を眺めている海辺の地域猫だろうか。
あるいはウミネコを思い浮かべるかも?
海を泳ぐ猫、未知のクリーチャー。
それは深海生物、漁師を救う神の使い、未来のAI兵器だろうか。

海を宇宙と解釈してもよいかもしれない。
遠く大宇宙の海原を望む、
宇宙船に乗せられた幸運を呼ぶマスコットのシップキャット。

様々な物語の欠片が脳裏の海岸に漂い、
波となって打ち寄せて、
忘却の彼方へと退いていく。

海そのものがソラリスのごとく意識を持った猫であるとか。
いいかもしれないな。

猫を構成するイメージが、柔らかく、ふわふわと飛び交い、大海の中に溶けて融合していく。
陽だまりに溶ける肉球。揺れ動く尻尾。
懐かしく、眼を閉じて、身体を委ねたくなる。

そして、いつしか、
私自身が海となり猫となり、海の猫となっている。
どうでもいい、たわいもない、
居眠りの狭間に見た夢。

眠くなった海の猫は、寝返りを打つ。

大きく身じろいだ海が、猫の津波となり、私を呑み込んでいく。

溶けてしまいたい。

そんな夢を見ても、良いのだと思う。


【了】



シロクマ文芸部、滑り込みですが、初参加します。

いいなと思ったら応援しよう!