ディスクユニオンの『280円のCD』のタダ感は異常
人間誰しも、なんとなく入ったコンビニエンスストアで買い物をした際、商品の合計金額の思いがけない高さに驚いた経験があるのではないだろうか。
おにぎりとペットボトルと、あとは軽くつまむお菓子と…
だいたい400円ぐらいになることを予想してレジに持っていくと、案外600円近くまでいってしまったりするあれだ。
実際、インターネットで行われた調査でも、コンビニでの買い物後、合計金額を見て「思ったより高い」と感じたことがある人は76.2%にまで及ぶらしい (出典:株式会社クロス・マーケティング「コンビニエンスストアに関する調査/2026年) 。特に名前がついているわけでもないが多くの人が共感するコンビニでの現象。
私は日々の中で、コンビニ以外の場所でこの現象と全く同じ感情を抱く瞬間がある。
それがディスクユニオンで、中古CDを買う瞬間だ。
私は基本レコード派で、CDを買う際はボーナストラックが収録されていたり、サブスクに存在していない作品を中心に買い集めている。
その際、レコード/CDチェーンとしてはやはりディスクユニオンには圧倒的にお世話になることが多い。
品揃えの豊富さやジャンル分けの丁寧さはもちろん、値段感もしっかりしているので、棚の前で時間をいくらでも溶かせる。
特に、新宿のユニオンタワー7階『インディ/オルタナティブロック館』は90年代以降のオルタナのCDしかない上、エレクトロニカや実験音楽コーナーも設けられており、(前よりも縮小してしまったが)100円CDコーナーもあるという贅沢っぷり。
新宿で予定があるたびについ寄ってしまう。
最近、私はそんなユニオンでCDを購入するたびに前述した、『思ったより高い現象』に直面している。
それにも仕方がない理由がある。
タイトルにもある通り280円や、さらに安いと100円のCDを買う際、まさにコンビニでおにぎりやペットボトルを選ぶときのように、合計金額を一切加味せずどんどん買う決断を重ねていってしまうのだ。
なにしろ『280円のCD』は買うハードルがあまりにも低すぎる。正直、印象としては買うよりも『タダでもらっている』に近いまである。
そして、『100円のCD』はタダだ。私たちは100円をCDに支払っているようで、支払っていないのだ。
近年のレコードブームや円安の影響もあり、新品の値段の高騰はもちろん、中古品も全体的にきちんとしている価格印象の高いLP市場や、なんやかんや3000円台前半がボリュームゾーンな気もする新品CD市場と比較すると、中古CD市場はまだまだ優しい世界。
280円CDや100円CDに限らず、全体的に安価な印象がある。
自分は普段ユニオンでは、LP棚をじっくり見切った後に中古CD棚に移動するので、中古CDの安い雰囲気をより強く感じてしまっているのもありそうだ。
ただ、280円という値段、コンビニでいうと滅多に買わない、いくらとかたらこの入った海苔のついていないゴージャスなおにぎりと肩を並べられる値段。
280円CDを4枚買えば普通に1000円に届いてしまう。
それらのCDを『タダ』感覚で買ってしまうのはとても危険だ。
また、280円の『80円』の部分が意外と大事である。
ユニオンでは全ての1000円以下の中古CDの10の位が一律80円に設定されて売られている。(おそらく)
この80円、繰り上げるには少し余白がある気がして、いつも自分は80円を切り捨てて値段として捉えてしまうのだ。
つまり自分は280円を4枚買う際、
[だいたい200円のCDが4枚=800円とちょっと?]という結論に至っていることになる。
自分の金銭感覚がバグっている結果ではあるが、これは『思ったより高い現象』に直面しても無理はない。
中古CDを買うときは、随時合計金額を想定しながら買うようにしないと。
最後に、私が最近ユニオンで買った280円のCDたちを紹介したい。
ユニオンに行けば、こんな素晴らしいCDも280円=タダで買えちゃうんだ!と思っていただければ。
①AOKI takamasa(青木孝允)/FRACTALIZED

ドイツ・ベルリン在住の電子音楽家、青木孝允氏が2003年から2009年までに発表したリミックス作品をまとめた2010年の作品。
坂本龍一を始め、豪華アーティストの作品の音源と、自身の曲のセルフ・リミックスが織り交ぜられた構成。
サブスクで配信が無く、発見して即購入。
5曲目、教授の『WAR&PEACE』のリミックス版を原曲と聴き比べるのが楽しい。
②ジェフ・ミルズ/THE OTHER DAY

デトロイト・テクノの大巨匠ジェフ・ミルズ師匠の1992~1996年の作品をまとめた1997年のベストアルバム。師匠本人の楽曲解説を含んだライナーが付属しており、それだけで全然280円以上の価値あり。
あと日本限定ボートラが3曲も入ってる。
師匠の作品はサブスクに全然無く、値段に関係なく見つけたらすぐ買っちゃうなー。
③hurricane#1/hurricane#1

RIDEのソングライター/ギタリストとしてはもちろん、復活したOasisのベーシストとしてもお馴染みアンディ・ベルが、RIDE解散後の1996年に結成したhurricane#1の1997年のデビューアルバム。
こちらもアンディのエピソードが読める内容たっぷりのライナーノーツ付属。
アルバム2枚を残して早々に解散してしまったバンドだが、全曲をアンディが作詞作曲しており十分聴く価値がある(意外と全英11位と売れてもいる)。
全然サブスクにもあるが、RIDE関連の作品は全部CDを買うようにしているためゲットしてしまった。
④スティーブ・ライヒ/ライヒ:ベスト

1999年に発売された、ミニマル・ミュージックの巨匠スティーブ・ライヒの、ワーナーによる独自企画ベスト盤。ライヒ本人による選曲に加え、ライヒのコメントも交えた20ページ以上に渡る分厚いライナー付き。
ちょうどミニマルを知りたい自分にとってうってつけの作品だった。
テリー・ライリーの『in C』も同じタイミングで買ったが、そちらは680円した。
皆さんもぜひタダ感覚で280円のCDを買ってみてほしい。
