モンローブロッサム Episode. 14【私の何が知りたいの】:街のパイロットとよね子さんの伝言
「権蔵さ〜ん! 権蔵さ〜ん!」
モンローの木の葉がざわついた
サンダル履きにエコバッグを揺らし、ガハハ!と笑い、拡声器いらずの声でよね子さんが叫んでいる
パチンコ好きで威勢のいい彼女の登場に、権蔵さんは内心「ヤバイ!」と苦笑い!
権蔵さんはポストマン
だが、ただの郵便配達員じゃない
ちょっといかしたナイスガイだ
ニューヨーク仕込みの最新マシンに跨り、青いカモシカのような操縦席と、巨大なアヒルのくちばしを携えて、街の角をゆっくりと曲がってくる
かつての箱型車を乗り捨て、彼はパノラマの視界を手に入れた
足元に咲く名もなき花や、駆け寄る仔犬
そのすべてを映し出す広大なフロントガラスは、誰の日常も傷つけない優しさに満ちている
巨大なガラス張りのコックピットに座り、「今日」という名の一通を未来へ届ける街のパイロット
ネイビーブルーのボンバージャケットで、サッチェルバッグを肩に掛け、彼は颯爽と降りてきた
よね子さんが、弾丸のような勢いで詰め寄る、そしてまたもや、ガハハと笑う
「権蔵さん!今夜、私は留守だから、
パパに会ったら『全自動卵洗い機のスイッチをオンにして』って伝えといて!」
全自動卵洗い機……?
一瞬、頭の中に疑問符が浮かんだが、権蔵さんは「了解でーす!」と鮮やかに敬礼!
何事もなかったようにマシンに飛び乗り
再び街へと消えていった
逞しく任務をこなす権蔵さん
名前は鬼瓦権造とかなりイカツイが実は、ポエム教室の常連というロマンチストな一面もある
とびっきり繊細な詩を書くのだ
よね子さんが、彼をお気に入りなのも頷けるというものだ
風に揺れるモンローの木も、二人の微笑ましいやり取りを、いつも楽しく見守っているのです
※ 鬼瓦権蔵さんのお名前にインスピレーションを受けて、勝手に物語のキャラクターとして登場させてしまいました。
もしお困りでしたら、すぐに修正しますのでおっしゃってください。
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Now for the main poem.
剥げかけのマニキュア、パチンコ台の光、焼酎のソーダ割り
幸せかと言われれば首を傾げるけれど、不幸と呼ぶには生々しすぎる
「心をどこかに逃がしておかないと、狂おしい」
そう呟く一人の女性の、孤独で、けれども確かな体温を感じてください
【 私の何が知りたいの 】
白髪が伸びて赤茶けた髪に
櫛を入れることもしない
剥げかけのマニキュアを
塗り直すこともない
鏡に映る自分を他人のように眺め
誰に見せるわけでもなしと言いながらも
身体をブルブル、ダイエットマシーンで震わせる
パチンコ台の前で脚を組み
メンソールタバコ吹かして
流れる玉を眼で追い チッと舌打ちをし
隣に座るしょうもない男たちをチラ見する
財布の底に溜まったくしゃくしゃのレシート
小銭をかき集めては一喜一憂
明日の光熱費より、今日の回転数がすべて
炊事も後回しなのに粗悪なエプロンをして
コンビニに立ち寄り暫しの立ち読み
今夜の飯の献立をここで探す
結局見切り品の惣菜をひとつ
箸を割るのも面倒で指でつまみ食い
焼酎のソーダ割りで、今日のすべてを流し込む
気楽なもんだよ
道に迷った子猫がすすり泣くような
そんな子供騙しの言葉は通用しない
心をどこかに逃がしておかないと、ダメになってしまいそうなのだ
一途に生きたバラードを綴るような歌など、一曲も唄えない
そんな私の何が知りたいの
くわばら くわばら➰
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でもね、ホントのよね子さんは
昔、よね子ちゃんと呼ばれていて
私の小劇場 にも「よね子ちゃん日記」としてよく登場していただきました
色白でかなりぽっちゃり
お尻は小さいのに、風船のようなよね子ちゃん
「私はおブスだから」と言いながら、
それでもたまにはプライドをちらつかせる
ヒールの高さは12cm 以上
シャネルのリップにディオールのグロス
自分のチャームポイントは唇だいうこともちゃんと心得ている
そのよね子ちゃんが、よね子さんと呼ばれるようになった今では、亭主を尻に敷き、好き放題!
でも、よね子さんはどこ吹く風なのです
いつもみんなの注目を集め、人気者のよね子さん
だって、いつもがガハハ笑っている
とにかく笑っている
そんな人に悪い人はいないって、みんなが知っている
The End
