時空の旅人 第6話「絶対の無の世界」
真央の身体は、
どんどん溶け込んでいきました。
ほとんどが入ってしまう
そのとき——。
真央の視界に
真っ黒の闇の空間が現れたのです。
その闇の空間は、
どこまでも静かで、
動かず、
まるで
時が止まってしまったような世界でした。
今までに感じたことのない、
絶対の無の世界。
真央は急に恐ろしくなり、
思わず目をつぶってしまいました。
するとその瞬間——
真央の身体は
急激に
真っ逆さまに落ちていったのです。
そのスピードの速いこと、速いこと。
落ちていく先の世界が
少しずつ見えてきました。
そこには
苦しんでいる
たくさんの人たちがいました。
人を騙す人。
人を陥れる人。
盗み、
傷つける人。
そして、
賢者のふりをした
悪魔のような人たちも
たくさんいました。
その悲惨な光景を見たとき——
真央は
自分のいる地球を思い出しました。
胸の奥が
ぎゅっと締め付けられました。
この光景は……
地球と同じだ。
どうにかして
この地球を
ハーティエルのような
平和な星に。
愛に満ちあふれる星にしたい。
その思いが
魂の奥底から
あふれてきたのです。
気がつくと
真央の目から
涙がポロポロと流れていました。
すると
その涙のしずくが
光となり、
愛の音となって
真央の身体を
やさしく押し上げていったのです。
そして
いつのまにか
あの
エメラルドグリーンの光の世界へ
戻っていました。
少しだけ残っていた
真央の肉体の一部も
高い波動の中に
静かに溶けていきました。
すべてが
溶け込んだかのような感覚。
真央は思いました。
あるがまま。
あるがままを
受け入れよう。
このまま
静かに見守っていよう。
そう心を決めたそのとき——
突然
激しい爆音が
空間に鳴り響きました。
そして
その爆音とともに
言葉が届いてきました。
「汝今、
時空の制限を越えて
光の音となった。
その響きを
汝が思う場所へ届け
光を広げよ。
それが
汝の魂の
存在する宿命。」
その声を聞きながら
真央はただ
時空の波にゆらゆらと揺れていました。
それから
どれくらいの時間が
経ったのでしょう。
ふいに
グレンが
肩をぽんと叩いたような
感覚がありました。
目を開けると
グレンが
微笑みながら言いました。
「おめでとう。
君の願いは
叶えられたよ。」
そして優しく続けました。
「君の大切な人たちが待つ
地球へ帰って
光を広げておいで。」
その後
意識が遠のくと同時に——
真央は
家に帰ってきていたのです。
⸻
――つづく――
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▶ 最終話「光を広げておいで」👇
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