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 木々を濡らす雨音にぼんやり耳を傾けながら、僕の人生から離れていった人たちのことを思った。雨音は、木々を揺らす風の音に似ている。風のようにもうここを去った誰かの声を、雨音の向こうに探した。

 縁だとか運だとか、或いはタイミングだとか。離れていく理由に名前を付ければ、あっという間に言葉も笑顔も過去になる。それを望んでいたはずの心は、雨に濡れて錆びていく。

 生きていくのならば、別れのない人生などあり得ない。さよならは人生の一部──それどころかほぼ全て──だから、電話の向こうから聞こえる声だとか偶然触れた指先の熱だとかさえいつか忘れていくのだと、そう言い聞かせている。

 雨は、止まない。もう二度と。


 雨音は、あの日の君の声に似ている。あの日の君の笑顔に似ている。ふと見上げた曇天から落ちた雫が鼻先に触れるほどの奇跡で、僕らは出会えたのに。雨は、止まない。あの日鼻先に触れた奇跡を、ずっと待ち望んでいる。雨は、止まない。さよなら、さよなら、さよなら。

 さよなら、あの日の奇跡。




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