二日間だけ
「二日間だけ好きでした」
君は、テーブルの上の雫をハンカチで拭いながら言った。店の外ではぎらぎらとした夏の陽射しが、容赦なく歩行者を追い詰めている。
僕らの他に客はいないカフェの店内には、どこかで聴いたことがあるような古いジャズが流れている。君は僕の目を見て
「聞こえた?」
と言った。肩のあたりまで伸びた君の金髪が、ふわりと揺れる。
「いつから、いつまで?」
普段から変なことを気にするタイプだとは言われるが、我ながら意味のわからない質問をしたものだ。君は「んー」と言いながら、店の外を見た。
「暑そう」
そう呟きながらアイスコーヒーを飲む。今、僕はそのストローになりたい。コーヒーと調和しない色をした、プラスチックのストローに。
「いつからだったら、君は嬉しいの?」
ストローから離れた唇が、僕に訊いた。
「昨日からかな」
僕が言うと、君は「あはは」と笑い
「そうだとしたら、今日の私も君が好きだね」
と言った。そうだとすれば、この一日で僕は君に熱烈なアプローチをするだろう。二日ではなく三日、せめて一ヶ月は好きでいてもらえるように努力をするのだろう。
「もし今も君を好きだったら、どうする?」
君は僕の顔を覗き込んだ。にっこりと笑った君は、僕の右頬に触れて
「変なこと考えてるでしょ」
と言った。もちろん、図星だ。昼下がりの盛岡にはあまりにも似つかわしくない妄想が、僕の脳内を支配している。
「そうだって言ったら、どうするの」
「そんな妄想、叶えてあげられないなあ」
君は両手を組んで「んー」と言いながら背伸びした。多分、二人で会うのはこれで最後だろう。君の姿を目に焼き付けておこうと思った。
「でもね。延長、できるけど?」
君は背伸びをやめ、僕に囁いた。
「延長?」
「そう。三日目が欲しくない?」
君はそう言って、僕の左耳に触れた。テーブルを挟んで向き合っていた君の顔が、すぐそばに近づいている。
了
あとがき
上記の「いかにしてナルは振られたか・番外編2」に収録した言葉
「二日間だけ好きでした」
をモチーフにした小説です。とはいえ、実話ではない。これは全て僕の妄想である。いいか、妄想ってのはこうやるんだ。変態が変態であるために(以下略)
書いててすごく楽しかったので、今後「いかにしてナルは振られたか」から派生させた小説を書いていこうと思う。裏門が開いてるとき限定で(ナルの心の傷も開くから)。
それにしてもさ、こういう女性に弱いわあ…。魔性みたいな人。
手のひらでコロコロ転がされてるのが楽しくてね、ええ、僕はおかしいんだと思いますよ、ええ。
だからだめなんだよな、遊ばれちゃうから。それでもいいとか思っちゃうから。二番目でもいいとか言っちゃうから。
いやあ、書いてて楽しかった。
まあ、みんな思ってるでしょう。せーの

妄想のはなしです。
いつきさん、いつもありがとうね。
さて、明日もこういう感じの小説にしようかな。書けたらね。
それじゃ、また明日。
気温差がひどい地域も多いからね、体調に気をつけてね。
また読みに来てくれるの、待ってるよ。
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