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satoshi_st
微睡みの日々
微睡んでいる。命が微睡んでいる。
雨ばかりが続くと、仕事にならない。真昼からベッドで眠ると、盛岡にいた頃のことを思い出す。誰にも会わずにアパートに引きこもっていた頃のことだ。
あの頃、僕の命そのものが微睡んでいた。生きることを半ば放棄したあの日々を、なぜか強烈に覚えている。
誰にも会わないことは、さしたる苦痛ではなかった。ネットにさえろくに触れず、ただずっと生きていた。ときどき思い出したように本を読んで、思い出したように酒を飲んだ。思い出したときに息をするようなその日々が、僕の二十代だった。
最近、少しだけあの日々が懐かしい。生きることを頑張ろうと思えば思うほど、あの微睡みの日々を思い出すことが増える。
思い出すことはきっと、忘れるための助走だ。だから僕はきっと、あの日々を忘れていくだろう。目を凝らせば見えるような傷痕が、体や心に残っているとしても。
昼寝から目覚めて、空を見る。明日は晴れるだろうか、曇天だろうか。頑張れるような天気で朝を迎えるだろうか。頑張れるような心で目覚めるだろうか。あの微睡みのような日々を忘れてしまう日の雲は、どんな風に空に浮かんでいるのだろうか。
背伸びをする。ベッドからゆっくりと降りる。生きている。あの日々にもまた、僕は生きていた。明日が来たら、どう笑おうか。
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