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月あかり

 月が微笑むような夜ならば、僕はうまく眠れるだろうか。妙に熱を持つ体をベッドの上で持て余しながら、そこからは決して見えない月のことを思った。

 夜は好きなはずなのに、「眠らないといけない」と思ってしまうと急に苦しくなる。このまま夜が明けなければ、眠れない自分も愛せただろうか。明日なんて来なければ、眠れないのことの負い目もなかっただろうか。

 月が、微笑んでいる。眠れなくていいよ、そのままでいいよ、君は君で大丈夫。そんな風に笑ってくれた誰かを、かつてあったその名残をなぞる。ため息、寝返り。僕はまだ生きている。

 君はうまく眠れていますか。ただそれだけ、ここに問うように。

 あくびのあとでふと、名前を呼んだ。月が、微笑んでいる。もう君はいないけれど。




 

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