【SS】喫茶店にて
「なんのはなし、かな?」
友香先輩はクリームソーダを飲みながら、僕の目を見た。クリームソーダの人工的な緑色よりも、友香先輩の纏う空気の方が爽やかだ。彼女は常に初夏を生きている。僕は、彼女に恋焦がれている。
「先輩は」
「友香でいいよ」
「…友香さんは」
友香先輩は細かく切り分けたパンケーキを口に運んだ。それを美味しそうに食べながら、窓の外に視線を運ぶ。
「ねえ」
「…はい」
「君はさ、世界が終わるなら何がしたい?」
僕はアイスコーヒーを飲むのをやめ、思案する。
「そうですね、告白でしょうか」
「私に?」
「はい」
「大胆だね」
「世界が終わらなくても、あなたが好きです」
「直球だ」
「性分です」
「世界は明日終わるかもしれないね」
「だとしたら、今日が終わるまで一緒にいてください」
「君は少しずるいね」
「性分です」
「その言葉は万能ではないよ」
「昔ね」
「はい」
友香先輩は僕の飲んでいるアイスコーヒーを、じっと見た。
「『コーヒーは冥界に繋がっている』って書き出しの小説を読んだんだ」
「…はい」
「なんのはなしか、わかる?」
「いいえ」
「その小説を、思い出したの」
「僕は生きているし、先輩も生きているじゃないですか」
「そうね。だけど」
「世界が滅んでしまう?」
「私たち次第」
「責任重大ですね」
「君のコーヒー」
「はい」
「頂戴」
「どうぞ」
僕はそう言って、アイスコーヒーを差し出す。先輩はそれを少しだけ口に含むと、いとおしそうに飲み込んでから、僕にキスをした。
「最後のキスは煙草らしいけど、これは何番目だろうね」
友香先輩は微笑んで、僕にもう一度キスをした。
遠くの方で雷が鳴って、僕は窓の外を見た。
友香先輩は「ふふふ」と笑って、僕を抱き締めた。耳元で
「世界、救えなかったね」
と囁いた。
クリームソーダのアイスが、急ぎ足で溶けていくのが見える。
了
あとがき
世界が終わる的なあれが流行っているので、ネタにしました。
『友香』は元櫻坂46の菅井友香さんから。前回もお借りしました。
過去遡っていくうちにドハマりしてて、語彙が死にそう。こういう風に好きになるパターンも珍しい…。
以前書いた『コーヒー』という作品がお気に入りだったので、それをインスパイア(意味合ってる?)した小説を書いてみた。もちろん、なんのはなしかはわからない。
そして、こういう女性の破壊力は計り知れない。世界なんて滅んでも構わないからデートしてはくれないだろうか。もちろん冗談である。
それじゃ、またあとで。
また感想記事アップする、かも。
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