マーケターは「バイヤーの意思決定」を理解すべし
売れる商品は「棚」で決まる
マーケターのための流通マーケティング
マーケティングの仕事を長くやっていると、こんな経験がよくあります。
「この商品、良い商品なのに
なぜか、導入してもらえない・・・」
商品も悪くない。
コンセプトも悪くない。
営業も頑張っている。
それでも棚(売り場)が取れない・・・
その理由は
商品が悪いからではありません。
多くの場合
メーカーとバイヤーの見ている世界が違う
からです。
メーカーは「商品」を見る
バイヤーは「カテゴリー」を見る
この視点の違いを理解すると
トレードマーケティングの考え方が
ぐっとクリアになると思います。
トレードマーケティングは営業任せにするな
メーカーが小売店や卸店に対して行うマーケティングを
トレードマーケティングと言います。
どうすれば
・商品を導入してもらえるのか
・売場でサポートしてもらえるのか
を考えるマーケティングのことです。
小売では春と秋に商品を入れ替える「棚替え」があります。
メーカーにとっては、自社商品を少しでも多く、目立つ位置に入れることが、棚替えの目的になります。
商談やPOS分析などが中心になるため
多くの企業では
営業主体
で行われていることが多いと思います。
そのためマーケターは
「流通対策は営業の仕事」
と思ってしまいがちです。
しかし本来マーケティングとは
商品を作る
↓
店頭に並べる
↓
手に取ってもらう
↓
ファンになってもらう
という一連の活動です。
つまり
棚を取る戦略を考えるのもマーケターの仕事
なのです。
メーカーは「商品」を見る
バイヤーは「カテゴリー」を見る
メーカーはよくこう考えます。
「この商品の良さを理解してもらえれば
導入してもらえるはず」
一所懸命、商品の良さについて語ります。
しかしバイヤーの視点は違います。
バイヤーが見ているのは
商品ではないんです。
カテゴリー
です。
つまり
この提案は
担当カテゴリーの売上と利益を伸ばせるか
を見ているんです。
マーケターの役割は「視点を変えること」
営業の商談は
どうしても
商品を挟んだ会話
になりがちです。
・この商品は優れている
・この条件なら売れる
という話です。
それも大事なんですが
バイヤーが見ているのは
商品ではありません。
その商品を買う生活者です。
だからマーケターの役割は
営業の商談を
「生活者を真ん中に置いた会話」
に変えることです。
バイヤーの判断は実はシンプル
バイヤーの判断軸は
とてもシンプルです。
この2つです。
① 売ってもいいか
② 売れるのか
売ってもいいか
これは
自分のカテゴリーにとってプラスになるか
という判断です。
これにもポイントは2つあります。
カテゴリー売上が伸びるか
提案商品だけ売れても意味がありません。
もし
・既存商品の売上を奪うだけ
・カテゴリー全体の売上が下がる
となれば
バイヤーの評価は下がります。
バイヤーが見ているのは
この商品を売ると
・客数が増えるか
・単価が上がるか
・購入頻度が増えるか
です。
つまり
カテゴリー全体の売上
です。
店舗オペレーションの負担にならないか
もう一つ重要なのが
店舗運営への影響です。
小売では
・最小人数での店舗運営
・効率的な売場作り
が求められています。
もし
・陳列が複雑
・POP設置が大変
となると、
店舗側からクレームが出る可能性があります。
なので、バイヤーとしては
できるだけ手間がかかりそうな提案は避けたい、というのが本音です。
そのため
・陳列支援
・売場応援
・POP設置サポート
などを用意することも
大きな説得材料になります。
売れるのか
もう一つ重要なのが
本当に売れるのか
です。
ここで重要なのは
商品の特長ではありません。
もっと重要なのは
なぜお客さまが手に取るのか
です。
たとえば
・誰がターゲットなのか
・どんな価値を感じるのか
・どのくらい評価されているのか
などです。
なぜ、この商品を売ると
・客数が増えるのか
・客単価が上がるのか
・購入頻度が上がるのか
などが具体的な数字で説明できると
バイヤーも社内を説得しやすくなりますよね。
POSがすべてを決める
バイヤーが判断するのは
POS実績です。
POSはレジ通過時に
「いつ、どの商品が、どんな価格で、いくつ売れたか」
がわかる仕組みです。
POSを見ると
・売れているのか
・回転しているのか
・棚に残すべきか
がわかります。
つまり
売れる商品かどうかはPOS実績で判断されるんです。
売れる
↓
棚が増える
↓
さらに売れる
という好循環が生まれます。
マーケターがやるべきこと
だからこそマーケターは
営業任せにしてはいけないと思います。
マーケターがするべきことは
漫然と自社商品の特長を伝えた資料を作ることではなく
・なぜカテゴリー売上が伸びるのか
・なぜこの商品が売れるのか
・なぜこの店で売れるのか
を考えることです。
つまり
売れる理由を作ること
です。
棚をとるのは、マーケティングの仕事
棚を取る仕事は
営業の仕事のように見えます。
しかし本当は
マーケティングの仕事でもある
のです。
メーカーは商品を見る。
バイヤーはカテゴリーを見る。
この視点を理解するだけでも
商談の見え方は大きく変わります。
ぜひ一度
バイヤーの意思決定
を考えてみてください。
それだけで
マーケティングと商談の質が
ガラッと変わるはずです。
最後に
マーケティングの仕事は
商品を作ることでも
広告を作ることでもありません。
商品が
・棚に並び
・売場で選ばれ
・売れ続ける
仕組みを作ることです。
このシリーズでは
その仕組みを
流通の視点
から整理していきます。
売れる商品は
広告で決まるのではありません。
棚で決まります。
