やる気が出ないのは、意志が弱いからじゃない。
勉強しなきゃいけないのに、なぜかスマホを触ってしまう。
やらなきゃいけないことがあるのに、気づいたら全然関係ないことをしている。
そんな経験、一度はありますよね。
実はこれ、意志が弱いわけでも、怠け者なわけでもありません。脳のある仕組みが働いた結果なのです。
創造的回避(クリエイティブアボイダンス)とは

やりたくないことを避けるために、脳がクリエイティブな方法を考え出してしまうこと。これを創造的回避(クリエイティブアボイダンス)といいます。
たとえば、学校の先生や会社の上司に頼まれた仕事をやりたくないとき、「自分にはこういう事情があって」「今はこれで手一杯で」と、断るための理由を一生懸命考えてしまう。
これも、立派な創造的回避です。
「なんて言い訳しているんだろう」と自分を責める必要はありません。脳が自動的にそうさせているのです。
なぜそうなるのか。 RASとの関係

前回の記事でお話ししたRAS(網様体賦活系)を覚えていますか?
脳にとって重要な情報だけを選び取る、フィルターのような仕組みです。
RASは本来、自分のゴールを達成するために必要な情報を集めようとします。でも、創造的回避が起きているとき、脳の中でのゴールは「嫌なことを避けること」になってしまっています。
その結果、RASは「どうやって逃げるか」に関する情報ばかりを集め、本来やるべき行動から、どんどん遠ざかってしまうのです。
受験生に置き換えてみよう

たとえば、志望校の合格点にはまだ全然届いていない受験生がいたとします。
塾の先生や両親からは「もう少し頑張って」と言われる。でも、やる気が全然出ない。そこで「自分はもうこれだけやっている」「他にも忙しいことがあって」と、自分が最大限努力していることを主張するためにエネルギーを使ってしまう。
これが、創造的回避です。
頑張っていないわけじゃない。でも、エネルギーの向き先が「勉強すること」ではなく、「勉強しなくていい理由を作ること」になってしまっているのです。
問題は、ゴール設定にある

「いや、自分は本当にその志望校に行きたいんだ!」と思った人もいるかもしれません。
でも、少し立ち止まって考えてみてください。
脳の働きの大部分は無意識で、その無意識は過去の記憶や体験をベースに作られています。特に幼少期に身近にいた両親や先生の価値観は、あなた自身が気づかないうちに、あなたの「やりたいこと」の感覚に大きく影響しています。
「この学校に行きたい」と思っているのが、本当に自分の心からの願いなのか。それとも、親や先生に期待されているから、なんとなくそう思っているだけなのか。
一度、正直に自分に問いかけてみてください。
本当にやりたいことは、止められてもやってしまう

人間は、本当にやりたいことがあれば、止められてもやってしまうものです。
志望校合格のために何時間も机に向かっている子は「努力家」と呼ばれます。でも、ゲームに夢中になって何時間もモニターの前にいる子は「努力家」とは呼ばれませんよね。
でも、よく考えてみてください。やっていることの構造は、同じではないでしょうか。
ゲームが好きだから、止められてもやってしまう。それだけのことです。
「将来の役に立たなそう」に見えるからといって、自分の可能性を狭める必要はありません。
2026年の今、世の中はデジタル社会の発展によって大きく変わりました。家にいながら稼いだり、世界に自分を発信したりできる時代です。
ゲームが好きな人がプロゲーマーとして日本を牽引するプレイヤーになれば、スポンサー企業の広告塔として活躍したり、夢を追う子どもたちに希望を与えることができる。
お金とは、自分が社会に与えたインパクトと貢献度への対価です。どんな分野でも、本気でやり抜いた人にはその価値がついてきます。
ほとんどの人が途中で諦めてしまうからこそ、好きなことに忠実であり続けることには価値があるのです。
おわりに

創造的回避もまた、RASの働きのひとつです。
大切なのは、その仕組みを理解した上で、本当に心から「これをやりたい」と思えるゴールを見つけること。
高尚なものでなくて構いません。まず、自分が止められてもやってしまうことは何か、そこから考え始めてみてください。
正しいゴール設定が、より豊かな人生への第一歩です。
