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企業倒産件数から見える「二極化」~倒産データを可視化して、経営環境の変化を考えてみた~

企業の倒産件数が高い水準で推移しています。

帝国データバンクが公表した2025年度の全国企業倒産件数は10,425件となり、2年連続で1万件を超えました。前年度から3.5%増加し、4年連続で前年度を上回っています。

さらに、2026年7月の倒産件数は1,037件となり、2カ月連続で1,000件を超えました。2カ月連続で1,000件を超えるのは、2009年11月から12月以来、約17年ぶりと報じられています。 

「倒産件数が増えている」と聞くと、景気全体が悪化しているようにも思えます。

しかし、公開データを業種、原因、企業規模などに分けて可視化してみると、もう少し複雑な状況が見えてきました。

今回は、帝国データバンクなどの公開情報を手掛かりに、Tableauで作成したダッシュボードから、現在の経営環境について考えてみます。


なぜ倒産データを可視化したのか

ニュースでは、限られた紙面や時間の中で、重要なポイントが端的に伝えられます。

一方で、ニュースを読んだ後に、

  • いつから増えているのか

  • どの業種で多いのか

  • 何を主因としているのか

  • どの規模の企業に集中しているのか

といった疑問が残ることがあります。

そこで、倒産件数の公開データを使い、次の4つの視点でダッシュボードを作成しました。
倒産件数から事業リスクの変化を読む | Tableau Public

  1. 倒産件数の推移

  2. 業種別の倒産件数

  3. 原因別の倒産件数

  4. 資本金別の倒産件数

一つの数字だけを見るのではなく、複数の切り口を並べることで、出来事の背景を考えやすくすることが目的です。


1.倒産件数は2022年以降、増加方向

最初に、倒産件数の年次推移を確認しました。

作成したグラフでは、2021年に件数が低下した後、2022年から増加へ転じていることが分かります。


2.サービス業と小売業が過去最多

次に、業種別の件数を確認しました。

2025年度は、主要7業種のうち5業種で倒産件数が前年度を上回りました。

最も多かったのはサービス業で、次いで小売業でした。サービス業と小売業は、いずれも比較可能な2000年度以降で最多です。建設業と不動産業も、過去10年間で最多となりました。

「サービス業」と一言でいっても、その範囲は広く、さまざまな業態が含まれます。

帝国データバンクの年度報では、サービス業のうち「医療」が194件となり、2000年度以降で最多だったとされています。また、小売業では「飲食店」が924件となり、こちらも2000年度以降で最多でした。

この結果からは、特定の業界だけが厳しいのではなく、モノを扱う事業だけでなく、人やサービスを通じて価値を提供する事業でも、収益確保が難しくなっていることがうかがえます。


3.直接的な主因は「販売不振」

原因別に見ると、「販売不振」が最も多くなっています。

ただ、「販売不振」と表示されているからといって、単純に商品やサービスが売れなかっただけとは限りません。

2025年度報では、次の数字も公表されています。

  • 物価高倒産:963件、過去最多

  • 人手不足倒産:441件、過去最多

  • 後継者難倒産:533件

  • 経営者の病気・死亡を主因とする倒産:350件、2000年度以降で最多

帝国データバンクが2026年2月に実施した調査では、価格転嫁率は42.1%にとどまったと報告されています。

原材料費、燃料費、人件費などが上昇しても、その全額を販売価格に反映できるとは限りません。

売上が維持されていても、コストの上昇によって利益が圧迫されれば、資金繰りは厳しくなります。

そのため、販売不振は単独の原因というよりも、

  • コスト上昇

  • 価格転嫁の難しさ

  • 需要や競争環境の変化

  • 借入金や金利の負担

  • 事業承継上の課題

などが重なった結果として表れている場合があると考えられます。


4.小規模な企業に倒産が集中

企業規模にも大きな特徴が見られます。

2025年度の資本金別集計では、「個人+資本金1,000万円未満」の倒産が、全体の72.7%を占めました。件数と構成比は、ともに2000年度以降で最も高い水準です。

この結果が示しているのは、大企業が次々に倒産している状況ではなく、コスト上昇や市場変化への対応余力が比較的小さい企業に、影響が集中しているという構図です。

2026年7月の動向について、帝国データバンクは、AI・半導体関連需要や政府の成長投資が大企業を中心にプラス材料となる一方、その恩恵が十分に及ばない中小企業との間で、規模間格差が広がっていると指摘しています。 [newswitch.jp]

「日本企業全体が一様に厳しい」というより、成長分野の恩恵や価格転嫁力、資金力などによって、企業間の差が広がっていると捉える方が実態に近そうです。


可視化して見えてきた「二極化」

帝国データバンクは今後の見通しとして、

  • 経営基盤の安定性

  • コスト上昇への対応力

  • 価格転嫁の可否

によって、企業間の二極化が進む可能性を指摘しています。 [tdb.co.jp]

今回のダッシュボードから見えたのも、単純な「倒産件数の増加」だけではありませんでした。

件数、業種、原因、企業規模を並べることで、

コストや市場環境の変化に対応できる企業と、対応が難しい企業との間で差が広がっている

という、より大きな構造が見えてきました。

同じ業界であっても、価格転嫁力、資金力、顧客基盤、事業承継の状況などによって、受ける影響は異なります。

倒産件数は、その差が最終的な結果として表れた指標の一つと考えられます。


使用したデータと参考情報

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