植物が教えてくれた『足るを知る』
最近、植物たちの土替えをした。
同じ土を使い、同じ場所に置き、同じ温度と湿度の中で育てているのに、驚くほど元気になる子もいれば、静かに弱っていく子もいる。

最初は不思議だった。
環境は同じなのに、なぜこんなにも違うのだろう。

でも、よく考えたら人間も同じかもしれない。
同じ時代を生き、同じ景色を見ていても、幸せを感じる人もいれば、苦しみに飲み込まれる人もいる。
最近読んだ老子の『道徳経』に、「足るを知る」という言葉が出てきた。
実はずっと「足る」を「樽」だと思っていた。
だから長い間、この言葉の本当の意味を知らなかった。
足るを知る。

今あるものに目を向けること。
ないものを数えるのではなく、すでに持っているものを知ること。
植物たちを見ていると、それぞれが自分のペースで生きている。
誰かと比べることもなく、背伸びをすることもなく、ただ与えられた環境の中で精一杯葉を広げている。
私はどうだろう。
もっと上へ。
もっと遠くへ。
もっと多くを。
そんなことばかり考えて、足元にある幸せを見落としていないだろうか。
新芽が出たこと。
今日も生きていること。
大切な人がいること。
本当は、それだけで十分満たされるはずなのに。
植物を育てているつもりが、育てられているのは私の方なのかもしれない。

