パジェロ復活 製造会社を解散させた生産中止からの復活に思う
パジェロが復活する。5月30日付岐阜新聞によると、今秋に新型の車体を発表し、年内に国内で販売するという。トヨタのランドクルーザーとともに「RVの王様」の双璧をなした三菱自動車の車ではあるが、復活が嬉しい半面、やや寂しさもある。
パジェロといえば、パリ・ダカールラリーで篠塚健次郎氏が駆って優勝したマシン。RVの王道、ショート派かロング派か…で揉めたアレである。ちなみに某テレビ番組のルーレットで「パ~ジェロ、パ~ジェロ」の掛け声と裏腹に、ダーツの矢が「たわし」に刺さる…というオチがあるアレでもある。 記事によると、2019年に国内生産を終了していたが、多くのファンから復活を望む声があり、念願叶った…ということになる。ただ、生産される場所はタイの工場ということで、国内ではなく、岐阜でもなかった。
かつて国内のパジェロは岐阜県坂祝町で生産されていた。旧東洋工機。三菱自動車のいち車種を作る小さな工場(町工場という意味ではない)でしかなかったのが、RVブームに乗って社名を「パジェロ製造」に改名して、ワンメイクというか、製造車種を前面に押し立てた企業展開をしてきた。
パジェロ製造はパジェロ以外にもデリカD5も製造ラインに持っていて「ガチなオフロード=パジェロ製造」のイメージがあった。採用活動も積極的に行っていて、パジェロの生産終了後はデリカに注力して事業継続を図るものと思っていたが、後に会社は解散してしまった。
余談ではあるが、パジェロ製造があったから坂祝町の財政は豊かだったし、毎年、成人式には新成人をヘリに載せて坂祝町を上空から観覧する―という贅沢もできた。現在は主力工場だったところは可児市にある製紙会社の倉庫になり、西工場は町内の金型工場が入っている。
自動車産業だけでなく世界規模の製造メーカーは、戦略の変更に伴って、工場の閉鎖や新設、移転などを機動的に行う。世界事業からしたら大した変化ではないかもしれないが、工場のある地元自治体からしたら大騒ぎだ。事実、このときもデリカの製造を引き継ぐ三菱自動車岡崎工場への転籍やその他三菱系工場への移籍、同業他社への移籍など、多くの従業員が人生設計の変更を余儀なくされた。その象徴であるパジェロが国内で走る―ということを、当時の人たちはどういう思いで見るのだろうか。 だから単純に喜べない部分がある。
