【エッセイ】親離れ未満の介護未満
一大事である。
母が両目とも白内障の手術をすることになった。
なんだそのくらい、と思った人も多いと思う。
実際に白内障手術は日帰り手術が多くて、
いわゆる「簡単な手術」というやつらしい。
一泊させる病院もあるそうだが、
母は日帰り手術だ。
しかし、両目である。
まず症状の重い右目を手術し、眼帯生活。
一週間後に、左目の手術。
右目と交代に左目の眼帯生活。
二週間、片目生活だと、思い込んだ。
三人姉弟の中で唯一、県内に残っている
私に召集がかかった。
というと大袈裟だ。
術後の炊事洗濯が大変そうだと聞いて、
「帰ろうか?」と言ったら
「帰ってきてくれたらうれしいけど〜」
と言われたから帰ることにしただけの話。
でもちょっと「察して」感があった。
丸々二週間はいられないので、
手術の日を始点に三泊四日を二回。
そんなわけで一大事である。
なんせ今まで甘えるばかりでいた私。
それが突然、支える側に回ることになった。
愛犬の介護だって母がいたから
乗り越えられたのに、
今回はその母のサポートだ。
母本人はけろっとしているのに、
私が半月も前から落ち着かない。
今回は病院も近いから歩いて行ける。
梅雨時の視界の悪い中、
眼帯の母一人で歩かせたくないから、
歩いてついていく。
車社会の鹿児島で
ペーパードライバーになってしまった
忸怩たる思い。
今後両親共に歳をとっていけば、
父も運転できなくなるだろう。
そうなると、
やはり私が運転して生活サポートをするべきか?
ペーパードライバー講習はいくらだ。
実家に帰るか、実家近くに引っ越すか。
長男長女どこ行った。
頭は十年後へ飛んでいく。
少し考えるのをやめることにした。
今回は介護というほどじゃない、
言うなれば介護未満。
あくまでも術後生活のサポートだ。
期間も三泊四日が二回だけ。
とりあえず、
・普段持ち歩かない実家の鍵
・自分の薬
これさえあればなんとかなるだろう。
母の目のことは病院が良くしてくれるはずだ。
手術2日前。
両親が自宅に来て、
今回の帰省で必要なTシャツやスニーカーを
持って帰ってくれた。
特にスニーカーが助かった。
帰る日は台風予報、その後は曇り予報。
帰る日はレインシューズを履くから、
その後の通院付き添いが
歩きにくくなるところだった。
スニーカーがあれば、大丈夫。
職場から帰省する上に台風、
荷物が多いのは避けたいから助かった。
最近、両親の態度が少し変わってきた気がする。
頼りにされているというか、
少し甘えられているというか。
今までより少し優しくなった気がする。
でも回り回って、私があれこれしてもらっている。
何も言っていないのに、お米も買ってきてくれた。
親心は不思議だ。
今回の帰省から
私が生活サポートに入る側になるんだと
緊張していた。
精神的には少し頼られるようになったのかなと
思ったけれど、
物理的・経済的には甘えさせてもらっている。
両親が歳をとった、と寂しく思っていたけれど、
まだまだ親は親のままだった。
手術前日。
台風接近中。
明日の午後、仕事が終わってから
実家に向かう予定だったが、明日はJRが終日運休。
バスに望みをかける。
交通情報を何度もチェックする。
バスも運休になったら詰みだ。
職場から「明日は休み」のLINEが来て、
今夜中に帰ることを決意。
今夜食べる予定だった
しなび始めていた夏みかんをバッグに放り込み、
家を飛び出す。
風がうねっている。
台風の風だ。
まだ台風にしては弱く、雨も降っていない。
昨日降った火山灰が逆巻いて道路をすべっていく。
今夜がチャンスだ。
駅に着いた。
ひっきりなしに人が通る。
帰宅ラッシュの時間に
特急の運休アナウンスが重なっている。
「まだ大丈夫」と「これから確実に悪化する」の
独特のざわめきで満ちている。
発車まで30分以上。
ベンチで待つことにした。
幸い、電車で座れた。
運が味方している。
実家に帰ったら、
両親がとても喜んでくれた。
父には拝まれた。
「一人ではどうしたらいいかわからなかった。
お母さんを一人、
眼帯で通院させるわけにもいかないし」と。
私の心配性は父譲りだ。
父はまだ働いているので、
明日の手術の日しか母に付き添えない。
夏みかんは母が皮と房を剥いてくれた。
みんなで食べる。
中身は意外とジューシーだった。
アラフォーになっても子供扱いだ。
子供としての娘の立場と、
大人としての娘の立場の入り混じった、
不思議な時間だった。
台風は、テレビで見ると
緊急度が跳ね上がって見える。
自宅にはテレビがないので、
今回の台風、ちょっと甘く見ていたかもしれない。
沖縄のガジュマルが倒れた映像は
なかなかショックだった。
右目手術当日。
朝、母の用意してくれた朝食を食べる。
私はなんで帰省したんだっけ?
まあ、手術は午後からだし、
母にとってもいつもの手順に
一人分増えただけだから、
問題はないのかもしれない。
滞在中、毎朝起きたら
朝ごはんが用意されていることを、
この時はまだ知らなかった。
お風呂掃除をしたら、母が嬉しそうだった。
実家で暮らしていた頃から
お風呂掃除は私の担当だったからやりやすい。
母は膝の手術もしているので
お風呂掃除はできればやりたくない家事のようだ。
カビが生えてきているので、
明日はもっと気合いを入れて掃除してみよう。
久々のお風呂掃除で意外と足腰が疲れた。
台風は、まだ奄美にいる。
県本土も雨風が強くなってきた。
母に「ひよこもこっちにいた方が
心細くなくていいでしょう。
こっちも心配しなくてすむわ。」
と目をキラキラさせて言われた。
私としては自宅を守りたかったのだが。
まあ、嬉しそうだからいいか。
結局母も心配性だ。
親はいつまでも
子供の世話を焼きたいものなのかもしれない。
午後、ついに母が手術に行った。
台風もまだ近づいてこないし、
父の運転で病院へ向かうから安心だ。
両親がいない隙にカレーを作る。
前々から宣言していたから
サプライズではないけれど、
なんとなく両親がいない時の方が作りやすい。
実家の台所は広々としていて使いやすい。
なんせコンロが三口だ。
作業台とシンクも広い。
自宅の台所は一口コンロ。
作業台がないから、
スタンディングデスクを代わりに使っている。
カレーの作りやすさが段違いだった。
ゆで卵まで一度に作れた。
いつも通り、カレーに水を入れすぎた。
とろみがなかなかつかない。
しばらく煮込んで水分を蒸発させよう。
ちょうどカレーが出来上がって
エプロンを外した時に
両親が帰ってきた。
台風が静かなうちに帰って来てくれた。
入ってくるなり「カレーのいい匂いがする!」
と二人とも喜んでくれた。
眼帯姿の母は、予想より痛々しく見えた。
ガーゼを医療用テープで留めた上から、
透明なプラスチックの眼帯をつけている。
でも、手術が一つ終わってホッとしたのか、
にこにこしていた。
カレーを早めに作ったから、
夕方の時間をゆったりテレビを見てすごした。
冷蔵庫にあった鯵の刺身は母に切ってもらった。
眼帯をつけていても
危なげなく包丁を使えていてホッとした。
水分の多いカレーは
カレールーを足すことでとろみを出した。
おいしいと言ってもらえた。
いつもは母に甘えがちな後片付けは、
私がした。
その後、みんなでテレビを見てのんびりする。
父も母もなんだか嬉しそうでよく笑う。
一緒にテレビを見るのも親孝行かもしれない。
父は安心したのか、にんじんを飼い始めた。
私はリボベジで、
にんじんのヘタから葉っぱを育てている。
以前それを見せたら、
「ここだけ森みたい」とはしゃいでいた。
苔や野草が好きな父である。
うらやましかったらしい。
にんじんのヘタを欲しがったので
切って渡したら、喜んで育て始めた。
台所には母のリボベジにんじんも置いてあった。
母は収穫目的だろう。
父のはペット。
私は両取り。
にんじんを育てる一家である。
右目手術後1日目。
眼帯の母と連れ立って病院へ行く。
心配していたふらつきなどもなく大丈夫なようだ。
歩道のない狭い道を車がけっこう走る。
手を引いた方がいいかと考えていたが、
必要なかった。
それでも一応、車道側を私が歩いて母を誘導する。
待合室には、昨日手術をしたと思しき
眼帯の姿の人がたくさんいた。
ほとんどの人が一人で来ていた。
診察室から戻ってきた母は、
眼帯を外して術後用メガネをかけていた。
埃が入らないようにするための、
保護メガネだ。
てっきり二週間眼帯生活だと
思い込んでいたけれど、勘違いだったらしい。
メガネはおしゃれで、なかなか似合っている。
術後の経過も良好とのことで安心した。
大病こそしたことないものの、
子供の頃は母が私の通院に
付き添ってくれたんだよなと思うと、
何か感慨深いものを感じた。
やっと介護未満らしいことができた。
帰宅後、コーヒーを淹れたら
「ひよこがいると楽だわ」と言ってくれた。
この帰省では、
母に甘やかされる側から
母を甘やかす側になれるよう頑張ろう。
「お父さんとひよこは心配性。
私はけろっとしてるのに」
と母に笑われた。
でも、母もどんどん笑顔が増えている。
台風対策で降ろしていた物干し竿を戻したり、
お風呂掃除、トイレ掃除をした。
本当に介護未満。
家事の分担を
今までより多めに受け持つ程度の話だ。
トイレ掃除は、
今まで母がやっていたから
見てみぬふりをしていたが、
けっこう埃が積もっていた。
やっぱり目が見えにくかったんだなと
改めて感じた。
お昼ご飯の準備、後片付けをしたら
母にまた
「ひよこがいると楽だわ〜」とキラキラされた。
長年の家事で疲れが溜まっているようだから、
今回の手術は
いいリフレッシュ休暇になるかもしれない。
介護未満どころか、母のお姫様週間だ。
四泊五日+三泊四日くらいなら
私もサポートできる。
存分にお姫様をしてもらおう。
ところが、
目を離した隙にアイロンをかけ始めていた。
とんだ働き者である。
目もしっかり見えているようだし、
暇を持て余して退屈なんだろう。
なかなかお姫様でいてくれない。
右目手術後2日目。
朝、六時半に起きたら、
水につけておいたカレーの鍋が
きれいに洗われていた。
洗濯物も回り始めていた。
母に「お姫様でいていいのよ」
と言ったが、
「ひよこにばかりさせて『もうやだ』って
なったら困るもの」
と言われてしまった。
確かに家事を全部やるのは負担がある。
母もやることがあっていいのかもしれない。
でも、お姫様でいてほしいんだけどな。
雨の中ゴミを捨てに行ったら喜んでもらえた。
なんとか母をお姫様にできた。
今日も通院のつきそい。
強い雨が降っていて少し肌寒い。
母はタクシーに乗る気まんまんだったのだが、
目の前で先を越されてしまった。
幸い、母はレインシューズだったので
歩いて行くことに。
私がタクシー会社に電話して
家まで来てもらうべきだったかもしれない。
お姫様作戦は、うっかりにより失敗した。
術後の経過は良好。
視力も0.03から0.9に上がったらしい。
通院の付き添いは、
待合室で待っているだけで、特に何もしていない。
正直、
私がいる意味はあるのかなと思いもする。
それでも父も母も
付き添ってほしいようす。
昨日「ついていくだけだからなー」と言ったら、
二人ともついていってほしいと慌てていた。
精神的には役に立っているのだろう。
母には人の好意をうまく受け取れない癖がある。
今回は母にしてはかなり頼ってくれているので、
頑張ってお姫様になってもらおう。
お昼ご飯も、
いつもは私が作ると約束していても
約束した時間の前に母が作ってしまう。
今日は、時間を決めていなかったのに
待っていてくれた。
だんだん、お姫様作戦が成功しつつある。
でも作ったのはレンチンパスタだ。
三時になったので、
ソファでお昼寝していた母に
「コーヒー淹れようか?」と聞いたら
毛布の中からにっこり笑って
「うん。お姫様だわ」と返ってきた。
お姫様作戦、大成功である。
明日、いったん自宅に帰るので、
今日まで母にゆっくりしてもらえる。
「明日からは自分でやらなきゃいけないんだから」
と私が話始めたら、母の顔が強張った。
怒られると思ったらしい。
「今日までゆっくりしたらいいのよ」
と続けたら、
本当に安心したように笑ってくれた。
その後二人でサスペンスドラマを見た。
夕方の、古いドラマの再放送。
昨日も同じシリーズを見たけれど、
なぜかどちらも親子の愛とすれ違いが
犯人の動機だった。
今日の夕食は
牛肉と玉ねぎとピーマンを
すき焼きのタレで炒め煮したものと、
山芋の梅和え。
普段あまり夕食を食べない父が
おかわりをしてくれた。
作ってよかった。
でも、すき焼きのタレで味付けしたので、
企業努力の賜物に全力で乗っかっている。
にんじんの葉っぱが大きくなってきたのも、
父は喜んでいた。
右目手術後3日目。
今日は私がいったん、自宅へ帰る日。
父が休みを取ってくれたので、
通院の付き添いは父に任せる。
車で行けるから、母の負担も少ないだろう。
その間にポテトサラダを作る。
私が帰った後も、ポテトサラダがあれば
母がゆっくりできるはずだ。
私のポテサラは定番の具材のほかに
ミックスビーンズも入れるので、
けっこう具沢山だ。
作り終わる直前くらいで二人も帰ってきた。
ポテトサラダを見せたら、
「多い!」と驚かれた。
ちょっと張り切りすぎたらしい。
私が自宅で食べる分も取り分けた。
これで私も楽できる。
父のおつまみにもなると、母も喜んでくれた。
母から、水色の封筒にお礼の書かれた
お小遣いをもらった。
そういえばサポートに入ることになった当初に
「ちゃんとお小遣い渡すからね」と
言われていたような気もする。
すっかり忘れていた。
親心かなと思いありがたくもらっておいた。
私にとっても一大事だったけど、
父と母にとっても大事件だったのだろう。
父の運転で自宅へ。
途中、回転寿司に寄ってお昼ご飯。
いつもと同じ、うなぎと納豆巻きを食べた。
父はいつも通りガリとワサビをたくさん食べて
頭に汗をかいていた。
タッチパネルでモンブランを見つけた。
母の大好物。
勧めると、即決だった。
私もチョコレートパフェを食べた。
母がお手洗いに立った時、
父がこそっと
「お母さん明るくなった」と言った。
目が見えるようになった開放感もあるだろうし、
お姫様作戦も効いたのかもしれない。
別れ際、母が手を握ってきた。
少し目が潤んでいた。
人通りもあったし、
普段、外でそんなことをする人ではない。
まるで今生の別れかのような態度に、戸惑った。
父なら愛情も怒りもいつも大袈裟なのだけど。
母はあまり大袈裟なことを好まない。
お姫様作戦が効きすぎただろうか。
また四日後には帰るねと言って、
手を振って別れた。
一人きりの夕食は、卵雑炊。
両親のためにカレーやポテトサラダを作るより、
よほど面倒くさかった。
左目手術当日。
昨日はそわそわして仕方がなかった。
右目も成功して
「簡単な手術」だとわかっているけれど、
やはり落ち着かない。
今回は、仕事後に電車で帰る。
駅のホームに着いたら30分待ちだった。
梅雨冷えのホームは風が吹いている。
仕方がないので、
メールを削除したり俳句を作ったりしながら待つ。
無事に手術が終わったとLINEが来ていた。
家に帰ると、両親が笑顔で迎えてくれた。
母の眼帯姿、今回はあまり痛々しくなかった。
むしろツヤツヤして若返った気がする。
前回よりもさらに笑顔が大きい。
母も一段落して安心したのかもしれない。
父もツヤツヤの笑顔だ。
「帰ってきてくれてありがとうねぇ」
と言われた。
前回、老いの入り口に
夫婦二人で立ち向かうのは怖いと
父が言っていたから、
私がいるだけでも
安心させてあげられるのかもしれない。
父のにんじんも元気に葉っぱを伸ばしていた。
父が職場から婚活イベントの
プリントをもらってきてくれた。
結婚したいこと、出会いがないことは
前から話していた。
でも、いざとなると腰が引ける。
キャリアのないアラフォーは不利すぎる。
でも、今のままでは結婚できそうにない。
軽食とスイーツが出るそうだから、
それを目当てに行くのもいいかもしれない。
応募者多数なら抽選だそうだから、
応募だけでもしてみようか。
左目術後1日目。
目が覚めて、婚活イベントに
乗り気になれなかった理由がわかった。
私の好みは年上。
でも、今回のイベントは四十歳まで。
年上はほとんどいないと予想される。
年齢は絶対条件ではないけれど……。
とはいえ黙って突っ立っていても
理想の人が現れないのはよくわかっている。
ChatGPTに、
「募集が四十歳までなら、
アラフォーがくることは想定内。浮かない。」
と言われて決心がついた。
母の通院、今日は診察室まで付き添った。
チャキチャキと小気味のいい看護師さんが
どんどん進めてくれる。
目薬の点眼(三種類)と眼圧の検査、
医師による診察だった。
あっという間に終わった。
帰り道、母が少しふらふらするというので
慌てて手を繋いだ。
眼帯を外してバランスが変わったというより、
足腰が少し弱ったようだった。
父も私も、母を大事にしすぎたかもしれない。
繋いだ母の手は温かく少ししわが寄っていたが、
感傷よりも車の警戒に忙しかった。
帰宅後、コーヒーを淹れる間に
健康器具で足踏みをしてもらう。
コーヒーを淹れるだけの間なのに、
疲れたと言っている。
母が運動をしたくなる方法、何があるだろう。
母が洗濯を回しながらお昼寝をしている間に
買い物に行き、
チャーハンを作って、食べて、二人でお昼寝。
今日は私が母に毛布をかけてもらった。
お姫様されている。
三時。
コーヒーを淹れたら、「お姫様だわ」と
にっこりしてくれた。
コーヒー好きの母にはコーヒーが一番効くらしい。
母もデーリィ牛乳のキャンペーンシールを
集めているので、
牛乳を入れてカフェオレにして飲んだ。
今日は昨日と打って変わってよく晴れた。
一緒に洗濯物を畳んだり、
私がトイレ掃除、クイックルをしたり。
母がアイロンをかけたり。
今回はお姫様作戦というより、
私が家事の分担を多めに受け持つという感じ。
毎週恒例の祖母への電話も二人でした。
九十歳を超える祖母は頭がはっきりしているが、
予想外の話題には少しついていけないようだ。
白内障の話が伝わったのかどうか、
よくわからなかった。
でも、元気そうだった。
夜ご飯のメニューは、
豆腐のお味噌汁と
レトルトのハンバーグ、
きゅうりのすし酢和え。
メインがレトルトだが、今回は私も体調が低調。
できる範囲のことをしよう。
きゅうりのすし酢和えは、
父のおつまみにもなって評判が良かった。
私の料理のレパートリーは少ない。
でも、冷蔵庫の中身を食べられる形にするのは
得意みたいだ。
だいたい食材を調味料で和えるか、
塩コショウで焼くかすればなんとかなる。
鹿児島ローカル放送の
「てゲてゲ」を見て大盛り上がり。
何か事件が起こるわけでもないのに、
県内の知っている場所、知らない場所が
出てくるだけで面白い。
キャストの皆さんも、
全国放送に負けてないと思う。
左目術後2日目。
暑い。
朝からトイレ掃除、ゴミ捨て。
今日も母の通院の付き添い。
看護師さんや受付の方に
優しげに見られるようになった気がする。
「ご家族の方」から「優しい娘さん」に
アップデートされたようだ。
術後の経過は順調。
視力は1.0に上がったらしい。
朝食を食べている時と通院の帰り道、
母に「ひよちゃんもう明日帰っちゃうのか」
と言われた。
寂しいのかな。
私も寂しい。
母のサポート生活、意外とやりがいがあった。
一人暮らしにはない彩り。
また明日からは一人で生活だ。
仕事も始まる。
つまらない。
今日はドリップコーヒーを淹れた。
母も気に入ったようなので、お勧めしておいた。
「コーヒーくらい贅沢してもいいよね」と
母が微笑んだ。
自分のことにあまりお金を使わない母。
お姫様作戦が効いたようだ。
自分のことも大切にしてくれるとうれしい。
父のにんじんは日当たりの良い窓辺へ
移動していた。
晴れた日は庭に出しても良い気がする。
今のところ水耕栽培だが、
根が出たら土に植えるといいと伝えておいた。
にんじんの横には、
虫取りかごに作った苔リウムが置いてあった。
母とドラッグストアでお買い物。
今日の夜ご飯の材料と明日の朝ご飯の材料を買う。
アイスも買った。
保冷バッグが小さくて、
母が一生懸命詰め込んでくれた。
帰って食べたら、コーンの部分が砕けていたが、
おいしかった。
母は、足が少し弱ったと気にしているようだ。
朝も通院の途中で「疲れた」と言い、
ドラッグストアでも「意外と距離があるよね」
と言っていた。
アイスを食べながら、
スマホの歩数をチェックしていた。
私も父も過保護すぎたかもしれないと反省した。
まあ、明日からはいつも通りの生活。
足腰も回復するだろう。
母とお昼寝。
二人でお昼寝ばかりしている。
コーヒーを飲んだから眠れなかったけど、
なんだかこの時間が終わってしまうのが惜しくて、
母の隣でごろごろしていた。
今日の夜ご飯は
じゃがいものお味噌汁、
冷凍食品のチーズ入りささみフライ(揚げ焼き)、
納豆。
最終日、ちょっと手抜きになってしまった。
でも、疲れていたしレパートリーも尽きた。
満足感は高かった。
父は帰宅直後から機嫌が悪かったけど、
チーズ入りささみフライを食べると
少し機嫌が治った。
冷凍食品は偉大だ。
左目術後3日目。
父が仕事を休んでくれたので、
母の通院は父に任せる。
その間に、
カボチャサラダとほうれん草のベーコン炒めを
作り置きしておいた。
今日と明日くらいは、母が楽できるだろう。
三口コンロは便利だ。
私も次に住むところは、
せめて二口コンロの家に住みたい。
今回も、
封筒にお礼の書かれたお小遣いをもらった。
そんなにしなくてもいいのだけど、
ありがたいのでもらっておいた。
お金よりも、封筒のコメントが嬉しかった。
今回も父に車で送ってもらう。
テレビで見た花菖蒲園に寄って行くことにした。
けっこう道が狭い。
中に入ると、
休耕田を利用した花菖蒲園が広がっていた。
濃い紫、淡い紫、白の花菖蒲が
何本も列を成していてきれいだった。
一人で先を歩いていたら、何やら後ろが騒がしい。
母が見知らぬ方に心配されている。
母がぬかるみに足を取られて転んだようだ。
以前手術をした方の足が
踏ん張りがきかないみたいだ。
手を引いていてあげればよかった。
家では洗濯をしたりして
けろっと歩いていたから油断した。
幸い、怪我はなかった。
見知らぬ方にお礼を言って、母を引き取る。
服が泥で汚れていたので、
いったん実家に帰って母は着替え。
回転寿司へ。
母に体は痛くないかと聞くと、
「痛くはないけどちょっとね」と返ってきた。
やっぱりけっこう打ったみたいだ。
今日も父はワサビとガリをたくさん食べて
頭に汗をかいていた。
私と母はデザートに桃のパフェを食べた。
桃のジェラートに桃のジュレ、生クリーム。
桃の風味が口いっぱいに広がって
とてもおいしかった。
自宅に到着。
狭い1Kで
三人でパズルのように横になって一眠り。
そのあと、近くのスーパーで
食材を買ってもらった。
牛肉は自分では手が出ないからありがたい。
帰り際は、今回はみんな明るく
ハイタッチして笑って手を振って別れた。
やっぱり、一番大変だったのは
手術が未知だった前半だった。
後半は、日常の延長線上だった。
ところが、
来月も帰るのにホームシックを発症した。
なかなか重症だ。
もう実家に帰りたい。
でも、これ以上長くいると
喧嘩をするのもわかっている。
左目手術後6日目。
今日で母の毎日の通院は終わり。
母に電話をしたら、順調とのこと。
次の通院は一週間後らしい。
母の声も明るく、私も安心できた。
サッカーW杯やなんでもない話をたくさんした。
電話の後、
先日買ってもらった牛肉と玉ねぎとピーマンを
一緒に炒めて焼肉のタレで味付けした。
白内障術後サポートの二週間が、
無事に終わった。
それでも、
親の老いは確実に近づいてきているのだと
実感した二週間だった。
今まではホームシックで実家に帰っていたけれど、
これからは両親の様子を見る割合も
増えていくのかもしれない。
私はたぶん、このまま親離れをしないまま。
少しずつ家事や付き添いを増やしていくのだろう。
この二週間は、きっと一生の記憶に残る。
いいなと思ったら応援しよう!
この88週の小冒険を応援してくれたらうれしいです🐥⚔️
いただいたチップはたぶんプロテインになります。