神様からもらったメッセージを実行したら、世界が変わった話
僕たち夫婦は仲がいい方だと思う。
休みの日はいつも一緒に出かけて、笑い合っていた。
それでも、ときどき大きな喧嘩になることがあった。
結婚前は3ヶ月に一度。
結婚してからは、少しずつ減っていったけれど——
根っこの部分は、ずっと変わっていなかったのかもしれない。
◆ 夜の神社で聞こえた“声”
些細なことからの喧嘩というよりは、根本的に合わないのでは?
と思う問題だった。
それはお互いの性格が全く違うタイプでもあったし、相手に求めていることもお互い違う。
それでも、二人で話し合いお互いを理解しようと頑張った。
喧嘩する→思いをぶつけ合う→反発し合う→反省し合う→二人で号泣→理解し合う→仲直り
これを何度も繰り返すうちに頻度は減っていった。
一人目の子供が生まれてしばらくした頃、
ある晩、また同じテーマでぶつかってしまった。
僕は耐えきれずに家を飛び出した。
時間は夜の10時、
行くあてもなく、ただ歩いた。
怒りと悲しみと絶望に囚われたまま、
気がつくと、夜の神社の前に立っていた。
その瞬間——頭の中に女性の声が響いた。
「自分を捨て去れ。全てはそこから始まる。」
当時、僕は不思議な体験を何度も経験し慣れていた。
驚きはしなかった。
けれど、その言葉の意味だけは理解できなかった。
自分を捨てるって、どういうことだろう?
自我を捨てる?相手のいうことに全部従うってこと?
それをやってもそれは我慢じゃないん?
本音も伝えないといけないんじゃない?
自分を押し殺すこと?
それとも、心をなくすこと?流石にそうじゃないよね?
答えは出なかった。
◆ 10年後の再会
それから約10年が経った。
子どもは三人になり、にぎやかな日々を送っていた。
そんなある晩、またあの“テーマ”で妻と話すことになった。
僕は「今回もきっと仲直りできる」と思っていた。
だが今回はそうじゃなかった。
ある妻の一言で心の糸が切れてしまった。
僕は言った。
「もう別れよう。無理やわ。」
妻は静かに、「わかった」とだけ答えた。
これからどうするのか?
一緒に仕事をしているのにどうする?
3人の幼い子供をどうする?
一晩中寝ずに考えた。
別々の部屋でお互い眠らずに朝が来た。
◆ 娘の涙が教えてくれたこと
次女が起きてくると泣きながら僕に話しかけてきた。
話の内容はどうやら昨日の晩、
長女と言い争いになったらしい。
(僕らはそれどころではなかったので気づかなかった)
次女は、長女に私の気持ちをわかってほしいが
全然わかってくれない。それがすごく悲しい。
と言う話だった。
その時僕はハッとした。
今、僕は次女に寄り添って、
辛い気持ちを聞いてあげている。
「嫌だったね、辛かったね、悲しかったね」と。
なぜ、そうやって素直に聞けて
共感してあげているのか?
それは責められている相手が長女であって、
自分ではないからだ。
僕は自分が責められたとき、
あなたの言うこともわかるよ。
わかるけど、
こっちの言い分も聞いてよって思ってしまってた。
悪いのは僕だけじゃないよね、
お互い問題はあったよね。と思ってしまってた。
僕は自分を知った。
責められている相手が自分じゃなければ
100パーセント共感してあげられるのに、
相手が自分だとそれができていないこと。
◆ 「本物のごめん」
気づいた瞬間、僕は妻のもとに走った。
「ごめん、今までごめん。
あなたの言ってることは聞いていた。
あなたが不満に感じていること、
嫌だと思っていることも頭では理解していた。
でも心から共感はできていなかった。
自分に言われているから、自分を守っていた。
その壁があなたの本当に伝えたい想いを遮っていた。
僕はあなたを理解できていなかった。
あなたの悲しみや辛さや痛みを
わかっていなかった、ごめん。」
僕は妻にさっき、
次女との間で起こった気づきを話した。
その瞬間、妻の表情が柔らかくなった。
そして、穏やかな笑みで言った。
「ありがとう。」
その日から、
妻はまるで別人のように穏やかになった。
いや、きっと彼女は最初から変わっていなかった。
“僕が変わった”ことで、
僕の見る世界が変わったのだ。
◆ あの日の声が、やっとわかった
10年前、神社で聞いた言葉。
「自分を捨て去れ。全てはそこから始まる。」
あの時は意味がわからなかった。
でも、今ならわかる。
“相手を愛しているのに、分かり合えないとき”
その時は
「自分を守る自分」を捨てること。
「正しさ」ではなく「共感」を選ぶこと。
そこからすべてが始まるんだと。
僕は、妻から大切なことを教わった。
そして、子どもたちはいつも、
僕らを救ってくれる。
妻と神様は、どうやらタッグを組んで
僕を成長させようとしているらしい。笑
◆ あとがき
世界は“自分の心のレンズ”でできている。
レンズが曇れば、相手も曇って見える。
でも、心を磨けば、世界は驚くほど優しくなる。
あの日のメッセージは、
“世界の見え方”を変えるための
贈り物だったのかもしれない。
