ボブ② 23/26|食い逃げの代償は、一通の手紙だった
亜夢ちゃんが密かに忍ばせた、真心の届けものとは?
鶴舞父:「じゃあ、俺らも行くわ。やす、ありがとな」
ボブ:「あっ、おじさん! お土産、果音に持たせてありますから!」
果音:「じゃあ、私たちも帰ろっか?👋」
ボブ:「えっ? いつもは片付けまで手伝ってくれるのに……」
果音は、見たこともないような満面の笑みを浮かべていた。
ボブ:「……その、作り物みたいな笑顔は何なんだよ!💢」
洋太・果音・ライク・エル。
四人揃って声を合わせた。
「ボブ、亜夢ちゃん、ごちそうさまー!!」
ボブ:「お前ら、まだ寸劇を続ける気か!」
洋太たち:「じゃあねー!🏃💨」
ボブ:「本当に帰りやがった……って、食い逃げかよ!!」
一斉に外へ飛び出していく背中に、ボブの怒号が虚しく響く。
ボブ:「……ったく。マジで帰りやがったな」
亜夢:「ふふっ。じゃあ、私たちが片付けしちゃいましょうか」
ボブ:「ごめんね、亜夢ちゃん。あいつら自由すぎて」
亜夢:「大丈夫です。二人でやれば、すぐ終わりますよ😊」
不器用で、ちょっと低レベルで、お粗末な集まり。
それでも、そこには確かな“想い”がある。
その事実が、ボブにはどうしようもなく嬉しかった。
帰宅後、江藤家では――。
江藤隊長:「どうする? こんなにいっぱいもらってしまって……」
江藤夫人:「余ったら冷凍すればいいって、あの子が言ってたじゃない」
江藤隊長:「そうじゃなくて……。あんなにもてなしてもらって、貰いっぱなしなのが悪いだろう」
江藤夫人:「あー……そういうことね」
少し笑って、夫人は続けた。
「結婚式の真似事手伝って、なんて言うから、軽い気持ちで行ったのにね」
江藤隊長:「それがさ……普通の結婚式より、よっぽど感動したんだよ」
江藤夫人:「……ええ。本当にね」
江藤隊長:「あんなに美味いもん食わせてもらって、土産まで。あの子たち、本当に二十五歳か?」
江藤夫人:「ふふ。来月のお墓参りのとき、ボブ君にお返しを持っていきましょう」
江藤隊長:「ああ、それがいいな。……ところで」
(少し間)
江藤隊長:「……小腹が空いたな。たこ焼き、食うか」
江藤夫人:「あら。いいわね、賛成!」
江藤隊長:「言われた通りだな。……中毒になりそうだ」
電子レンジの前で、夫人がパックを取り出したとき。
江藤夫人:「……あれ?」
江藤隊長:「どうした?」
江藤夫人:「……違うものが、入ってる」
【手紙:隊長夫妻へ】
今日はお越しいただき、本当にありがとうございました。
サプライズ結婚式も、お二人のおかげで大成功でした。
本当は直接お礼を言いたかったのですが、あの場では勇気が出なくて手紙にしました。
隊長さんのおかげで、私はこんなに優しくて強くて、尊敬できるボブさんと出会うことができました。
今、とても幸せです。恥ずかしさがMAXになった救急車のような気持ちですが、本当に感謝しています🚑。
またいつか、タコパをしましょう。ぜひ遊びに来てください。
千寿亜夢
江藤夫人:「亜夢ちゃん……(涙)」
手紙をそっと渡された隊長も、読み終えると静かに頷いた。
江藤隊長:「……いい子だ。本当に、いい子だよ」
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