中学生日記
「なんのはなしです家」
を書こうと思っている。
まだ一行も書いてない。
そろそろ締め切りが近づいてて、
もうそろそろやばいなって焦っている。
だのに〜
なぁぜぇ〜
ふぁふぁふぁんふぁははふんふん〜
きみはゆくぅのぉかぁ〜
そんなぁにしてぇまでぇ~
歌い出したはいいけど、
ちょっと途中歌詞がわからなかったので
ハミング挟みました。
なんのはなしでしょう。
中学生のころのはなしです。
中2だったかしら。
同じクラスに小学校からの友達Nがいました。
男の子です。
昔からノリがよく、発想も面白い、クラスの中心的存在でした。
ある日、Nが
「次の授業先生が黒板向いてる間に3センチずつみんなで前にでようぜ!」
と、クラスのみなに声をかけました。
授業が始まりました。
先生が板書をするため前を向くと、
ヅヅヅッ
と全員が机と椅子をずらします。
クルッ
と先生が振り向きますが、3センチの変化には気づかず話し始めます。
しばらくして、また先生が板書を始めると、
ヅヅヅッ
と全員が机と椅子をずらします。
クルッ
と先生が振り向きますが、気づきません。
その後も板書のたびに、みな無言で
ヅヅヅッ
とやり続け、嘘だろうというくらい前に進みました。
思わずクスクスと声が漏れますが、先生は不思議そうな訝しむような顔で、
「え、なに?なにかおかしい?」
などとおっしゃります。
先生、正気ですか?
どう見てもうしろ明らかに空いています。
気づきませんかね?
「なにもぉ〜」
などと言いながら、また板書。
ついに一番前の席の男の子が振り向いて両手を大きく振ります。
(隊長!!これ以上前に進めません!!!)
見れば、教卓に机がピッタリくっついています。
みなが、隊長どうしますか?!
という表情でNを見ます。
うぬ。と、ひとつ頷くとNは、
(これより我々は3センチずつ下がる!!!)
と、ジェスチャー。
みな、こくり、と頷く。
ヅヅヅッ
と下がり始める。
クルッ
と振り向くが気づかぬ先生。
その後も板書のたびにみな後ろへ下がり続け、
終わりの礼をする頃には、教室の前半分が空いていた。
先生は、終始訝しんでおられたが結局怒ることもなく去っていった。
明るい子もいれば、そうでない子もいる。皆が皆仲良しというほど少人数のクラスでもない。
だのになぜ、あんなに一致団結したのか。
誰とでも分け隔てなく屈託なく接していたNのお人柄なのか、天性のムードメーカーのなせる技だったのか。
未だに謎である。
「なんのはなしです家」を書こうと思ってるのに、ふつうの「なんのはなしですか」を書いてしまった。
謎である。
コニシ木の子さん。
回収お願いします。
