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森を増やせば良い、ということではない。

「森林化によって失われた生物多様性もある」
そう聞くと意外に思われるかもしれません。しかし、日本では、茅場や放牧地などの用途として国土の2〜3割を占めていた半自然草原が、現在では国土の1%前後まで縮小したとされています。
化学肥料の普及によって草原の利用が減少したこと、さらに戦後の大規模な植林によって一部の草原が人工林へと転換されたことなどが、主な要因と言われています。

これにより、草原環境に依存する多くの希少種の生息地が失われました。一方で、近年は手入れの行き届かない人工林も増え、生態系が単純化している例も少なくありません。

人工林は本来、人による継続的な管理を前提とした生態系です。重要なのは木の本数や森林面積ではなく、その土地にふさわしい生態系が維持・回復されているかどうかです。
そのため、ネイチャーポジティブを単純に「木を植えて緑を増やすこと」と捉えるのは適切ではありません。
しかし、専門家の発信や分析ツールの設計には誤解を招く面もあります。

例えば、Global Forest Watch は「tree cover(樹木被覆)」と「forest(森林)」を区別して説明しています。しかし、表示されるビジュアルからは天然林と人工林の違いが分かりにくく、「木が増えることは望ましい変化である」という印象を与えやすい面があります。

NPI指標案も、単純な森林面積の増加を評価する仕組みではありませんが、草原の森林化をどのように総合評価するのかは必ずしも明確ではありません。

ネイチャーポジティブの実現に向けては、「森林を増やすこと」と「生態系を回復すること」の違いをどう捉えるのか、今後さらに議論が深まることを期待しています。
そうした観点からも、2026年7月14日(火)〜16日(木)に熊本で開催される第2回グローバル・ネイチャーポジティブ・サミットでどのような議論が行われるのか注目しています。

そのサミットですが、東北大学ネイチャーポジティブ発展社会実現拠点が設置するブースで、説明要員として何度か立つ予定です。なかなか直接皆さんとお話しする機会を設けることができないため、この場でお会いできればと思っています。時間等は、直前にお知らせすることになると思います。
8月末に開催予定のソリダリダード・ジャパンのセミナー共々よろしくお願いします。