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神様は世界を作った、未来の分からない設定で

不確定性原理によって、完全な未来の予測ができないことが示されています。運命は決まっていないのだと確かめられると、前向きな気持ちになれます。

 さきに、因果律が完全に存在するためには、①すべての粒子の初期条件(ある瞬間の粒子の位置と運動量)が完全にわかっていることと、②粒子間の衝突のもようが一〇〇パーセント正確に予測できることが必須条件だと言った。そうして量子物理学の抬頭するまでは、①も②も原理的には判明するもの……と信じてきた。いいかえれば、ラプラスの悪魔は、どこかに存在している……と確信していた。

都筑 卓司『新装版 不確定性原理―運命への挑戦』講談社、2002、p. 169

ラプラスの悪魔

ラプラスの悪魔は、有名な思考実験でしょう。この悪魔は宇宙のすべての物質の状態を完全に把握し、物理法則に基づいて未来を予測できます。

物理学的には物質の位置と速度が分かっていると方程式で未来の動きを計算できます。例えば、ビリヤードで言うと、球の位置と速度が分かれば、どの方向にどれくらいの威力で打ち出せば、ボールがポケットに入るのか予想できます。実際には計算した通りに打ち出すのは難しいので、そう上手くはいきませんが。

ラプラスの悪魔は、この玉がたくさん増えたときにも同じように予測ができると言っています。生物の体は、原子という非常に小さい粒の集まりでできているわけですから、極端な話、ものすごい数のビリヤードを計算しているようなものだと仮定しているわけです。つまり、すべての原子の位置と速度が分かれば、人間の行動が完全に予想でき、延いては未来が完全にわかるという理屈です。

現在のコンピュータの性能では、人間の思考に相当する原子の数をシミュレートするには性能が足りませんが、将来、量子コンピュータの性能が上がれば、そういったこともできるのではないかと期待するわけです。

不確定性原理

果たしてそんなことが可能なのかと期待するわけですが、結論としては、不可能であるということが示されています。ラプラスの悪魔の存在を否定したのが、不確定性原理という量子力学の法則です。この原理では、原子や光といった粒子の位置と速度を同時に測定することはできないことを示してます。

ビリヤードの話で言えば、球の位置は画像で撮影すれば分かります。球の速度も例えば、スピードガンを使えば測れましょう。現実のスケールにおいては、物体の位置と速度を測ることは可能です。しかし、粒子の場合はそうはいきません。原子がどこにあるか特定しようとすると速度がわからなくなり、速度を測ると位置が特定できないという不思議な現象が起こるのです。

粒子の球でビリヤードをしようとします。現実のビリヤード球とは異なり、まん丸で止まっているわけではありません。ブレ玉のように振動しながら、存在しているのです。打とうとしても、動いていて上手く打てないのです。現実のビリヤードと同じようにうとうとしても、球が動いているから、どっちに動くか全く予想ができないのです。

なぜこのようなことが起こるかというと、観測すること自体が粒子に影響を与えてしまうからです。現実のビリヤード球の速度を測ろうとしたら、スピードガンで光を当てて測定します。同じように粒子の速度を測ろうと光を当てると光を当てたことによって速度が変わってしまい、上手く測定できないのです。

このように粒子の世界では、位置と速度を同時に測ることができないため、未来の動きを予測できないのです。

未来は確率的にしか分からない

こうして、ラプラスの悪魔の存在は否定され、完全な未来は予測できないことが物理学によって示されています。予測ができないのだから、未来のことを考えても仕方がないと思われるかもしれない。心配しても仕方がないと思われるかもしれません。そんなことはありません。粒子1つ1つの完全な動きは分かりませんが、全体としてどんな傾向があるのかは予測ができます。

例えば、天気予報で雲の水分子1つの動きは分かりませんが、雲全体がどのような動きをするかは予想ができるのです。明日の天気予報をしたときに、70%で晴れ、30%で雨が降るというように確率的に未来を予想できます。そうしたら、きっと雨が降ったときに備えて傘を持っていくことでしょう。

確率は私たちの脳が計算してくれます。私たちができることは良い未来が起こるように行動するか、悪い未来が起こったときに備えることです。神様にだって、この世界の未来は分からないのですから、良い結果が出るように最善を尽くす他にありません。

終わりのメッセージ

未来や運命は決まっていないという話です。難しいので、躊躇しましたが、頭の整理のために書きました。

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