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【超短編小説】ひな、まもる君に告られる


太陽が溶けたばかりのバターのようにアスファルトに広がっていた。土曜日の午後のスーパーマーケットの駐車場は、まるで人生のステージセットみたいにカラフルで騒がしい。どこまでも続く灰色のコンクリートの海に、色とりどりの車が浮かんでいる。私は白いキャミソールとジーパンという、いつもの戦闘服で、小さな冒険者であるひなの手を握っていた。ひなは明るい黄色の無地のワンピースを風になびかせ、まるで宇宙船のパイロットのように真剣な顔でお菓子売り場という最終目標へ向かっていた。

太郎は、ジーンズシャツに白Tシャツ、そして色褪せたジーンズを履き、黒髪のショートヘアを太陽に光らせながら、少し遅れて私たちの後ろについてきている。彼の表情は、まるでゲームのチュートリアルを読んでいるかのように真剣で、時折、私とひなを交互に見比べている。私にとって、この二人は人生で手に入れた最高の宝物だ。

その時、私たちの目の前に、突如として小さな影が現れた。それは、真っ赤なTシャツとネイビーの半ズボン、白いスニーカーを履いた、栗のイガのような髪型をした男の子だった。彼の登場は、まるで物語のクライマックスを告げる派手なファンファーレのようだった。

「ひなちゃん、ぼく、ひなちゃんのことがだいすき!」

その言葉が、まるで古いジュークボックスから流れる、少し音のずれたポップソングのように響いた。私は一瞬、時間が止まったような感覚に陥った。隣を見ると、ひなが目を丸くして、私の手をぎゅっと強く握っている。その小さな手の温かさが、私の心を満たしていく。私は、この子がどれだけ成長したのか、そしてどれだけ新しい世界を見つけているのかを、この一瞬で理解した。

太郎のほうをちらりと見ると、彼の背中には、ゲームの画面みたいに「HP:1」「MP:0」と表示されているような気がした。彼は静かに、まるで古い映画のワンシーンのように私たちを見守っている。その姿は、少し滑稽で、少し愛おしい。私にはわかる。太郎の心の中では、千の兵士が剣を抜き、万の魔物が咆哮しているかのような、壮大な戦いが繰り広げられているのだ。

私は、彼の言葉に少し戸惑いながらも、優しく微笑んでまもる君に語りかけた。

「まもる君、ひなちゃんはびっくりしてるみたいよ。もう少しゆっくり話してあげてね。」

私の声は、まるで優しく奏でられるアコースティックギターの音色のように、穏やかにその場に広がった。まもる君は少ししょんぼりした顔で、ひなから視線をそらした。その姿は、まるで小さな冒険が失敗に終わったかのように見えた。

まもる君が去った後、ひなは私と太郎を交互に見上げて、小さな声で言った。

「まもる君、おもしろいね。」

その一言に、私たちは顔を見合わせて、まるで昔からの約束だったかのように、同時に笑い出した。その笑い声は、スーパーマーケットの騒音にかき消されず、私たちの心に温かい光を灯した。ひなのこの一言が、太郎の心に温かいエンディングロールを流したのが、私には手に取るようにわかった。

その夜、ベッドに入ったひなが眠りについた後、太郎が私にそっと耳打ちした。「ひなが、まもる君に告られた。」

私はくすくす笑った。彼の言葉はいつもシンプルで、それでいて一番大切なことを伝えてくれる。太郎の隣で、私はこの奇妙で、美しくて、そしてどこまでも愛おしい人生という物語の次のページをめくる準備ができた。この物語はまだ始まったばかりなのだ。


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