見出し画像

【創作大賞2025】#ミステリー小説部門応募作品 異界の絆:記憶を紡ぐ者たち

あらすじ

高校生の大輝と悠真は親友だが、ある日、悠真が片想い中の図書委員・澪が突然姿を消す。さらに驚くべきことに、澪の存在そのものが世界から消え、大輝と悠真以外の誰も彼女を覚えていなかった。手掛かりを追う二人は、澪が異世界へ消えたことを知る。


親友と、それぞれの片想い

「おい、大輝! また何か面白いこと企んでんだろ、その顔は?」
朝のホームルーム前。大輝はニヤニヤしながら、窓の外を眺めている悠真の肩を叩いた。悠真は鬱陶しそうに身をよじるが、振り向いた顔にはどこか諦めが混じっている。
「なんだよ、人の顔見て失礼なやつだな。でも、当たりだ!」大輝は得意げに笑う。「ほら、見てみろよ、このポスター!」
大輝が指差す先には、真新しい文化祭のポスターが貼られている。今年の目玉は「地域活性化プロジェクト」。生徒たちがアイデアを出し合い、地元を盛り上げる企画を練るという、いかにも大輝が好きそうな内容だ。
「……ふぅん。また面倒なこと引っ張り込もうとしてるんだろ」悠真は興味なさそうに目を細めた。だが、その視線はポスターの隅にいる、どこか見覚えのある人影を捉えていた。小柄で、いつも本を抱えている佐倉澪だ。彼女もこのプロジェクトに参加するのか……。
「面倒とか言うなよ! めちゃくちゃ面白そうじゃん! 俺、もうアイデア練ってるんだぜ。商店街のシャッターアートとか、地元野菜を使った新メニュー開発とか……」大輝は興奮気味に語る。その視線の先には、クラスの中心で友達と笑い合っている橘陽菜の姿があった。陽菜もポスターを見て、目を輝かせている。
「……勝手にやってろ」悠真はそっけなく答えた。
「おいおい、薄情だな。悠真も絶対参加しろよな! な?」大輝は悠真の腕を掴み、ブンブンと揺さぶる。
「うるせぇな! 離せよ、眠いんだよ!」悠真は払いのけるように腕を振り、あくびを噛み殺した。心の中では、澪が参加するなら、自分も……という気持ちが芽生え始めていた。だが、そんなことを大輝に悟られるのは癪だった。
放課後、大輝と悠真はいつものように購買でパンを買っていた。大輝は新発売のカレーパンを頬張り、悠真は眠たそうにメロンパンを齧る。
「なあ、悠真。今日の陽菜、めちゃくちゃ可愛かったよな!」大輝が突然、口いっぱいにパンを詰め込んだまま言った。
悠真は眉をひそめる。「いきなり何だよ。噛んでから喋れ」
「だってさー、プロジェクトの話してるとき、目がキラキラしてたんだよ! 俺も頑張って、陽菜に『大輝くん、すごいね!』って言わせたいわけ!」
大輝は熱っぽく語る。悠真はふと、図書館で澪が真剣な顔で資料を読んでいる姿を思い出した。自分も、澪に「佐倉くんって、意外とすごいんだね」なんて言われたら……。
「……勝手にすれば」悠真はわざと冷たく言い放った。大輝は「ちぇっ」と不満そうにしながらも、いつものことだとばかりに気にせず続けた。
「でさ、俺、陽菜とプロジェクトのこと相談しようと思って、明日放課後、図書室で居残りするんだ!」
悠真の手からメロンパンが落ちそうになった。図書室? もしかして、澪もいるかもしれない……。
「なんで図書室なんだよ。普通、教室でやるだろ」悠真は焦りを隠して尋ねた。
「え? なんとなく? 静かだし、本もいっぱいあるし、アイデアも湧きそうじゃん!」大輝は全く悪びれずに答える。
「……俺も、行く」悠真はごにょごにょと呟いた。
「え? 今なんて言った? 聞こえねーな」
「だから、俺も行くって言ってんだろ! 眠いから、静かなところで寝たいんだよ!」悠真は顔を真っ赤にして言った。
大輝は目を丸くした後、ニヤリと笑った。「なんだよ、素直じゃねーな! 寝るだけじゃなくて、手伝えよな! まあ、悠真が来るなら心強いぜ!」
悠真はふいっと顔を背けた。心強いなんて言葉を向けられるのは、ひどくむずがゆい。でも、明日、図書室で澪に会えるかもしれないという期待が、悠真の胸の中に小さな波紋を広げていた。

つづきはこちらから
↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓


いいなと思ったら応援しよう!

LaLaLa はぁ、はぁ……っ! お願い、です……! 『怪獣の腹の中で』を……どうしても、私の手で「紙の本」にしたいんです……っ! あなたの、そのサポートが……本の、一ページに、なります……っ。 はぁ……応援、してくれませんか……っ?

この記事が参加している募集