芸術評論 with 占星学 (118) G.マリ 「金婚式」
【単旋律の響き】
作曲者のガブリエル・マリは、19世紀後半から20前半前半まで活躍したフランスの音楽家で、山羊座で月は蟹座か獅子座に当たる。次回紹介するフィオッコ、それからガヴォットのゴセックなどもそうだが、山羊座作曲家には、ヴァイオリンの音色が生きる単旋律的な佳曲が多い。彼らは交響曲やオペラを書いているケースもあるが、現在愛されている曲は、小曲が多い。「金婚式」は、ヴァイオリンの練習曲として知られるが、独立した鑑賞曲として優れた作品である。
【木目調の音色】
すべてではない、いつもでもないが、山羊座の作風にはどこか「木目調」の雰囲気があることが多い。ヴァイオリンなら木製楽器なんだから当たり前ではないのかと言うかもしれないが、そうではない。天秤座の音楽に木目調など求めようがない。無駄がなく、音の響き合いを尊重する美意識は木目調的ではない。山羊座作曲家の持つ単旋律で音を響かせる感覚、そしてそれに独特の素朴感があるところ、などである。それが先に挙げたような、ゴセックやフィオッコといったかたちでマリとともに現代に音楽的寿命をつないでいる。現代ロックでは、レッド・ツェッペリンのジミー・ペイジという人が顕著だ。また、邦楽では竹内まりやの有名曲「五線紙」を作曲した安部恭弘という人がいる。一聴して「山羊座だ」と分かった曲なので言及しておきたい。
【絶妙のネーミング】
それにしても、『金婚式』はなんと可憐な曲だろう。このような曲に浸るたびに、私たちは、未来というよりも、過去や歴史に目を向け、振り返るのだ。そして、ここまでで取り上げた曲4曲に共通なのは、どこか意識がゆっくりなのだろう。それが落ち着いた曲の豊かさを再現するのである。「金婚式」というタイトルも出来過ぎである。山羊座は元々占星学上「老人」を表す。子供の時は、「金婚式」の言葉の意味はわかっていても、実感はなかった。けれどこの山羊座の曲は、このタイトルでなければいけないのだ。
【演奏はいろいろ】
この原稿を書いていて驚いたのは、皆様に紹介したいこの曲の演奏動画が、どうも定まらないことだった。練習曲として多くの学生があげているのだから数量が多いのは前提だが、それにしてもちょっとしたテンポやリズムで私にとって寄り添えない演奏になっているものが多かった。ピアノ伴奏についてもずいぶん単純なアレンジで済ませているものも多いなと感じた。
そこでやむを得ず、私所有の音源をリンクしました。
