となりの人間さん vol.1:「失敗」
こんにちは。KYOTOGRAPHERSです。
今回から、定期連載「となりの人間さん」をスタートします。
「となりの人間さん」では、KYOTOGRAPHIE 2025のテーマ「HUMANITY」に関連して、「人間味を感じたエピソード」についてコミュ部メンバーたちがそれぞれの思い出を振り返って語ります。読んでくださったみなさんも、ぜひあなたの「となりの人間さん」たちに思いをめぐらせてみてください。
今日は私、コミュ部のななはが担当します。
私が「人間」といって思い出すのは、小学一年生のときの図工の授業です。色紙やビーズなどのきらきらしたカラフルな材料を使って、人形を作りました。顔部分に選んだのは、ピンクの緩衝材。それを透明な袋で包み、金のモールでぎゅっと縛って、目玉と口のパーツをつけました。ツインテールを模したセロファン紙を左右に貼り付けて、完成。私はその瞬間、自らの手で、ひとつの生命を創り出したかのような達成感に満たされました。
ただ、作品にはタイトルを付けねばなりません。ほかのクラスメートたちは続々と、例えば「かれんちゃん」や「りくくん」のようなかわいらしい人名を迷うことなく書き出しています。一方、タイトルがまったく思いつかず、途方に暮れた私は、彼女を「にんげん」と名付けました。6歳の苦肉の策でした。
そしてまもなく、名前を変えたくてたまらなくなってしまいました。
名前が「にんげん」ではあまりにかわいそうだと、幼いながらに危機感を覚えたのでしょう。とはいえ、すでにタイトルはサインペンで書かれてあります。でかでかと。
そこで私は、線を足したり、濁点を半濁点に変えたりすることにしました。もはや、新たに気の利いたタイトルにしようなどと考えてはいません。「に」や「げ」を別のひらがなへ変化させる、ただそれだけを目指して一心不乱にペンを動かし続けました。試行錯誤の結果、生まれ変わった「にんげん」の名前は、「たんぱん」です。
短パン。
なんだか、もっとかわいそうになってきました。
焦った私は最終的に、「たん」を黒く塗りつぶして「ちゃん」を付け足し、「●●ぱんちゃん」とすることで事なきを得ました。
ぱんちゃんはそれから10年ほど、なぜか玄関の鏡に貼り付けられていました。私はそこで毎朝ぱんちゃんを見上げては、苦々しいような、それでいて愛おしいような思いを彼女に抱きつつ、学校へと出かけていきました。
元はただの「にんげん」だった。それが「たんぱん」になり、「ぱんちゃん」となる。
つまり、最初は何の変哲もなかった人が、服を着て、他者に愛称を付けられることで特別な存在になっていく。この一連の流れは、人間にとって普遍的なことを語っているのではないでしょうか。
・・・うまくまとめようとしましたが、さすがに無理がありますね。
あるいはこのエピソードからわかるのは、失敗を取り返そうとしてさらに失敗を生んでしまう、そんな人間のどうしようもなさかもしれません。しかし、私は予定調和の成功よりも、思いがけない失敗をすることにこそ、人間らしさがあると思うのです。
つまり、私の考える人間味を一言で表すなら、「失敗」です。

一度「にんげん」と名付けられてしまった「ぱんちゃん」。心なしか悲しそうですね。
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(文・編集・写真:山上奈々羽[KYOTOGRAPHIEインターン])
