葵祭の原点!日本最古の神幸列「御蔭祭」
生まれたばかりの荒御魂(あらみたま)。
葵祭の深淵、日本最古の神幸列を歩く祭り、と聞いて何を思い浮かべますか?威勢のいい掛け声とともに担がれる、黄金に輝くお神輿でしょうか。
けれど、京都の初夏を彩る「葵祭」は、少し趣が違います。
その一ヶ月にわたる壮大な祭礼のなかで、もっとも神秘的で、もっとも「原始の気配」を色濃く残す神事。それが、御蔭祭(みかげまつり)です。
平安京が生まれるずっと前から続いているという、日本最古の神幸列についてレポートいたします。

山で生まれたばかりの「荒御魂」を迎える
「祭りにお神輿が出ない?」
そう不思議に思う方もいるかもしれません。
御蔭祭の主役は、お神輿ではなく、一頭の神馬(しんめ)。
比叡山の麓、御蔭山で新たに生まれたばかりの瑞々しくも荒々しい神の魂「荒御魂(あらみたま)」を、馬の背に乗せて下鴨神社へとお迎えする。
それがこの祭りの核心です。
「神が新たに生まれ変わる」という、原始的な信仰のかたちが、ここには今も息づいています。

下鴨神社の神様は、もともと神社の中にずっといらっしゃるわけではありません。 田植えの季節になると、近くの「御蔭山」という山に降りてこられます。その生まれたばかりのフレッシュな神様の魂(荒御魂)を、神社へとお連れするのがこの儀式なのです。
なんと、紀元前581年から続いているという伝承も。平安京ができるよりもずっと前から、人々はこうして神様を山からお迎えしていたのですね。

新緑の「糺の森」での切芝神事と東舞
神幸列が下鴨神社に到着すると、舞台は糺の森(ただすのもり)へと移ります。
木漏れ日のなか、古式ゆかしい装束に身を包んだ人々が織りなす「切芝(きりしば)神事」。
ここで奉納されるのは「東遊(あずまあそび)の舞」。
この舞は御蔭祭、葵祭のほかに、石清水八幡宮の石清水祭などで披露される古典舞踊です。なかなか見ることのできない優雅な舞に心を奪われます。

この後、神様は「御生木(みあれぎ)」という榊(さかき)の若木に移り、いよいよ本殿の中へ。最後の1時間は門が閉ざされ、ひっそりと、大切に「神迎え」が完了します。
葵祭は天皇から新しく迎えられた神様への「お祝い」のご挨拶
こうして新しい魂を吹き込まれた神様へ、「おめでとうございます!これからも国を見守ってくださいね」と天皇陛下からの贈り物(御幣物)を届けるのが、あの有名な5月15日の葵祭。
京都三大祭「葵祭」!華やかな時代行列「路頭の儀」と厳かな神事「社頭の儀」の見どころとは
勅使(ちょくし/天皇の使い)の祭文には「風水害が起こらないように」など、国家の安泰と国民の安寧を祈る天皇の祈りが書いてあるそうです。
※勅使については「日本三勅祭」の記事をご覧ください

丁寧なガイドで、物語の深層へ
今回は、京都の奥深い魅力を知り尽くした「まいまいツアー」に参加。
京都旅屋のガイド・吉村晋弥さんの語りは、単なる解説に留まりません。
御蔭祭の参列者にも「吉村さんのツアーで来たの?あのガイドさん、なんでも知っていて詳しいね~!TVで出たときは10分の1くらいに控えているよね。」と声をかけられました。
吉村さん「馬に乗って神様が移動するのは、この祭だけです。」
など、御蔭祭についてわかりやすく教えていただきました。
石碑や植物なども、お伺いするとなんでも答えられるのが凄い。
さすが京都検定1級を8年連続1位と安心感が増します。
声も聴きやすく、休憩などの心遣いも抜群です。
今回のこの記事も吉村さんのおかげで書けました。ありがとうございます。

葵祭は、静かに、けれど力強く始まっています。
華やかな行列も素敵ですが、その根底にある「神聖な魂の更新」に触れるひととき。日本人の心の奥底にある、目に見えないものへの敬意を、御蔭祭はそっと思い出させてくれるのです。
次の京都。もしタイミングが合うのなら、この「始まりの物語」を追いかけてみませんか。

御蔭祭スケジュール
毎年5月12日に行われる下鴨神社の神をお迎えする神事。
午前中に比叡山西麓の御蔭神社に列が向かう(現在は車列)。
正午に神社で新たな神を迎えると、神霊は赤の宮神社を経て、茶の木原公園で神馬の背に乗り換えて下鴨神社に向かいます(晴天時)。
糺の森では切芝神事が行われ、糺の森に宿る神々の精霊とともに馬の背にお乗りになった新たな神が東遊(あずまあそび)の舞をご覧になります(晴天時)。

9:00 御影祭 勧盃の儀 行粧進発(下賀茂神社 舞殿)
11:00 御蔭山の儀(御蔭神社)
12:00 路次祭(赤の宮神社)
16:45 切芝神事(下鴨神社参道)
17:00 本宮の儀(下賀茂神社本殿/非公開)
行粧路 下鴨神社 ▶ 御蔭神社 ▶ 赤の宮(賀茂波爾神社) ▶ 茶の木原公園 ▶ 下鴨本通行幸 ▶ 河合神社 ▶ 糺の森切芝 ▶ 本宮
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