探検家も迷う!?地球にある「3つの北極」の正体
自由研究などで「方位磁石」を使ったことはありますか?
針が指す「北」に向かって歩き続ければ、いつか北極点に着く……実はこれ、間違いなんです。
地球には、私たちが知らない「3つの北極」が存在します。この秘密を知ると、地球がまるで生き物のように動いていることが見えてきます。
1. 地図のてっぺん「地理学的北極」
私たちが地図で見る、北緯90度の地点です。地球の自転軸(独楽の芯のようなもの)が突き抜けている場所で、ここが本当の「北の端」です。
北極点に行けば、どの方向を向いても「南」になります。
2. 方位磁石が指す場所「磁北点(じほくてん)」
方位磁石のN極が吸い寄せられる場所です。驚くべきことに、磁北点は「地理学的北極」とは違う場所にあります。
しかも、この場所は毎年数十kmという猛スピードで移動しています。
かつてはカナダの北部にありましたが、現在は北極海を渡ってロシア(シベリア)の方へ動いています。そのため、スマホの地図や飛行機のナビゲーションは、常にこのズレを修正し続けなければなりません。
3. 地球を巨大な磁石と見た「地磁気北極」
地球の内部には、ドロドロに溶けた鉄が流れていて、地球全体が巨大な棒磁石のようになっています。
この「巨大な磁石の軸」が北極側で地表と交わる点が「地磁気北極」です。オーロラが発生する場所などは、この地磁気北極を中心としたエリアに現れます。
なぜ「北極」が3つもあるの?
それは、地球の内部が動いているからです。地球の中にある「鉄の流れ」が変化することで、磁力線の出口(磁北点)がふらふらと移動してしまうのです。
これを専門用語で「地磁気の永年変化」と呼びます。
【自由研究のヒント】君の家の「北」は何回ズレている?
この記事を元に自由研究をまとめるなら、こんなステップがおすすめです!
「偏角(へんかく)」を調べよう
地図の北(真北)と、方位磁石の北(磁北)のズレを「偏角」と言います。日本では、方位磁石は本当の北よりも西側を指します。
参考:国土地理院 日本各地の偏角値
昔の地図と比べてみよう
磁北点は移動しているので、100年前の地図と今の地図では「磁石の指す向き」が違います。
「磁石の北」を追いかけてみよう
もし磁石の指す通りに旅をしたら、どこに辿り着くのか? 地図上に線を引いてシミュレーションしてみるのも面白いですよ。
自分の町の「偏角」を調べる方法
日本国内の磁気のズレを正確に管理しているのは、国土地理院です。彼らが公開している一次資料を使えば、日本中どこでも数値を算出できます。
計算ツール(磁気図)国土地理院 地磁気計測量 計算サイト
日本の主要都市の例(2020年基準値)
場所によってズレの大きさ(角度)が違うのがポイントです。
札幌: 約 10.1度(西に大きくズレている)
東京: 約 7.6度
那覇: 約 4.2度(ズレが比較的小さい)
北に行くほど、磁石の針が西に大きく傾く傾向があることがわかりますね。
なぜ場所によってズレが違うのか?
地球は巨大な磁石ですが、その磁力の形はきれいな球状ではありません。
磁力線の歪み 地球内部の外核(液体状の鉄など)の対流が複雑なため、磁場にはムラがあります。
岩石の影響 地層に含まれる磁石を引きつける岩石(磁鉄鉱など)によって、局所的に磁力線が曲げられることもあります。
これらを詳しく観測しているのが、NOAA(アメリカ海洋大気庁)や日本の国土地理院といった専門機関です。
自由研究に役立つ「実験とまとめ」のアイデア
数値を知るだけでなく、それを「見える化」すると自由研究のクオリティがぐんと上がります。
実験 自分の家の「本当の北」を見つけよう
お昼の12時(南中時刻)に棒を立て、影の向きを記録します。その影が指す反対方向が、太陽が教える「地理的な北」です。
そこに方位磁石を置いて、針が指す方向(磁北)と、影の線(真北)を分度器で測ってみましょう。
国土地理院のデータと、自分の実験結果が一致するか確かめてみましょう。
考察のポイント 「なぜ、昔の探検家は方位磁石だけで迷わずに航海できたのか?」 実は、昔の海図にはこの「ズレ」が計算に入れて書き込まれていました。このズレを知ることは、人類が地球の裏側まで旅をするために不可欠な知恵だったのです。
まとめ
地球の磁力は、太陽から来る有害な粒子から私たちを守る「バリア」の役目も果たしています。北極が3つある理由を探ることは、私たちが住む地球の安全装置の仕組みを知ることでもあるのです。
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