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「私には選挙権がなかった」投票所で見た風景


選挙に行こう。とくかく一票を投じよう。
この話は選挙のたびにSNSに書くから、何度も目にしている人も多いかも知れない。でも、何度でも話すよ。

以前、投票所で投票用紙を渡すアルバイトをしたことがある。
もう十数年前だ。
真夏の一番暑い盛り、外に出るのもためらうような猛暑日だった。
そんな中、車椅子に乗ったり、お孫さんと見られる若者に手を引かれて非常にゆっくりとした足取りで来る高齢女性が数人いた。
90歳は超えているような方ばかりだ。
震える手で鉛筆を握り、ゆっくりと候補者の名前を書く。
私はそうまでして彼女たちが投票所に来る理由がわからなかった。

その中の一人がお孫さんと見られる女性に言った。
「若い頃、私には選挙権がなかったの」
なんでだろう?と思ったら、選挙管理委員の方が教えてくれた。

「女性が参政権を得たのは戦後からなんです。だからあの方たちは這ってでも来るのです」

女性が参政権を得たのは昭和21年。
それまでは立候補はおろか投票もできなかった。
選挙権がないことは人権がないのも同じ。
日本にいながら「いない」人も同然だった。

その前は成人男性でも一定の所得がなければ投票権はなかった時代もあった。つまり貧乏人と女は人じゃなかったってこと。

その権利を得るために、どれほどの血と汗と涙が流されたのか。
どれだけの抵抗があったのか想像してほしい。
日本はいい国、安全な国。このまま変わらなくていい。
そんな安全・安心な国はたくさんの人の「抗う力」で築かれていることを忘れないでほしい。勝ち取った選挙権は手放さずに行使してほしい。

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