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共感覚者の見ている世界

院に必要な単位の関係上、
臨床心理とは関係のない授業を
いくつか取らなければなりません。

スケジュール上、
取らざるを得ないとされ、
院生全員参加している美術関連の授業。

映画史、マンガ史、分析の視点と、
筆者の好きなゾーンばかりの内容であり、
癒しとなっています 笑


共育LIBRARYへようこそおいでくださいました✨

教育、人間、人生など、様々な「知恵」や「情報」が詰まった図書館のような、皆さんがくつろぎ、人生の「気付き」を得たり、知的好奇心を満たしたりできる居場所を目指しています😌

どうぞ、ごゆるりとお過ごしください。

共育LIBRARYりょーやん、元教師です。


視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚、固有受容覚、前庭覚。

私たち人間は、
日常世界から受け取る大量の感覚刺激を処理して、
この世界を知覚しています。

近年は、
過敏性や鈍麻性(低反応)というワードが
ポピュラーになってきたこともあり、

感覚の感じ方は
人それぞれで多様性に富んでいる
ことが
認知されるようになってきました。

そんな、
ニューロダイバーシティ(神経多様性)
の時代だからこそ、
注目が集まっている症状がある。

それが、共感覚です。

共感覚について述べられている文献は、
まだまだそう多くはないですが、

その一部を垣間見ることができる
記事にしていけたらと思います。

楽しんでいただけると幸いです。



共感覚とは?

共感覚とは、

▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢

ある感覚の刺激に対して、
通常は関係しない他の感覚や知覚が
自動的かつ一貫して引き起こされる現象

▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢

のことを指します。

最もよく耳にするのが、
文字に色が見えるという
色字共感覚というものです。

音を聞くと色や形が見える
音色共感覚
もありますし、

曜日や月などの時間的概念が、
空間的な配置として見える
時間空間共感覚というものもあります。

味+形の組み合わせや、
視覚+姿勢の想起といった組み合わせも存在する。

「黄色い声」

といった表現が使われますが、
あれは共感覚者が感じた世界を
言葉にしたものかもしれません。

一部の若干怪しい世界では、
「私はオーラが見えます」などと言う人がいますが笑、

共感覚者の場合は、
人に色が見える人もいるので、

「オーラ」という概念は
共感覚者が発信したものなのかもしれません。

まあ、多くの共感覚者は、
自ら「オーラが見えます」なんて
怪しいことを言う人はいないと思いますが 笑

共感覚の組み合わせは、
2つの感覚だけで起こるのではなく、
3つ以上の組み合わせでも起こります。

そう考えると、
その組み合わせは無数に存在することになり、
150種類が存在すると言われている。

ただ、
文字で色が浮かび上がる場合、
色で文字が浮かび上がることはありません。

つまり、
双方向ではなく、
一方通行の現象だということです。

ではここからは、
共感覚の仕組みについて
もう少し深堀していきます。


共感覚は誰しもがもっている?

共感覚をもつ人は、
どれぐらい存在するのでしょうか。

一説では、
23人に1人と言われ、
男女比は1:6とされています。

つまり、
学校で言えば1クラスに1人
共感覚の子どもがいるということになります。

そもそも、
共感覚という状態は
先天的なものなのでしょうか。
それとも、後天的にどこかで発動するものなのでしょうか。

ほとんどの場合は、
前者だと言われています。

そして、
共感覚というものは
実は誰しもがもっていたものとされてもいるのです。

その根拠は、
生まれたばかりの赤ちゃんは
感覚が個別化されていない
ことから来ています。

人間の脳は、
1歳で重さが1000gとなり、
成人の構造に似てきます。

2歳では、
成人の25~30%の脳容量。

3歳になって、
成人の80%の容量になる。

生後間もなくは、
原始反射という
無意識に身体が反射をする状態があり、
それは脳幹部分が司っていると言われます。

そのような統合を行っていくことにより、
徐々に間脳、中脳、大脳と
脳の分化が進んでいく

感覚の処理を司る脳の部位も、
それぞれが異なりますから、

脳が十分に形成されていない時期は、
感覚をごちゃまぜに受け取っているのです。

赤ちゃんの感覚については、
異なる2種類のおしゃぶりを使った実験があります。

視覚を隠した状態で、
表面がつるつるのおしゃぶりと、
つぶつぶのおしゃぶりをしゃぶらせる。

すると、
自分がしゃぶったおしゃぶりを
長く注視した
という結果が判明しました。

つまり、
触覚を視覚的に捉えることが
赤ちゃんはもともとできている
のです。

通常は、
発達とともに感覚が個別化していくのですが、

共感覚者は、
その個別化のプロセスの中で
通常とは違った様相が発生しているようです。


共感覚の構造

共感覚研究の先駆者の一人、
リチャード・E・シトーウィックは
共感覚者を集めて様々な実験を行いました。

ある一人の被験者の場合は、
脳の燃料の消費についての考察が述べられています。

組織に必要な燃料となる
酸素とグルコース。

その燃料が不足したとしても、
脳は一時的に耐えられる
ような仕様になっています。

しかし、
ある共感覚者の脳は、
燃料不足に全く耐えられない構造をもっていました。

まず、人間が外界から得ている
感覚刺激というものは、
皮質の代謝を大きく変化させます。

共感覚者の場合、
大脳の皮質エネルギー代謝のバランスが不安定で、

味やにおいの刺激で起こる
大脳の急激な血液循環の変化に
対処するゆとりがなくなる

すると、
結合の分断が生じて、
共感覚が意識下に解放されるということが
述べられています。

前章でも述べた通り、
誰しも生まれたときに共感覚をもっている。

ただ、
発達のプロセスの中で、
それらは完全に意識から失われていく。

一方、共感覚者の脳では、
燃料不足といった状況や、
脳の構造の関係で、
意識下に現れやすいようになっているということなのです。

このことを、
リチャード氏は以下のように表現しています。

「共感覚は、いつでもだれにでも起こっている神経プロセスを意識がちらりとのぞき見ている状態だ」

共感覚だけでなく、
てんかんや脳への電気刺激などで、
似たような現象が起こることもある。

共感覚は、
それほど特別なものなのではなく、

誰しもが本来もっている世界への扉が、
少し開きやすいとい特性なのかもしれません。


共感覚者のメリット・デメリット

共感覚者でいることで、
人生にどのような影響が生まれるのでしょうか。

よく言われる共感覚者のメリットとして、
記憶力が優れていることが挙げられます。

1つだけではなく、
複数の感覚を結び付けて認知するので、
記憶にも残りやすいのでしょう。

発達凸凹の子どもたちに、
視覚や聴覚、体性感覚を組み合わせた
多感覚指導を行うと指導が入りやすくなります。

そのようなことを踏まえると、
記憶に残りやすい側面は確かにあると思える。

ダニエル・タメットという人物は、
共感覚を利用して
円周率を2万2514桁まで覚えたそうです。

また、
芸術家、詩人、小説家などは、
共感覚をもっている割合が
一般よりも7倍多いという説もあります。

宮沢賢治や、
モーツァルトもそうだと言われている。

宮沢賢治の作品を読むと分かりますが、
異常なまでに色の描写が出てきます。

あれが、
共感覚をもつ賢治が見ていた世界なのだとすると、
あの表現に納得できるものがある。

一方で、
日常的に複数の感覚を使って
世界を認知するのですから、
疲れやすいというデメリットも生じます。

感覚刺激を受け取るためには、
脳の燃料を燃やさなければならないわけですから、

受け取る感覚刺激が多くなると、
燃料の消費量が大きくなることは、
想像に難くありません。

そして、
生まれたときから
共感覚の世界が当たり前であるが故に、

周囲との世界の見え方の違いを
認知しずらい
という面も存在する。

周囲から異質な存在と思われてしまったり、
自身の特異性を隠して
様々思慮を張りめぐしながら
生きていかなければならない場合もある。

現在は多様性の時代であり、
共感覚をカミングアウトしやすくなっていると思いますが、

それでもまだまだ、
世間的には認知が少ない症状でもある。

理解されない生きづらさを感じながら
生きている人も多くいるはずです。


まとめ

筆者は特に共感覚はないと思いますが、
人とは違った視点で
世界を認知していると思う瞬間がたびたびあります。

臨床心理のセラピーのロールプレイでも、
視覚や聴覚だけではなく、

触覚を使って、
空気の力動を感じながら、

クライエントに自分の力動を
溶け込ませていくように働きかけました。

人にそれを伝えても、
理解されないことも多い。

自身に吸収しやすい学習法も、
やはり人とは違うなと感じます。

脳の神経は実に多様であり、
共感覚も含め

その「個」の世界を如何に想像・体験するかで、
相手の理解を深めることができるのでしょう。

そんなことを考えながら、
相手とシンクロしてより理解できるように
自身を磨いていきたいと思います。


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