見出し画像

洋楽探訪#20:ザ・パワーステーション『Some Like It Hot』──ガス抜きプロジェクトの奇跡

「ザ・パワーステーション(The Power Station)」──80年代をリアルタイムで通ってきた人には、ちょっと特別な響きのある名前かもしれません。
このバンドは、デュラン・デュランの“ガス抜き”プロジェクトとしてスタートしたものでした。

当時、人気絶頂だったデュラン・デュランは、あまりの多忙と内部の緊張で一旦活動休止に。そしてその期間に、ふたつのサイドプロジェクトが立ち上がりました。
ひとつが、サイモンとニック、ロジャーによるシンセ系ユニット「アーケイディア(Arcadia)」。
もうひとつが、ロック志向の強いジョン・テイラーとアンディ・テイラーが中心となった「ザ・パワーステーション」です。

最初に聴いたときは正直、「あ、これもうデュラン・デュラン戻ってこないな…」と思ったほど、完成度の高いバンドでした。
ドラムはあのシック(CHIC)の名手トニー・トンプソン、プロデューサーはバーナード・エドワーズ、そしてボーカルはまだ無名だったロバート・パーマー。今思えば、すごい顔ぶれですよ。

中でもインパクトが大きかったのは、やはり『サム・ライク・イット・ホット(Some Like It Hot)』ですかね。重たいドラムがズドンと響き、ジョン・テイラーのクールでタイトなベースがうねり、アンディのギターがファンキーに絡む。
そして何より、ロバート・パーマーの粘り気のあるダンディなボーカル。あれは完全に“化学反応”でした。

曲としてはファンクとロックのちょうど真ん中を行く感じで、でもデュランっぽさはほぼゼロ。
それがまたよかったです。新しいけど、すごくカッコいい。大人のロックってこういうのだよな、って思いました。

ただ、ガス抜きプロジェクトだけあって、ガスが抜けたらプロジェクト終了。このバンドは1枚のアルバムだけで終わってしまい、メンバーはそれぞれの本業へ戻っていきました。
デュラン・デュランも解散せずに復活。でも、もう少しこのバンドの進化を見てみたかったな…という思いは、みんなあったんじゃないですかね。

ロバート・パーマー、トニー・トンプソン、バーナード・エドワーズ──この伝説的メンバーたちはすでに他界し、残っているのはジョンとアンディの2人だけ。再結成はもう叶いませんね。

「Some Like It Hot」は一度きりの奇跡。そして、80年代の“最高の脱線”として、今も心に残る名曲です。



※Amazonアソシエイト・プログラムを利用しています。
※ヘッダー画像は僕の私物であるレコード、CDのジャケットを撮影したものです。

いいなと思ったら応援しよう!

京井良彦 | キョウイヨシヒコの「好きなことで自由に生きる!」 いつもサポートをありがとうございます!