うんこと呼ばれるお父さん
第一次反抗期、
子は父を「うんこ」としか呼ばなくなった。
その決意は頑なだった。
1年弱「うんこ」呼びが続いたのだ。
何度も「お父さん」と呼ぶように促してはいたが、
一向に「うんこ」のままだった。
しまいには、「おい、うんこ」と偉そうに呼び始めた。
その状態に痺れを切らした私は、とてつもなく怒った。
これまでで1番叱った。
「お父さんのこと、うんこと呼ぶのやめなさい!」
叱られて泣いている子に勢いよく投げつけた言葉。
その返しは
「だって、うんこなんだもん!」
ヒクヒクするほど泣きながら訴えてきたのは、
「だって、うんこなんだもん」だった。
いや、うんこではない。あなたの父である。
どうしてそれがうんこになるのだろうか。
寒かった季節が暑くなっても、
子は自らの父をうんことを呼び続けた。
うんこ(いや、正確には父)と
会話をしないわけではない。
強烈に叱った後も
子のうんこ呼びは変わることはなかった。
雨の日も風の日も晴れの日も
「あなたの父はうんこでない」と言い続け、
「うんこから生まれたらあなたもうんこになる、
だからうんこと呼ぶのはやめなさい。」
と言っても聞く耳を持たず。
子はいつからか始めてしまったうんこ呼びを
お父さん呼びに戻すタイミングを失ってしまっていた。
このまま、この子は、結婚式で両親への挨拶の時も
「うんこ、お母さん、これまで育ててくれてありがとう」
なんて言うことにならないか。
うんこお母さんって言ってるみたいで、
私がうんこになってるみたいだし。
なんて将来に対する心配だって絶えなかった。
私は悩んでいた。
いつまでうんこと呼ぶのだろう。
それにしても長い。
1年は長い。
このまま永遠に、うんこと呼び続けるのだろ…う、か!?
あれ?お父さん呼びに戻ってる。
てか、すんごい甘えん坊になってる。
すんげーお父さんっ子になってる。
なんやねん、めちゃくちゃ心配して悩んだのに。
子よ、父のこと、
うんこと呼び続けた日々を忘れるな。
今あなたが甘えまくってる父はかつて
うんこだったのだ。
