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ことばより先に「コンコンカッ」と卵を割ったきみ

まだ小さいあなたが、卵のことを「コンコンカッ」って言うの。初めはなんのことかわかんなくって、「そうだね〜、コンコンカッだね〜」と、とりあえず話を合わせていた。


わたしが卵を持っているときに必ず言うことに気づいて、「もしかして卵のこと!?」と、聞いてみると、満開に咲いた花のような笑顔を見せてくれた。



分かってもらえなくても、ずっと伝えてくれてたんだよね。「それがコンコンカッだよ」って。



そんなあなたは、割れた卵から一気に飛び出す中身のように、ことばを勢いよくあふれさせるようになった。


いつの間にか、「コンコンカッ」としか言えなかったあなたが、「たまご!コンコンする」「まぜまぜする」なんて、はっきり伝えてくれるようになっていて。


卵を冷蔵庫から取り出すときに、わたしはいつもこっそり。だって、卵を見つけた瞬間に、「コンコンカッするー!」と勢いよくキッチンに走ってくるから。


手を洗って、卵をいっしょに割るのが、とんでもない時間ロス。その卵を混ぜたいだの、フライパンに流し込みたいだの。あなたがいると、料理が全然進まない。



……と、思っていたのに。


スムーズに作れる卵焼きって、なんだか塩を多く入れすぎちゃったのかな。もうあなたがキッチンに入ってこない日を想像するだけで、卵焼きがちょっぴり塩辛い気がしてる。



いまのうちに、いっしょに割って、混ぜて、焦がして、笑って、ちょっぴり怒ったりもして。キッチンに立つその小さな背中を、たっぷり目に焼き付けておこう。わたしの記憶は当てにならないから、スマホでもちゃんと撮っておくね。




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