歩行練習につながるレクリエーション 〜「歩きましょう」より、「そこまで行ってみましょう」〜
こんにちは。
OKITAKA TOSHIAです。
介護現場でリハビリやレクリエーションをしていると、歩行練習が必要な方に出会うことがあります。
転倒予防のため。
下肢筋力を保つため。
食堂やトイレまで安全に移動するため。
できるだけ自分の足で生活するため。
歩くことは、生活に直結します。
でも、利用者さんにとって「歩行練習」は、必ずしも楽しいものではありません。
「歩きましょう」
「もう一往復しましょう」
「足を上げてください」
「リハビリだから頑張りましょう」
こう言われても、本人の気持ちが乗らないことがあります。
「今日はええわ」
「しんどい」
「歩いたら転びそうで怖い」
「別に歩かんでもいい」
「もう年やから」
このような反応は、現場ではよくあります。
私は、歩行練習をただの訓練として行うより、レクリエーションの中に組み込む方が参加しやすくなると感じています。
大切なのは、
“歩く理由”を作ること
です。
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歩行練習が嫌がられやすい理由
歩行練習を嫌がる理由は、単純な「やる気のなさ」だけではありません。
理由はいくつかあります。
まず、転倒への不安です。
過去に転倒した経験がある方は、歩くこと自体が怖くなっています。
「また転ぶかもしれない」と思うと、自然に動きたくなくなります。
次に、痛みや疲労感です。
膝が痛い。
腰が痛い。
足が重い。
息が切れる。
少し歩くだけで疲れる。
この状態で「歩きましょう」と言われても、前向きにはなりにくいです。
そして、目的が見えにくいこともあります。
職員側は「ADL維持」「廃用予防」「下肢筋力向上」と考えています。
でも、利用者さん側にはその言葉が生活実感として届いていないことがあります。
だからこそ、歩行練習には、
何のために歩くのか
どこまで行くのか
行った先に何があるのか
が必要です。
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「歩きましょう」より「そこまで行ってみましょう」
声かけ一つで、印象はかなり変わります。
「廊下を歩きましょう」
よりも、
「窓のところまで行って外を見てみましょう」
「もう一往復しましょう」
よりも、
「赤い的をタッチして戻ってきましょう」
「足を上げてください」
よりも、
「この線をまたいでみましょう」
「リハビリです」
よりも、
「ちょっと確認してみましょう」
歩行そのものを目的にするのではなく、
歩いた先に小さな目的を作る
ことが大切です。
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おすすめ活動1
的タッチ歩行
目的
歩行練習
方向転換
立位バランス
上肢リーチ
注意力
達成感
準備物
壁に貼れる的
付箋
色カード
ホワイトボード
やり方
壁やホワイトボードに、赤・青・黄などの的を貼ります。
利用者さんに歩いて近づいてもらい、指定した的をタッチして戻ります。
例:
「赤い的をタッチして戻りましょう」
「次は青に行ってみましょう」
「好きな色を選んでください」
声かけ例
「今日は赤い的まで行けたら十分です」
「ゆっくりで大丈夫です」
「方向転換は焦らずいきましょう」
「今の戻り方、安定していました」
ポイント
的があることで、歩く目的がはっきりします。
距離も調整しやすく、成功体験を作りやすいです。
注意点
方向転換時にふらつきやすい方がいます。
必ず近くで見守り、必要に応じて介助します。
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おすすめ活動2
色探し歩行
目的
歩行
視覚探索
注意力
環境認識
認知課題
準備物
色カード
色付きの物
付箋
やり方
部屋の中に色カードを置きます。
「赤いカードを探しましょう」
「青いカードまで歩いてみましょう」
「黄色のカードを見つけたら教えてください」
という形で進めます。
声かけ例
「周りを見ながら歩いてみましょう」
「急がなくて大丈夫です」
「よく見つけましたね」
「次は少し近いところにしますね」
ポイント
歩行しながら周囲を見る練習になります。
生活場面では、歩くだけでなく、周囲を確認しながら移動する力が必要です。
注意点
探すことに集中しすぎると、足元への注意が落ちることがあります。
ふらつきがある方には、距離を短くして行います。
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おすすめ活動3
買い物リハビリゲーム
目的
歩行
記憶
選択
生活動作
注意分配
役割意識
準備物
商品カード
空のカゴ
机
椅子
やり方
部屋の中に商品カードを置きます。
例:
牛乳
パン
卵
りんご
新聞
洗剤
職員が、
「今日はパンと牛乳を買ってきてください」
と伝えます。
利用者さんは歩いてカードを取りに行き、カゴに入れて戻ります。
声かけ例
「今日は買い物の練習です」
「何を買うか覚えていますか?」
「生活に近い動きですね」
「戻る時もゆっくりで大丈夫です」
ポイント
歩行練習に生活感が出ます。
買い物が好きだった方、家事をしていた方には入りやすい活動です。
難易度調整
商品を1つだけにする。
商品カードを近くに置く。
写真カードを使う。
職員が一緒に歩く。
座位でカード選びだけにする。
注意点
記憶課題を入れると難易度が上がります。
認知機能に合わせて、商品数を調整します。
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おすすめ活動4
椅子タッチ往復
目的
歩行持久力
方向転換
立ち上がり
着座動作
バランス
準備物
椅子
目印
安全な通路
やり方
椅子から立ち上がり、数メートル先の椅子や目印をタッチして戻ります。
距離は短く始めます。
声かけ例
「今日はここまで行けたら十分です」
「戻る時もゆっくりいきましょう」
「座る時は手すりを確認しましょう」
「方向転換が安定していました」
ポイント
立つ、歩く、方向転換する、戻る、座る。
生活で必要な一連の動作が入ります。
注意点
立ち上がり時と着座時は転倒リスクが高いです。
椅子が動かないように設置します。
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おすすめ活動5
音楽ストップ歩行
目的
歩行
停止動作
注意力
バランス
反応
準備物
音楽
スマホやスピーカー
やり方
音楽が流れている間は歩きます。
音楽が止まったら、その場で止まります。
座位バージョンでは、音楽中に足踏みし、止まったら足踏みを止めます。
声かけ例
「音が止まったら止まります」
「止まる動きが大事です」
「急がず安全第一でいきましょう」
「今の停止、安定していました」
ポイント
歩行では、進む力だけでなく、止まる力も重要です。
停止動作の練習になります。
注意点
急に止まることでふらつく方もいます。
不安定な方は座位で行います。
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おすすめ活動6
すごろく歩行
目的
歩行
下肢筋力
意思決定
達成感
継続意欲
準備物
サイコロ
床のマス目
紙のカード
やり方
床に簡単なマスを作ります。
サイコロを振り、出た数だけ進みます。
歩行が難しい方は、座位ですごろくを行い、マスに応じて手拍子や足踏みを入れてもよいです。
声かけ例
「何マス進むかサイコロを振ってみましょう」
「今日はここまで進めましたね」
「ゴールまであと少しです」
「無理せず一つずついきましょう」
ポイント
ゲーム性が高く、継続しやすい活動です。
ゴールが見えることで達成感が出ます。
注意点
床のマス目につまずかないよう、テープや紙の設置方法に注意します。
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おすすめ活動7
ボール渡し歩行
目的
歩行
上肢操作
注意分配
バランス
対人交流
準備物
軽いボール
やり方
ボールを持って数メートル歩き、相手に渡します。
難しい場合は、座位でボール渡しにします。
声かけ例
「落とさないように、ゆっくり歩きましょう」
「渡す時に一度止まりましょう」
「今の止まり方、よかったです」
「相手の方を見て渡せましたね」
ポイント
生活では、何かを持って移動する場面があります。
注意を歩行と手元に分ける練習になります。
注意点
手元を見ることで足元への注意が落ちます。
ふらつきがある方には行わないか、かなり近い距離で行います。
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歩行レクで大切な安全確認
歩行練習につながるレクリエーションでは、楽しさよりも安全が優先です。
最低限、以下は確認した方がいいです。
* 体調は安定しているか
* 血圧や脈拍に問題はないか
* めまいはないか
* 強い痛みはないか
* 疲労感は強くないか
* 靴や装具は適切か
* 杖や歩行器は合っているか
* 床に物が落ちていないか
* 方向転換するスペースはあるか
* 椅子や机は安定しているか
* 見守り・介助者の位置は適切か
特に、方向転換・停止・着座の場面は転倒リスクが高くなります。
歩ける方でも、油断は禁物です。
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声かけで変わる歩行練習
歩行練習では、声かけがかなり重要です。
避けたい声かけは、
「もっと歩いてください」
「足が上がっていません」
「前はできていましたよ」
「転ばないようにしてください」
「頑張らないと歩けなくなりますよ」
です。
これらは、状況によっては不安やプレッシャーを強めます。
使いやすい声かけは、
「ゆっくりで大丈夫です」
「今日はここまでで十分です」
「一度止まってから向きを変えましょう」
「今の一歩、安定していました」
「戻る時も同じペースでいきましょう」
「疲れたらすぐ座りましょう」
です。
歩行に不安がある方には、安心感が必要です。
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30分メニュー例
歩行できる方が多い集団なら、私はこの流れをおすすめします。
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0〜5分:体調確認
痛み
ふらつき
疲労感
眠気
表情
歩行意欲
声かけ:
「今日は無理なくいきましょう」
「座って参加でも大丈夫です」
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5〜10分:座位で準備運動
足首回し
膝伸ばし
足踏み
深呼吸
手拍子リズム
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10〜20分:歩行レク
的タッチ歩行
色探し歩行
椅子タッチ往復
状態に合わせて1〜2種類に絞ります。
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20〜25分:座位でクールダウン
歌に合わせた足踏み
軽い下肢ストレッチ
深呼吸
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25〜30分:振り返り
「今日どこまで歩けましたか?」
「怖さはありましたか?」
「次もやってみたい活動はありますか?」
「今日はここまでできたら十分です」
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歩行練習は、生活につながって初めて意味が出る
歩行練習は、距離だけを伸ばすことが目的ではありません。
食堂まで行く。
トイレまで行く。
窓辺まで行く。
家族のところへ行く。
外の空気を吸いに行く。
好きな席まで行く。
買い物に行く。
歩くことは、生活の自由度に関わります。
だからこそ、歩行練習は「訓練」としてだけではなく、
その人の生活に近い形
で組むことが大切です。
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まとめ
歩行練習につながるレクリエーションで大切なのは、歩かせることではありません。
歩きたくなる理由を作ることです。
「歩きましょう」ではなく、
「そこまで行ってみましょう」。
「もう一往復」ではなく、
「赤い的をタッチして戻りましょう」。
「筋力をつけましょう」ではなく、
「食堂まで楽に行けるようにしましょう」。
声かけと活動の作り方を少し変えるだけで、利用者さんの参加のしやすさは変わります。
歩行は、ただの移動ではありません。
その人の生活を広げる力です。
介護現場を、少し楽しく。
利用者さんが、少し動きやすく。
歩行練習も、工夫次第でレクリエーションになります。
OKITAKA TOSHIA
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書いている人
OKITAKA TOSHIA
介護福祉士・作業療法士。元マジックバー店長。
高齢者介護・生活期リハビリの現場経験をもとに、ゲーム・手品・歌・声かけを使った「自然に動きたくなる介護」を発信しています。
テーマは、介護現場を少し楽しく、少し動きやすく。
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