2024年11月のひとこと映画感想日記
チャチャ
野良猫のように気ままに生きる女性が出会った、風変わりな恋の模様。
猟奇的なのにピュアな恋のように思えたり、自由奔放なようでいて陰口にはしっかりと耳を傾けていたり。どこかアンバランスに映るものが彼女のなかに共存していることで、よりジャンルレスな物語になっている。
まるで異国の店で見つけたビードロのような、鮮やかでカラフルな紋様に気を取られていると、物語は思わぬ方向へと転がっていく。
ジャンルも色彩もチャチャが惹かれる樂の部屋も、いろんなものがごちゃっと詰め込まれているのに、なぜだかどれも調和してオシャレに見えるのは、酒井麻衣監督のなせる技なのかもしれない。
アイミタガイ
物語に登場する誰の心も置きざりにしない視点の切り替えとストーリー構成。
原作はまだ読めていないけれど、一つひとつの場面に込められた意図をていねいに汲みとっているのが伝わってくる。
映画を見終えたあとも、きれいに結われた見えないつながりを心の底から信じたくなる魅力があった。
ルート29
他人と最低限のコミュニケーションしかとらない女性と森の中の秘密基地で暮らす気ままな少女、なんらかの事情を抱えたふたりのロードムービー。想像していたストーリーと違ってちょっと驚いた。
ほとんど説明されることのない登場人物たちのバックグラウンドに想いを馳せながら、彼らの道のりに現れる変わった人々と奇妙な出来事を眺めていく。
不思議なことばかり起きる道中でふたりの心には、些細だけど見過ごすことのできない変化が生まれる。感情がひたひたと溢れていく。
国道29号線をひたすらに進んでいくなかで映しだされる風景が印象的だった。日本にもこんな場所があるんだ。
ぼくとパパ、約束の週末
「推しチーム」を見つけるために、自閉症の息子と父はドイツ中のフットボールスタジアムを巡る旅をする、実話をもとにした映画。
子どものころの思い出と重なる瞬間がいくつもあって、あのころ観たスタジアムでの光景が蘇っては流れていった。
詳しい感想は別のnoteに書いたので興味があれば。
六人の嘘つきな大学生
最初に朝倉秋成さんが書いた原作小説を読んだとき、とても実写映画向きな作品だと思ったのも記憶に新しい。
それほどに緊迫感が溢れる会話劇と二転三転するストーリーを、ひとつの映像作品でどのように表現するのか興味があった。
個人的に、映画が公開する前までSNSやイベントなどでキャスト陣が仲睦まじい姿を見せていた分、作品が始まってからもどこか地続きで彼らを追っていたような気がする。
本作品は「映画チャンネル」さまのほうでレビュー記事の本文を執筆させていただいたので、こちらもぜひご覧ください。
アングリースクワッド 公務員と7人の詐欺師
『カメラを止めるな!』の上田慎一郎監督によって描かれるのは、マジメな公務員の男と詐欺師たちが手を組んで、脱税王から金を巻き上げようとするケイパー・ストーリー。
ついこの前、豪放磊落な葛飾北斎を演じた内野聖陽さんだけど、今回はマジメで冴えない公務員役。振り幅がすごい。もちろん演技も。
小澤征悦さんが演じる敵の脱税王の腹立たしさもさることながら、味方チームに与する誰も彼もが詐欺を働く犯罪者たちなので、どちらと相対しても苦い表情をしている主人公が印象的だった。
否が応でも『オーシャンズ11』を思い出してしまうけれど、舞台は日本。税務署員が主役の作品も珍しい気がする。
