格言シリーズ:親のモカ
人未だ自ら致す者有らず、必ずや親の喪か
1.読み:ひと いまだ みずから いたすもの あらず、かならずや おやのもか
2.意味:
「人は普段、自分の本当の感情や内面をすべてさらけ出すことは滅多にないが、親の死という深い悲しみに直面した時だけは、偽りのない真情が自然と表れる」という意味の格言です。人は社会的な規範や理性で感情を抑えるが、親の喪失という極限状況では、利害や形式を超えた「誠(まこと)」が自発的に現れる。儒教の「孝」と「誠」の思想を背景に、親子の絆の深さと人間の本質を鋭く洞察する教えです。
3.出典:『論語』 子張篇 19:17
紀元前5世紀頃から戦国時代に編纂。孔子(紀元前551年~前479年)の教えを、弟子の曾子(紀元前505年~前435年頃)が伝え聞いたものとして記録。
4.原文と独自の翻訳
曾子曰:「吾聞諸夫子,人未有自致者也,必也親喪乎。」
Zēngzǐ yuē: Wú wén zhū fūzǐ, rén wèi yǒu zì zhì zhě yě, bì yě qīn sàng hū.
曾子(そうし)曰(いわ)く、「吾(われ)諸(こ)れを夫子(ふうし)に聞けり。人(ひと)未(いま)だ自(みずか)ら致(いた)す者(もの)有(あ)らざるなり。必(かなら)ずや親(おや)の喪(も)か。」
曾子が言った:「私は孔子先生からこう聞いた。『人は自らの真情を自発的に、そして極限まで出し尽くすことは滅多にない。それは親の死という場面でなければ起こらないだろう。』」
解説:
「自致」とは、感情や本性を極限まで表現し、内面を完全にさらけ出すこと。儒教の「孝」と「誠」を背景に、親の死という深い悲しみが、社会的な抑制や建前を超え、親子の絆の絶対的な深さから生まれる最も純粋な人間性を表出させることを強調している。
