福島原発事故14年展
「福島原発事故14年展」が3月28日(金)に「かながわ県民センター」1階展示場で始まった。写真、資料パネル、ミニ講演、トークなどを交え、市民の目線で考える展示・集会だ。
4月3日(木)まで。毎日午前10時から午後6時。
ハイライトともいえるのが「豊田直巳写真展~消される風景、消えない放射能」だ。事故直後と十数年後の対比からみる被災地の姿を展示している。
フォトジャーナリスト・ドキュメンタリー映像監督の豊田さんは1983年よりパレスチナ・中東の取材を始めた。
主な受賞歴は産経児童出版文化賞受賞(2019年)や平和・協同ジャーナリスト基金賞奨励賞(2003年)。
豊田さんが事故の数日後に撮影した田村市での「孫の安全のため被爆量の検査を受けている女性」の写真や、また事故から7年経った双葉町、飯舘村、浪江町津島などの写真が並ぶ。
2022年11月22日に撮影された双葉町の中間貯蔵施設内また同日の大熊町の中間貯蔵地内(家の中の仏壇)も静かに迫って来る迫力がある。

訪れた人が原発および事故について知識を得られるように工夫したパネルが展示されているー核の開発と原発の歴史、地震と原発、ほうしゃのうのきほんのき、甲状腺がん、原発裁判、横浜市への影響など。
多角的に核・原発の問題が網羅されている。
中心となっているのが「福島の復興を考える」だ。
その展示には「汚染土はどこへ 中間貯蔵10年」「汚染水は大丈夫か? 海洋放出から1年半」「だれのための学校ですか―大熊町立学び舎ゆめの森を訪ねて」「福島イノベーション・コースト構想」というトピックがある。


そしてとりわけ目を引くのが画家・山内若菜さんによる大作「神々の草原トリニティ」だ。
先日、ニューヨークで開かれた核禁止条約締約国会議の会場において、若菜さんが1954年のビキニ事件で死の灰を浴びた第五福竜丸を屏風に描いた作品が展示されたことが話題になったばかり。
米国によるビキニ環礁での水爆実験によって第五福竜丸は被爆して、船員たちにはしばらくして亡くなった者もおり、後遺症に苦しんだ。また、ノーベル平和賞を受賞した被団協が発足するきっかけともなった。
若菜さんは福島原発事故によって汚染された牧場で死んでいく牛たちを見て、それを自らがブラック企業で働かされていた時の記憶と重ね合わせて、それ以降、福島に通って原発と命をテーマに作品を描き続けている。
そして福島のみならず、前述のビキニ事件そして広島、長崎など核・原発をモチーフにした深みのある作品を制作している。

歌人・三原由起子さんのコーナーもある。
三原さんは東京電力福島第一原発が現在立地する福島県双葉郡浪江町出身。311の時は勤め先である東京・原宿のビルの6階にいたという。
その時、三原さんは地震よりも何よりも原発すなわち放射能のことが気にかかったという。その時の記憶から生まれた短歌から第一歌集のタイトルはとられているー「ふるさとは赤」(本阿弥書店)。
三原さんは学生時代から短歌を詠んでいるが、311は彼女の作風に大きな変化をもたらしたといえよう。
その後、それまで主体だった家族や故郷などに加えて、原発や復興などについても鋭い短歌を詠み続けている。

