2・19原子力規制委会見
九州電力玄海原発(佐賀県)で放射性物質を含む水が漏れて作業員にかかるという事案が続出していることについて、原子力規制委員会の山中伸介委員長は2025年2月19日(水)の定例会見で手順と装備の適切化を図っていく必要があると話した。
最初にこの種のトラブルがあった時に対策が取られずに、その後同様の事案が続出したとの指摘が記者からあった。
山中委員長は「まず一つは手順上のミスで、放射性物質を含む水が飛散するような手順で作業をしたということ。もう一つは水が飛散する可能性があるので、防護、装備についてきちんとするということ」だと話した。
それらのことがきちんとなされていたら、「万が一のことが起こっても作業員が被ばくするトラブルは生じなかったと思っています」。
背景に安全文化の劣化?
この日の原子力規制委員会で相次ぐトラブルの背景に「安全文化の劣化」があるのではと発言があった。その例の一つとして挙げられていたのが関西電力美浜原発3号機(福井県)における劣化対策。
「伴(信彦)委員から美浜原子力発電所3号機で通常エポキシ樹脂でコーティングされているところ、劣化したところをエポキシ樹脂で補修したのは安全文化の劣化だとの指摘があった」と山中委員長。
さらに山中委員長は「私自身は技術的な判断ミスがあったと理解していたところです・・・(しかし)何か期間を短くしようとか費用を削減しようという目的があってエポキシ樹脂を使ったとは考えていません。あくまでも現場の判断だったとの理解です」と付け加えた。
福島原発の処理水保管タンクの解体
東京電力福島第一原発の処理水を貯めていたタンクの解体に関して、解体する際に「J9」というエリアではタンク自体を除染をせずに解体し、処理する前の水が保管されている「J8」エリアでは必要ならば除染してから作業をするとされている。
この点について記者から質問があり、事務方から「タンク解体前にろ過水でタンクを洗って除染して汚染がないことを確認してからタンクの解体を始める。そもそも解体というプロセスにはろ過水による除染が含まれている」との説明があった。
またほかの記者からは、タンク解体計画には発生するがれきの量について記載があるものの、いつまでに解体するなどの期限について書いていないのは法的に問題があるのではないかとの指摘もあった。
タンク内の処理された汚染水は順次、海に放出されている。そのため空いたタンクについては解体してゆく方針。解体後に空いた敷地は今後の作業で必要な資材などを置くスペースにする予定だ。
水素製造装置の危険性について
国立研究開発法人日本原子力研究開発機構の大洗原子力工学研究所(茨城県)で実施される熱利用試験計画で水素製造装置の設置が予定されている。この日は原子力規制委員会で同機構との意見交換が了承されたところ。
記者から「水素製造の危険性」についての質問があった。
それに対し山中委員長は「水素ガスは通常の原子力発電所でも一般的に使われているなかで、試験的に製造するプロセスに新たに組み込まれるということ。水素ガス特有の爆発の問題と原子炉に与える影響をきちんと評価したうえで、どこからどこまで原子炉等規制法でみないといけないのか審査の中で確認していかないといけないと考えています」と述べた。
水素製造装置はあくまでも研究施設だとの認識も示された。
一般の水素製造施設には高圧ガス保安法が適用されるが、そうでない場合、原子炉等規制法の管轄になる可能性がある。
訓練における課題は屋内退避最終報告に反映
先日、九州電力川内原発(鹿児島県)において原子力の総合防災訓練があり、山中委員長も参加した。「多数の家屋が倒壊した状況、あるいは孤立化した集落があるという状況を設定して行われた訓練だった」。
山中委員長は課題があれば、来月末までにまとめられる「屋内退避のあり方」についての最終報告書に反映されるとの考えを示した。
先日最終報告書案が出された。屋内退避期間を原則的に3日間とすることや食料などの問題がある場合は一時外出を認めるなどの内容。議論されたが了承には至らず、来月末までに最終的にまとめられることになっている。
IAEAのグロッシ事務局長が来日
あとIAEA(国際原子力機関)のグロッシ事務局長の来日について、山中委員長は同事務局長は柏崎刈羽原発を訪れ「セキュリティ上、これまでIAEAがレビューしてきたことの確認をされた」と聞いているという。
また、「グロッシ事務局長は自ら(ALPS処理水を放出した)海水の採取をされたと聞いています」と話した。
「ALPS処理水の海洋放出については順調に進んでいることですし、国際的にこの点について対外発信するとともに客観的なモニタリングをしていただくことは大切です」。
昨年8月、原発にたまった放射能汚染された水を処理した、いわゆるALPS処理水の海洋放出を始めた。
これに対して中国は反発、海水などを独立して採取することを求めていたが、今回、IAEAの枠組みの中で中国も試料採取に加わった。
ALPS処理水の海洋放出の「安全性については従来から問題ないと話しているところで、この点について国際的にご理解を頂くことの必要性は非常に感じていますので、いろいろな国の方に入って頂くことはけっこうなことだと思っています」と山中委員長は述べた。
