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スリランカ人男性収容解除へ

 2025年11月、入管から難民認定申請が不認定とされて同12月21日からはいつ強制送還されてもおかしくない状態におかれていたスリランカ人ナヴィーンさんは今年7月14日に突如、入管に収容されてしまった。
 ナヴィーンさんは母国スリランカで政治活動を理由に命が危険にさらされた経験があり、そこから逃れるために2004年にまずは留学生として来日し、以降日本でパートナーのなおみさんらとともに暮らしてきた。
 ところが、学費が着服されたことをきっかけに日本語学校が倒産し、入管に行くも適切な案内がなく、その後留学生ビザが切れてオーバーステイとなったことで在留資格を失い、難民申請をしてきたが認定されずに、3度収容され、現在、命にかかわるほどのうつ病を患っている。
 そんなナヴィーンさんを入管は収容したが、2日後の7月16日、入管はナヴィーンさんが表明していたような自主帰国に道を開く「監理措置」に置くことを決定して、早ければ同17日にも家に帰れることになった。
 監理措置とは、監理人のもとで監視を受けながらの生活を認めるということだ。そのもとでナヴィーンさんは自主帰国の準備をする。

 ある支援者が「ジェットコースター的変化」が起きたと話した7月16日(木)、参議院議員会館101会議室で緊急院内集会「スリランカ人ナヴィーンさんの収容に抗議し、一時的な仮放免を求めます」が開かれた。
 主催者「一般社団法人・反貧困ネットワーク」によると、この日の集会には103名が参加し、そのうち報道関係者が18名だった。
 まだまだハッピーエンドとはいえないものの、当面の懸案だった強制退去を免れて収容から解放されて家に戻る見通しがたったことを祝って、今回の件で尽力しているラサール石井参議院議員(社民党)からナヴィーンさんのパートナーなおみさんに花束が贈呈された。

左から反貧困ネットワークの金澤伶さん、なおみさん、ラサール石井参議院議員、同ネットワークの瀬戸大作事務局長と外国人支援担当の原文次郎さん、福島みずほ参議院議員、山添拓参議院議員

 なおみさんは「監理措置が認められると決まり、明日、自分の家に戻れることになるという嬉しい知らせが入りました」と言った。同時に「本人は体調が凄く悪くて収容に耐えられないのに、そのまま収容したのは、私は許されないと思っています」と憤りを露わにした。
 また、二日間収容したことに何の意味があるのかとも述べた。
 支援団体の一つ反貧困ネットワークの瀬戸大作事務局長は大きな問題が2点あると指摘した。一つは入管職員の間で情報共有がなされていなかったことで、もう一つは入管がナヴィーンさんの体調を全く顧みなかったことだ。
 ナヴィーンさんは6月17日に入管に出頭した際に、自主帰国する意思を入管職員に伝えて、ナヴィーンさんは自主帰国に必要な書類を受け取り、入管側としては次の機会に書類を提出することを承知していた。
 ところが、7月14日に出頭した際、前回自主帰国する意思を伝えたことを、その日、対応した職員は「知らない」と言って用意した書類を受け取ることもなく、入管はナヴィーンさんを収容してしまったのだ。

マイクを持つ瀬戸大作・反貧困ネットワーク事務局長

 もう一つの大きな問題は、ナヴィーンさんの深刻な健康問題に対し入管が適切に対応しなかったこと、というよりはそもそもそういう状態にあるのに収容してしまったことだ。この春、診察をした内科医によると、右頸部リンパ節が腫れており「壊死性リンパ節炎」を患っているという。
 この病気は過労やストレスからリンパ節が腫れ、喉も腫れて飲み込みが悪くなることから食事がとることが難しくなるという。
 また、ナヴィーンさんは先行きが見えない不安などから深刻なうつ病も患っている。血圧も200を超えるような高い数値だ。
 面会をした「外国人とともに未来を・埼玉の会」の菊地恵子さんによると、ナヴィーンさんの血圧は一時215と彼が言うところの「最高値」を示すぐらいの状態になっていたという。
 そして、食事が出来ないナヴィーンさんが唯一口にできる、流動食「エンシュアリキッド」は本来一日3本必要なところを、入管施設では十分与えてもらえなかった。

「外国人とともに未来を・埼玉の会」の菊地恵子さん(右)と支援者の一人、作家の中島京子さん

 ナヴィーンさんが自主帰国を選択した主な理由は、仮に強制退去となった場合、日本には5年間入国できなくなるが、自主帰国の場合には1年で再び日本にやってこられるということもあった。
 スリランカへの自主帰国が認められたものの、ナヴィーンさんはこれまでの人生の大半を日本で過ごしてきたことから、スリランカで果たして生活を送れるのか、という当然の疑問がある。
 「外国人とともに未来を・埼玉の会」の小野澤隆司さんはナヴィーンさんは「人生の大半である22年間を日本で仮放免という不安定な状態で過ごし、これから帰って、ゼロからではなくマイナスからのスタートとなります。彼の生活基盤がそこにはないからです」と話す。
 「安定した生活基盤を向こうで作っていく条件」としては渡航費など費用の問題があり、また監理措置の手続きにも30万円かかる。「それも含めて向こうでの滞在支援も必要になってくる」と小野澤さんは訴えた。

「外国人とともに未来を・埼玉の会」の小野澤隆司さん

 瀬戸さんは入管は具体的なことを尋ねても「一般的に個別案件には答えられない」の一点張りだったことを指摘し、「今回、個別案件をひっくり返した・・・個別のことを一件一件つぶしていって、ひっくり返していく。我々の運動の在り方として。あきらめてはいけない」と力を込めた。
 ナヴィーンさんが自主帰国できるように収容を解除し、強制退去しないようにと平口洋法務大臣と丸山秀治出入国管理庁長官に提出した要望書に名を連ねた国会議員のうちの一人、山添拓参議院議員(日本共産党)は「今回のことはいわばみせしめです」という。

右から山添拓さん、福島みずほさん、ラサール石井さん(いずれも参議院議員)

 「抵抗し、難民申請を繰り返し、居残ろうとする者は、家族がいようと、健康状態がどうであろうと、どんな理由があっても、強制送還の道に乗せるのです。東京入管にわざわざ収容しなければならない理由はなく、確信犯としてやっています」と山添議員は述べた。
 「結局、煮るも焼くも入管のさじ加減ということが、法制度があるにもかかわらず起こっているのです」と付け加えた。
 なおみさんは今回のナヴィーンさんの収容についても「外国人に対する排斥やヘイトといったことが国をあげて起こっている、その流れの中で起こっていることです。入管はそれに輪をかけてひどいことをやると、高市政権になってから、それを強く感じています」と述べた。

思いを語るなおみさん(左から2人目)


 

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