見出し画像

3・4原子力規制委会見

 中部電力が浜岡原発(静岡県)の耐震設計について重要な「基準地震動」のデータを不正に操作していた事案について、会社側と規制当局側の認識に「齟齬」があることが明らかになっている。
 原子力規制委員会での報告では中部電が基準地震動を策定した手順書のようなものはなかったとされているのに対して、中部電の林欣吾社長は記者会見で「一連の記録」はあり、「調達管理プロセスの中でチェックしていた」と発言しており、両社の説明が食い違っている。
 同委員会の山中伸介委員長は「けっこうギャップがあるなという認識です」と述べたうえで、「何らかの手順書があるなら、検査の中で確認できると思う。今後の検査の結果を待ちたいと思います」と話した。
 「不正の範囲とか関わった人がどのような範囲になるか事実確認してほしいと検査官に指示しているので、本件についても書類があるならば確認して報告あるものと考えている」。

柏崎刈羽原発への追加検査
 同日、同委員会は東京電力柏崎刈羽原発(新潟県)の文書管理の不備に関して追加検査を行うことを正式決定した。
 山中委員長は「追加検査の中心はやはり文書管理に関して、どうしてこのような(不正な文書の扱い)ことが個人的に行われたのか、原因究明と是正措置についてしっかりと調べてほしい」と要望した。
 この件についての報告書が今年4月6日に東電が提出する予定となっているので、「その内容に基づいて検査をしっかり遂行してもらえるようにと思っているところです」。

核のごみ処分場候補地申し入れを評価
 経済産業省が高レベル放射性廃棄物「核のごみ」の最終処分場の候補地として東京都小笠原村の南鳥島に文献調査を行うよう申し入れた。山中委員長は一技術者としてと断りつつ「高レベル廃棄物処分場候補地がたくさんあがってくることは好ましいことだ」とした。
 「いろいろな候補地を比較しながら最も適した場所を探していくことは好ましい取り組みだと認識している」
 さらに南鳥島は「太平洋プレートにのった場所なので適地の一つになるだろうと一技術者として判断しているところ」だと述べた。
 山中委員長は「国が主体的になって住民との対話を進めるなかで適地を探していくことが一番大切だと考えている」と付け加えた。

本格的デブリ取り出しにはもうワンステップ必要
 東京電力が福島第一原発2号機で用いる予定のロボットアームを公開したことを問われて、山中委員長は「ようやく釣り竿型の取り出しでなくもう少し経路広げるとか重量作業が出来るような装置が出来つつあるのは非常に好ましいこと」と述べて評価した。
 「まずは経路の設定と全体像の観察をしっかりと行って頂いたうえで、いくつかのデブリを取り出せればいいなと・・・デブリの取り出しは職員の被爆を伴うので難しい側面あるが、この点十分注意して進めてほしい」
 「おそらく今回用いるロボットアームは国産品ではないし、実際に炉内で使っていくなかでいろいろな問題点が明らかになっていくと思う」
 「その中で新たな道具をこれから設計して、次の次の本格的な取り出しに向けてのもうワンステップ必要になると推測しており、そのための基礎データを撮って頂ければと考えているところです」

廃炉作業目標が1,2年ずれる可能性
 東電は、2028年度中に福島第一原発の廃炉作業を進めるにあたって固体廃棄物については建屋の外に出して保管する目標となっている。。
 「まず廃棄物について分析して分類してきちんと保管する。建屋の外で、本格的な廃炉作業、デブリの取り出しに向けてきちんと準備してほしいとお願いしたうえで、10年後を見越したリスク低減マップを作成してもらったわけです」と山中委員長は話した。
 原発事故で発生する汚染水のセシウムなどを吸着するゼオライトの取り出しが様々な落下物があることで進んでいないなど、それぞれの作業で不測の事態があって「1年、2年のずれが出てくる可能性はあるが、全体として比較的前に進んでいるという印象を持っている」。
 まずは10年間のリスク低減マップに沿って東電には作業を進めていってもらい、そのあとでどう作業をするかということについては規制当局が東電と対話をしていく必要があるとの認識を示した。

九電担当者へのどう喝的発言を陳謝
 原子力規制庁の検査官が九州電力川内原発(鹿児島県)の担当者に対して高圧的でどう喝的な発言があった件に関して、山中委員長は「極めて遺憾で重く受け止めている」と謝罪した。
 「規制当局と事業者は安全を追求するうえで技術的に対等の議論を交わすべきであると常々指導しているところなので、今回このような事案が起こったということで私自身反省しているところです」
 「我々規制当局はバックフィットという強い権限を持った組織ですが、それはあくまでも科学的、技術的裏付けがあって初めて遂行されるものだと考えています。感情的言動とか立場を利用した威圧的態度は規制への信頼を根本から失ってしまうと考えているところです」。
 自らを律して謙虚に論理的でならねばならないとも付け加えた。
 今回の事案を受けて、規制当局として新たに米原子力規制委員会(NRC)が作っているようなコミュニケーションの定義や在りようなども盛り込んだガイドを作る必要があるとの考えを山中委員長は示した。
 「コミュニケーションや対話というのは次期中期目標の中でも大切に考えているところなので、文書化して作る必要があると考えている」。
 

いいなと思ったら応援しよう!