7・30原子力規制委会見
2025年7月26日(土)夜に九州電力玄海原発(佐賀県)上空に未確認の飛翔体が侵入したことについて、原子力規制委員会の山中伸介委員長は同30日(水)の定例会見で、原子力規制庁と九電の間での情報共有に「非常に問題があった」と述べた。
山中委員長は、そうした齟齬が一因で国民への広報が遅れたとの認識を示した。同時に、今回、安全上の問題およびセキュリティ上の問題の可能性があったことも理由であることを示唆した。
飛翔体の侵入について九電の現場で確認されたのが同26日午後9時頃で、約50分後に原子力規制委員会に連絡が入ったという。
このタイムラグに関して、「より速やかな連絡の方法を考えて頂いた方がいいと考えています」と山中委員長は話した。
当初、九電から「ドローンと思われる光る物体3つが飛行しているのが確認された」として「核物質防護情報」の通報があったが、結局、ドローンとは特定できずに、訂正された。
およそ2時間ほど飛行していたといわれている。
また記者からは、「設備に異常なし」「放射線量の上昇もなかった」との発表のタイミングなどにも疑問が呈された。
山中委員長は「情報の発表のありようについては課題があると私自身は認識しています。特に九州電力と規制庁の間での情報共有の在り方については非常に問題があったと考えています」という。
関係省庁と連携しながら対策強化を検討中
山中委員長によると、規制庁は現在、関係省庁と連携しながら、ドローンの飛来を含めテロ対策強化について検討を進めているところだという。
さらに、警察、自衛隊、海上保安庁といった、対応が出来る機関も含めての検討も進められており、現在も活動中だと述べた。
ドローン自体が仮に衝突したとしても原発の安全にとって特段問題ではないというが、武器が積まれていた場合には別次元の問題になるという。
今回、スクランブルがかかったかどうかは、セキュリティ上、明らかにできないとのこと。そして今回の飛翔体がドローンなのかも含めて、何が起きたのかはまだ分かっていないという。
ただし、ドローンの法的規制の在り方について検討されているという。
こうした事態が今後起きた場合に「速やかに検知をする、あるいは検知する方法等をしっかりと協議して強化していく」決意を述べて国民の不安を払拭すべきだと山中委員長は考えていると話した。
セキュリティ情報であっても「一定程度公表する」とマニュアルにも記されているものの、今後「核物質防護情報」が公表されるかどうかは「ケースバイケース」になるだろうと山中委員長は話した。
そして山中委員長は「結果として安全上の懸念はないというのがお伝えできる確実なこと」だとして、特に今、「ハイレベルな警戒態勢を取っているわけではない」「通常の警戒態勢」だと述べた。
泊原発3号機が安全審査合格
原子力規制委員会は同30日の定例会合で、北海道電力泊(とまり)原発3号機について安全審査合格を正式に決定した。
規制委員会は、厳格な安全対策を求めて福島第一原発事故後に導入された新規制基準に適合しているとして今年4月に審査書案を了承していた。
審査には10年以上要した。地震、津波に関する審査、とりわけ「敷地内断層に活動性がない」ことの九電の立証に時間を要したからだという。
パブリックコメントには、かなり技術的な意見も含めて、多数のコメントが寄せられた。海底活断層の長さの評価についても疑問の声があった。
専門家の意見では海底活断層の長さを70キロとしているものもあったものの、審査においては22.6キロで妥当とされた。
音波探査で活断層がないとの結果であったので、規制委員会としては「出来るだけ保守的」な「科学的判断」をしたと山中委員長は話した。
現在、北電は地元同意を条件に早期の再稼働を目指している。
再稼働のためにはさらに防潮堤の整備が必要とされている。
また、津波漂流物によって燃料等輸送船が着岸出来なくなるのではないかというのも大きな課題であった。
輸送船に積まれる輸送物については規制委員会の範疇となる。一方で、港湾が発電所の付随施設の場合は発電所の審査対象に含まれるが、発電所外に作られる場合は発電所の審査とは別個の対応になるとの説明があった。
燃料デブリ大規模取り出しの遅れ
東京電力は同29日、福島第一原発事故で溶けた核燃料(デブリ)の大規模取り出しの開始が当初目指していた2030年代初頭から2037年度以降に遅れると発表した。これは隣接する建物の解体やデブリの取り出し工法の検討を進めるため時間がかかるからだという。
山中委員長によると、3号機におけるデブリの取り出しが、考えられていたよりも「かなり遅れる」。技術的な様々な課題が明らかになったことで「具体的スケジュールが見通せるようになったため」の変更だという。
ロードマップ改訂が提案されたことは「問題だとは思っていない」と山中委員長は話した。そして、デブリ取り出しは原発のサイト全体のリスク低減のためであるという従来の説明を繰り返した。
燃料デブリの再臨界の可能性については「可能性は非常に小さいが、可能性がゼロではない」と山中委員長は答えた。
導入が検討されているデブリの取り出し工法については、まず固めたデブリを上部からアクセスして一旦溶融物などを下部にまとめて落としてから横方向(海方向)から取り出していくという。そのために海方向に位置するタービン建屋を壊すことになると東電は説明した。
福島第一原発1~3号機では推計でおよそ880トンの燃料デブリがあるとされる。これまでに2号機で燃料デブリの2回試験的取り出しを行い、計0.9グラムが採取され分析されている。
1号機についても2,3年のうちに取り出しが始まるという。
現在の廃炉のターゲットである2051年については「住民との約束であるので東電もその目標を守るとしており、それは守られると思う」と山中委員長は述べた。もしそのスケジュールを変更する場合には住民に十分な説明をしてからだと付け加えた。
