売場は平等で、残酷

本屋が好きで、本のある生活について理想を書いているわたしですが、仕事では、本を棚から抜き取って返品する作業もしています。

本屋の売り場は、平等で残酷です。有名な人の本でも、動かなければ棚から下げ、無名の人の本でも、動けば棚に残ります。書店員の好みや感情では、どうにもなりません。

新しい本は、毎日たくさん入荷します。単純計算でそこから売れた冊数を引き算し、余った数は返品しないといけない冊数です。売り場には限りがあります。

書店の売り場は本の世界の
自然淘汰みたいな場所です。

本の返品にはハンディーターミナルという端末を使いながら行います。書籍のバーコードを読み取り、在庫数、発売日、入荷日、売上冊数、返品履歴、ランキングなど、いろいろな情報を確認します。

人気の著者の本、何度も再入荷している本、入ったばかりの新しい本は、そもそもハンディーを当てません。棚に残ります。

ハンディーを当てるのは、一冊しか本を出していない著者の本だったり、少し背表紙が色褪せてきた本だったり、長い間そこにいる本だったりします。
出版社も確認します。中には返品できない出版社の本もあるからです。

そして最後は、データではなく「勘」です。
この流れは、感覚的には1秒。タイトルを見て、背表紙を見て、今この棚に必要か、手に取られるか、それともこのまま埋もれていくかを、申し訳ないけれど判断します。つまり、タイトルはめちゃくちゃ大事です。お客様に手に取られるためであり、書店員から返品対象にされないための、生存戦略の要です。

そしてバーコードを読み取り数字を確認します。
淡々と棚から抜き取ります。がしかし、本には情もあります。「ごめんね」と毎回小さく心でつぶやきます。

過去に自分が関わった本や、知り合いの方の本を売場で見かけることもあります。そういう本は個人的な気持ちが入ってしまって、抜きづらいです。
しかし他の書店員は、その本の個人的背景は知りません。平等に、同じように判断していきます。

残っている本は、「選ばれた本」で、
抜かれていく本は、「選ばれなかった本」。

最後に棚に残るかどうかは、書店員の気持ちではなく、その本が持っている力です。

売場は、残酷で、平等な場所です。
今日も息を吸って吐くように、新しい本が並び、同時に本が返品されることで、限られたスペースの中で新鮮で魅力ある品揃えを保っています。

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