薬剤師の理想を叶えるテクノロジー:仕事の「奪い手」から「仲間」へ
この記事は、stand fmで配信している音声番組「薬屋たいぞーの『薬学で患者を語る』10分講座」の文字起こしです。
音声で聴くのが難しい方や、内容をじっくり読み返したい方に向けて音声配信の内容を文章化しました。
薬剤師の余白を生み出すテクノロジーとの協働
こんにちは。「薬学で患者を語る薬剤師たいぞー」です。私は日頃、薬局で薬剤師として在宅医療や外来患者対応に従事する傍ら、社内での新人育成、研修の企画・講師も務めています。また、現場での経験や学びを多くの方と共有するため、勉強会やセミナーを開催したり、講演会の講師としても活動しています。
薬剤師の「余力」を生み出すための提言
以前の放送では、薬剤師がもっと薬学で患者を語ることにエネルギーを注げるよう、調剤機器の導入や薬剤師以外のスタッフへのタスクシフトを考えていくことの重要性をお話ししました。
テクノロジー導入への不安と「防衛本能」
しかし、このような取り組みを進めると、よく「それって私たち薬剤師の仕事を奪ってしまうんじゃないの?」という声や、「機械に任せるくらいなら自分でやった方が早いし」という意見が出てきます。この気持ち、実は私自身もよく分かります。
確かに、機械は人間よりゆっくりと動くため、自分たちでやった方が業務がスムーズに進むと感じることもあるでしょう。新しい技術や仕組みが導入される際には、自分の仕事が減ってしまうのではないか、自分の価値がなくなってしまうのではないかという不安が湧き上がってくるのは当然です。これは、ある種の防衛本能のようなものが働くのかもしれません。
テクノロジーは「敵」ではなく「仲間」
しかし、私はこうも考えています。テクノロジーは、私たちにとって「敵」ではないと。むしろ、私たちと一緒に働いてくれる「仲間」だと捉えてみることで、見え方が大きく変わるのではないでしょうか。
例えば、調剤過誤を防ぐための監査システム、散剤や水剤を正確に作成する調剤機器、一包化を進める分包機、入力補助のITツールなど、様々なテクノロジーが存在します。これらを使用することで、私たちの仕事が奪われるのではなく、それらに仕事を任せることで、薬剤師の「手」が空く時間、つまり「余力」が生まれるのです。
そして、この「余力」は自分たちの価値を失うものではなく、別のことに使っていく可能性を生み出すものです。
「余力」が拓く、薬剤師の新たな役割
では、その「余力」を使って一体どんなことができるのでしょうか?
患者さんへの丁寧なフォローアップ:薬をお渡しした後、服用後のフォローアップを、より多くの患者さんに丁寧な時間をかけて行うことができます。
薬学的視点からの不調の原因究明:患者さんの不調を聞いた際、単に病院受診を勧めるだけでなく、その不調が服用している薬の影響ではないかと情報に基づいて深く考えたり、他の薬剤師スタッフと一緒に検討したりする時間が生まれます。
患者さんへのより深いアドバイス:本当は伝えたかったけれど、伝えきれなかった患者さんへのアドバイスや、患者さんとのより密なやり取りが生まれるかもしれません。
チームの強化とスキルアップ:新人育成やチームの情報共有、社内全体のスキルアップにもこの時間を活用できます。
このように、薬剤師として「もっとこうしたかった」「患者さんとこんな関わりがしたかった」という理想の仕事に、この「余力」を使うことで一歩でも近づくことができるのです。
テクノロジーとの「共同」が未来を創る
つまり、テクノロジーは私たちから仕事を奪うためにあるのではなく、**私たちの理想を実現するための「仲間の一員」**として捉えることができます。そう考えれば、「仕事奪ってくれてありがとう」という気持ちすら湧いてくるのではないでしょうか。
今ある仕事を「守る」ことも大切かもしれませんが、その先に**「もっといい医療」「もっといい関わり」を想像し、作っていく**ために、そして新たな仕事を生み出すためにも、私たちに「余力」を生み出してくれるテクノロジーと共存していくことが、これからの薬剤師には求められる視点です。
テクノロジーに任せられるところは任せ、自分にしかできない仕事に集中する。そのために、テクノロジーとは対立するのではなく、「共同」すること。これこそが、薬剤師の専門性を発揮するための「余白」を生み出し、未来につながるのだと私は考えます。
もし今、テクノロジーの進歩などに不安を感じている方がいたら、ぜひこう考えてみてください。「これがもし、僕の夢を叶えてくれる仲間だとしたらどうだろうか?」。そう考えるだけで、きっと景色が変わるはずです。
今日の放送が、あなたの現場の理想の未来を作るきっかけになれば嬉しいです。
それではまた次回の10分講座でお会いしましょう。「薬学で患者を語る薬剤師たいぞー」でした。さようなら。
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ここまで読んでいただきありがとうございます。
今回の記事はスタンドFMで配信している内容を文字にしたものです。音声で聴きたい方は、ぜひこちらからどうぞ。
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