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『詩性の探究100篇』 俳詩作品集

俳詩俳句集です。

「詩性の探究」をテーマにまとめました。

俳詩の作品とその詩情体験の良さを楽しんでいただけたら幸いです。

現代語・現代仮名遣い等を基本に書いています。

俳詩は「俳句を母体とした詩」という意味の個人的な探究です。


一篇ごとの詩情体験を
楽しんでいってください


『詩性の探究100篇』
俳詩作品集

「手」

雪は言葉背むけた街にふりつづく


集合的無意識──伸べた手にも雪


ホットワイン今世に酔いという光


ブロッコリー幻の鳥棲ませている


寒りんご愛情はキュビズムでした


「小春」

ただ小春おおげさなこと何もない


まだ無い言葉──南天の実が真紅


落葉焚きむかしばなしのあとの灰


瀬戸大橋 列車 窓 西 冬夕焼


オリオンの肖像星空のキャンバス


「秒針」

寒ゆうやけ──どの島も沈黙の色


ガス灯に雪舞うゆるしゆるされて


黙る目に雪たましいに雪しんしん


雪の夜の秒針、対話と違うはやさ


ヒト科ヒト属ヒトゆえ孤独冬の星


「原風景」

目にうかぶきみ目にのこる遠雪嶺


遠くちいさくふりむく鹿に雪無尽


原風景にいろづける筆雪しんしん


記憶の始まり記憶の終わり枯野星


ふりむかずしんと記憶の大地凍て


「声」

白鳥来る──北の沈黙つれて来る


鷹でもいい鳶でもいい、風がいい


冬の鳩ふとじんせいのあしもとに


水鳥のいのちの波紋 輪・線・凪


こえのこすそらに最後尾のつるが


「大三角」

灯のいえの屋根ごとふゆの大三角


ふゆぎんが漠然と指ししめされて


灯として地 星として天 聖夜劇


クリスマスツリー過去ほど新しく


詩人みな 鏡のなかに ふゆの月


「十年日記」

年の瀬を濁しつつひとながれ行く


十年日記重さがまぶしくて買わず


千々の灯にふる雪秩序たもちつつ


無為無心──餅の中より餅ふくれ


除夜の鐘令和をとおくとおく撞く


「塔頂」

初鳩か──あおぐ顔みな空のした


日だまりの地が手をひらく福寿草


光ごとこわれて雪のけっしょうが


寒すばるいくせんまんの星ぞらの


塔頂の花火ハッピーニューイヤー


「孤島」

マスクしてふと絶海の孤島に居る


雪 誰も耳にとめないこえをきく


冬銀河ひとはじぶんもわからない


坂 一灯 ニ灯 三灯 傘 氷雨


一つ一つきおくを燃やす寒木瓜が


「雪雫」

鶴たちの恋を彼方に都市暮れだす


ガス灯に幻の馬車ゆく───大寒


雪 神が死んだ市街に降りつづく


詩手帳にしみ入るひとひらの雪が


雪雫──じぶんの幸を生きたあと


「春愁」

羽根しんとうつるよ蝶の水飲み場


億年の地球、鳴き出すひばりの巣


カーテンが吹かれるように春愁は


はるのゆき理屈の街がしんとして


みなむねのかいだんのぼり春の星


「岬の町」

梅いちりん 季節を裏返すように


流し雛手はなすことのうつくしく


街 春が来ては天使のはしごさす


窓 頬杖 ペン先 抑揚 春の雪


春の夢──岬の町で暮らしていた


「雪の果」

ボートレース川がすべてを輝かす


屋根のうえの鳩羽ばたかす卒業歌


風船は未来、飛ばせばなおのこと


揚げひばりいま意識してする呼吸


そらからの視点よ街のゆきのはて


「窓」

初心 鳥雲に かぜ吹きつづく浜


とわに待つ岩──この浜の鳥雲に


窓を打つ虻、空爆のニュースあと


卒業 就職 時計まわりの観覧車


帰宅ラッシュ 駅に転がる春の靴


「桜」

ひとときが二千年めくはなふぶき


花見して微笑ひとひらふたひらと


夕桜───ひとりの胸に秘め名所


なにができるよ永別の夜のさくら


はなふぶき──基本的人権の尊重


「残雪」

わたたんぽぽ種重心に飛んでゆく


あのひとがむねに居る鳥雲に入る


落ちつばき執着 散りつばき解脱


エイプリルフール夕ぞらだけ誠実


とおぞらに浮く残雪のアルプスが


「千の自分」

また十字路──私もわかれ行く春風


しゃぼん玉ひと吹き 世界線分岐


ふぶきだすもしもの過去が花遍路


サイコロを振れば六つの世界 朧


黙 春灯 合わせ鏡に千のじぶん


「花種」

生き変わるために花種蒔いていた


落ちつばきあかいかげ得て水の上


春の鯉揺れるそらへと浮いて来て


うごかないじかんがながれ春炬燵


目──心──無意識世界──朧月


「鏡」

すずかぜの羽根ペンよ詩の飛翔力


ボート漕ぐ鏡いちまいひろがって


子鹿跳べ死に神ふりおとすように


すぐそばにある葬式もふうりんも


アイスティー歳月しんと結露して


「銀河」

父が降る祖父が降る土地ながれ星


ふかみゆく闇ふかみゆく銀河の淵


ながれ澄む水みずからを追つめて


乗せた手に痛み残してばったとぶ


すすきはらとぶ光子こうし数かぎりなく


終わり



◇解説・補足等

この俳詩作品集は、『俳句を母体とした詩』として、より深い詩性や現在を生きる自己の内面・問い・認識等の表現を模索しつつ、

「ふだん読み書きする現代日本語」を基本に、575の型、季語などを用いて書いた作品をまとめました。

詩を意識して書いた作品が中心です。

俳詩は、以前行っていた「一行詩的俳句」の取り組みを呼称を変えて引き継ぎ、発展させたものです。

「俳句」というジャンル自体を一行詩化するといった目的や立場はとっていません。

2024年〜2026年までにnoteに投稿した俳詩から100篇を選んで収録し、作品記録の一つとしてまとめました。


◇俳詩の大まかな解説

俳句を母体とした詩。またその作品や取り組みのこと。


◇俳詩の特徴と傾向について

下記は、俳詩について
現在模索中の状況をまとめた記事です



◇ 探究シリーズ ◇
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