「努力不足・自己責任」と言われ続けた就職氷河期世代|では、人手不足で苦しむ企業は誰の責任なのか
「人手不足で会社が回らない」
「若者が来ない」
「採用してもすぐ辞める」
「賃上げしたくても原資がない」
就職氷河期世代には「努力不足」「自己責任」と言い続けてきたのに、人手不足で会社が倒産しそうになると「社会問題だ」「賃上げは苦しい」と騒ぐ。このダブルスタンダードは何なんだろうな。人が集まらないなら、待遇や職場環境を改善する努力をするのが先。それこそ日本人が大好きな言葉で言えば「会…
— 黒澤春 (@kurosawaharu02) August 2, 2026
最近、このような声をよく耳にします。
もちろん、人手不足は日本全体の人口減少という大きな問題も関係しています。しかし、それだけで片付けられる話ではありません。
私が違和感を覚えるのは、就職氷河期世代に向けられてきた言葉とのあまりにも大きな温度差です。
氷河期世代には「努力不足」「自己責任」
就職氷河期は、求人そのものが極端に少ない時代でした。
一人の募集に何十人、何百人が応募し、真面目に勉強し、資格を取り、何社も受けても内定が出ない。
そんな状況でも、多くの人はこう言われました。
「努力が足りない。」
「仕事を選ぶな。」
「自己責任だ。」
景気や社会構造よりも、本人の努力不足として片付けられることが少なくありませんでした。
もちろん、中には努力不足だった人もいたでしょう。
しかし、社会全体として「個人の責任」に押し付けられた側面が強かったことは否定できません。
立場が変わると「社会問題」
ところが今はどうでしょう。
企業側が人手不足になると、
「人口減少だから仕方ない」
「社会問題だ」
「若者が来ない」
「採用難だから国が支援してほしい」
という話になります。
不思議です。
氷河期世代が苦しんでいた頃は個人の責任。
企業が苦しくなると社会全体の責任。
この基準の違いに、多くの人がモヤモヤを感じているのではないでしょうか。
本来、市場はとてもシンプル
人が集まらない会社には理由があります。
給料が低い。
休日が少ない。
残業が多い。
人間関係が悪い。
教育体制が整っていない。
ハラスメントが放置されている。
サービス残業がある。
こうした条件が積み重なれば、人は当然離れていきます。
一方で、同じ業界でも離職率が低く、応募が絶えない会社は存在します。
つまり、「業界だから仕方ない」で終わる話ではありません。
企業ごとの差が確実にあるのです。
人が集まらないなら改善するのが経営
市場経済では、商品が売れなければ改善します。
価格を見直す。
品質を上げる。
サービスを改善する。
企業は日々努力しています。
では、労働市場だけは違うのでしょうか。
人が集まらない。
辞める人が多い。
それなら待遇を改善する。
働きやすい職場をつくる。
教育に投資する。
管理職を育成する。
これも経営努力の一つです。
にもかかわらず、「若者が根性ない」「最近の子はすぐ辞める」で終わらせてしまえば、何も変わりません。
「賃上げできない」には理由がある
「うちは賃上げしたくてもできない。」
この声も理解できます。
物価高、社会保険料の増加、エネルギー価格の上昇。
中小企業ほど厳しい状況に置かれているのも事実でしょう。
しかし、それでも市場は待ってくれません。
給料が低い会社より、高い会社へ。
休日が少ない会社より、多い会社へ。
人は条件の良い職場へ流れていきます。
これは責める話ではなく、市場原理です。
だからこそ経営戦略が重要になります。
利益率を改善する。
価格を見直す。
生産性を上げる。
付加価値を高める。
そうした努力なくして、人だけ確保しようという考え方は長続きしません。
「人が来ない」のではなく「選ばれていない」
企業は求職者を選びます。
同時に、求職者も企業を選んでいます。
昔は会社が選ぶ時代でした。
今は会社も選ばれる時代です。
この当たり前の変化を受け入れられない企業ほど、「若者が来ない」と嘆いています。
しかし、実際には魅力ある会社には応募が集まっています。
つまり、人がいないのではありません。
選ばれていないだけなのです。
自己責任という言葉を使うなら
私は何でも企業の責任だと言いたいわけではありません。
労働者にも責任はあります。
無断欠勤をする人。
約束を守らない人。
努力を放棄する人。
そうした人まで擁護するつもりはありません。
ただ、「自己責任」という言葉を使うのであれば、その基準は公平であるべきです。
人が集まらない。
人が辞める。
応募が来ない。
それが長年続いているのであれば、一度は経営そのものを見直す必要があります。
すべてを若者や社会のせいにするのではなく、「自社は選ばれる会社になれているのか」という問いに向き合うべきではないでしょうか。
おわりに
就職氷河期世代には「努力不足」「自己責任」という厳しい言葉が向けられました。
それなら今、人材確保に苦しむ企業にも同じ視点が必要です。
待遇を改善する努力。
職場環境を良くする努力。
人を育てる努力。
そして、働く人から選ばれる会社になる努力。
人手不足は、単なる「若者不足」ではありません。
会社が選ばれる時代になったという現実です。
だから私は最後に、あえてあの言葉を返したいと思います。
「会社の努力不足、自己責任。」
もちろん、それだけですべてを説明できる問題ではありません。しかし、少なくとも「若者が悪い」「社会が悪い」と嘆くだけでは、何も変わりません。
人が集まる会社には、人が集まる理由があります。
その現実から目を背けないことが、人手不足を解決する第一歩なのではないでしょうか。
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