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家を建てる会社ではなく、文化を残す会社をつくる

家を建てる会社は数多くあります。

けれど「文化を残すこと」を目的に掲げる工務店は、どれほどあるでしょうか。

山口でひとり工務店を営む私は、
売上の拡大よりも、残る仕事を選んできました。

拡大を成功とする経営は、してきませんでした。

法人化した当初、
「まず道具を捨てて、経営に専念しなさい」と助言を受けました。
大工社長が最初に通る道なのかもしれません。

けれど私には、それが職人としての魂を手放すことのように感じられました。

つくる自由を失わないまま、経営する道はないのか。
そう考え続け、今に至ります。

刻み小屋を維持し、加工機械を残し、
設計を学び、構造計算を習得し、
新築では天乾材を手刻みしてきました。

遠回りかもしれません。

けれど、親方から引き継いだ木組みの技術を
次の世代へ渡すことができなければ、
この仕事を続ける意味はないと思っています。

社会への恩返しとは、
売上を伸ばすことではなく、
技術と誇りを絶やさないことだと、私は考えています。


技術30/姿勢70

家づくりにおいて技術は不可欠です。

しかし、育成において私が重視しているのは
技術30/姿勢70 という考え方です。

技術は磨くことができます。
けれど姿勢は、後からつくることが難しい。

・自分が施主だったらどう判断するか
・自分の子どもに説明できる仕事か
・自分が経営者だったら同じ決断をするか

この問いを自分に向けられるかどうか。

文化を継ぐとは、
技術の継承だけでなく、姿勢の継承だと思っています。


なぜひとり工務店なのか

私は拡大を目指していません。

施工範囲も、受注棟数も、意図的に制限しています。

それは規模を守るためではなく、
再現可能な育成構造をつくるためです。

大量施工ではなく、背中を見せられる現場をつくること。

スケールアップではなく、スケールアウト。
売上を積み上げるのではなく、
人を通して文化を横に広げていく。

その基盤を整えるための、ひとり工務店です。


10年構想

私が考えているのは、10年単位の設計です。

熟練大工がいて、
その背中を見て育つ若手がいる。

育った人材はやがて独り立ちし、
地域で必要とされる存在になる。

そしてまた、後進を育てる。

技術が継承され、
誇りが継承され、
文化が循環する。

家を建てて終わりではなく、
職人を育て、その先の地域まで設計する。

それが、くろき建築工房の役割だと考えています。


熟練大工の方へ

もし、下請けとして消耗するのではなく、
自分の名前で誇れる仕事をしたいと考えている方がいたら。

もし、技術だけでなく、
後進に何を残せるかを考えている方がいたら。

一度、現場を共にしてみたいと思っています。

採用を急ぐつもりはありません。
まずは2〜3件の現場を共にし、
価値観を確かめ合うところから始めたい。

戦力を探しているのではなく、
文化を担う人を探しています。


これは拡大のための計画ではありません。

文化を絶やさないための設計です。

この記録を、ここに残していきます。

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