ねずみを侮るな
今日は一日、書くことを探さずに過ごした。
夜のわたし(それはつまり、現在のわたし)に任せることにしたのだ。
そして今、あてもなく書き始めたところ。
そうだ。
本を読みたいとは思っているが、なかなか読めないことを知っているうちの人が図書館で選んでくれた本が、これ。
『語り聞かせたい 日本の昔ばなし』とある。
わたしは、まんが日本昔ばなしが震えるほど好きだ。
それを知って、借りてくれたのかもしれない。
まだ読み始めたばかりで29ページしか読んでいないけれど、もう10のお話を読んだ。
ひとつのお話が短くて、すらすら読める。うれしい。
『十二支の獣との話──ねずみ・牛・とら・うさぎ・馬・猿・犬』のねずみのところを読んでいる。
そして今日、これを読みながら(あ、これなにかお話にできるかも!)と思い、noteの下書きをメモ代わりにしたのを思い出した。
タイトルに「ねずみを侮るな」とある。
そして、本文にあるのは
穴で皆で歌い踊る
モグラ
この2行。
見てもなにも思い出せない。
メモするくらいだから、ナイスなアイディアだったのだろうに。(←うそ)
なんにも、思い出さない。かすりもしない。
今日のことだよ。
穴で皆で歌い踊る?
モグラ?
タイトル「ねずみを侮るな」?
洗濯物を干しながら「ふんふん」と歌う鼻歌が、徐々に熱唱になっていく隣の家のおばさん。僕が中学校へ登校しようとする頃にはだいたい熱唱に変わっていて、いつも頭の上から、シャウトが降ってくる。そのベランダを見上げると、今日のおばさんは、右手にピンクのひらひらを握りしめて『津軽海峡・冬景色』を歌い上げていた。目を閉じ、眉間に皺を寄せて、左手は天を招くようにしていた。
ピンクのひらひらの持ち主である隣のお姉さんは、大学でダンスを踊っているらしい。大学でダンスを踊るってなんだろう。勉強なのか、趣味なのかはわからない。このお姉さんとは、ほとんど会う機会はない。だけど、このあいだ僕が部活で遅くなったときには、6軒先の家の塀沿いをブリンブリンしながら横歩きしていた。手や頭や腰をブリンブリンしていた。塀に背を向けたり、逆に塀を正面に見たりしながら横歩きで、ブリンブリンしていた。
隣のおじさんは、モグラだ。
僕の父さんの組織に潜り込んだ。
いや、逆かな。
僕の父さんは、モグラだ。
隣のおじさんと同じ組織に潜り込んだ。
確か、そんな感じ。
どうやら父さんは、その組織の穴を掻い潜り
隣のおじさんとおばさんとお姉さんと、皆で歌い踊っているらしい。
それを密告したねずみが、──誰だと思う?
そう。僕の母さん。
今も炬燵で煎餅食べながらお腹を掻いていると思うけど、侮っちゃいけない。
──つづく──
うそ。
──つづかない──
実はもうひとつ、下書にメモしたのがある。
タイトル「ダイイングメッセージ」
本文「入力下手」
これだけ。これも、なにもわからない。
過去のわたしへ。メッセージ。
もう少し上手にメモ入力してください。
未来のわたしが、死にます。
おしまい。
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