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yukiyukisnowsan
犬小屋
田舎の古い家の庭に、もう犬のいない犬小屋をよく見かける。庭木は伸び枯れ草が立ったままの庭もあれば、花壇を設えて花を咲かせている庭もある。どちらにしても空気は動かない。空いた犬小屋は薄汚れて屋根が欠け土台が朽ちていても、そのまま置いてある。
わたしには室内犬がいる。先代も家の中に居た。あれほどかわいがったが、13歳だった。晩年飲んでいた薬は、にこやかな犬が印刷された皺々の紙袋に入ったままコーヒーメーカーの横の小物入れにあり、染みついたコーヒーの色が毎朝わたしの目に入る。最後水が飲めなくなったからシリンジで与えようと、あちこち探して手に入れたそれは、一度も使わないまま小さなコップに立っている。四つ脚の筋肉では足りないらしく頭を上下させて全身で歩くのだが、ふらっと壁にあたり、老犬の脂がちになった皮膚が擦れて寝室の珪藻土に影が乗ったように黒くなった。あったはずの影は徐々に薄れてきていて、今の犬が立派ないびきを立てている。
うちに犬小屋はない。
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