見出し画像

まったく奇妙じゃない物語


ドゥルドゥルドゥッ♪  ドゥルドゥルドゥッ♪
ドゥルドゥルドゥッ、ドゥッ♪  
ドゥルドゥルドゥ〜♪

「えぇ、そうなんです……。自分でも……あれは一体なんだったのか……。今でもよくわかりません──」




わたしは、ごく普通の、というよりも自分が普通かどうかなんて考えもしない、平穏な毎日を送っていました。何事もなく過ぎてゆく毎日に、満足もしていたのです。

「ぶっしゅぅ……」
朝、意識を取り戻した布団の中で、体に力を入れます。聞いたことのない音が口から漏れます。
「ぐっ、があぁあ!……」
こうやって、何事もなく始まる毎日。


それなのに……。この体は、いつの間にか“連続投稿”という得体の知れない……幻? 自分の化身……そんなものに悩まされるようになるのです。

──いえ、悩まされるということなどありません。今までと何も変わらないのですから。


ある日は、撮り溜めておいたお笑い番組を視聴します。一番リラックスできる時間かも知れません。何も変わり、ありません。

ただ──。
気に留めなくてはならないことが、ひとつ。

声です。家族からその話を聞いたとき、思わずわたしは「そんなはずはない!!!」と強く否定しました。でも、家族が実際に聞いたそうなのです。

……わたしの笑い声は、田畑を超えて100メートル先まで響き渡るのだそうです……。
そんなこと、あるのでしょうか……?
実際、犬の散歩で出ていた家族が、100メートル先でわたしの笑い声を──。


えっ……!?
こ、これって連続投稿とは、まったく関係がないんですか?
いいえ、そんなはずありません。日常深くまで入り込んだ連続投稿が、わたしの声を拡声器に通し、轟かせているのです。

何のためなのか──。

わたしの預かり知らぬところでしょ、それは。



どんな生活も1年も続けていれば、当たり前になるものです。自分が、憑かれているその自覚は薄れ、ただただ、それがまた“普通”のことになり変わっていきました。

どの瞬間にも、言葉が湧いては消え、目の前で起きていることと、頭の中の言葉がクロスするこの体を支えているのは、やはりこれまでと同じ景色です。

子供もなく、趣味もなく、一人でいることを楽しむばかりの日々に、書くことなどありましょうか。おかしなはなしです。書くこともないのに、毎日書き続けるなんて。そんなことを思うとき、あの“連続投稿”の影を見るのです。

書くこともないのに、書くというのは、一体どういうことなのか──。
おわかりになるでしょうか?

え? わたしには、わかりません。そもそも、わたしは書いているのでしょうか? わたしが、書いているのですか?

もしや、……書いているのは…………、あの幻影。
わたし、わたしじゃない。書いているのは────




──そしてまた、今日も思うのです。

何を……、何を……。

どのように……、どうやって……。

書こうかなぁ! って!!






「何もない日常の中に、狂気が潜んでいる──。誰でも考えそうなことを、また書こうとすることの狂気……。あなたの隣の人にも潜んでいるかも知れません。そして、あなたにも──」

ドゥルドゥルドゥッ♪  ドゥルドゥルドゥッ♪
ドゥルドゥルドゥッ、ドゥッ♪
ドゥルドゥルドゥ〜♪




#タモリさんの声で読んでほしいところがある




いいなと思ったら応援しよう!

くろいるすけ ◇お読みいただきありがとうございます◇心の糧です◇記事の購入に使わせていただきます◇部屋を彩る花になるかもしれません◇犬のおいしいごはんやおもちゃになるかもしれません◇いただいたお気持ちを大切にいたします◇