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右か左のない日|せりふ三題噺


書きたいけれど書けなくて
noteの散策を続けていた。

残り時間がどんどん少なくなる感覚に
焦る気持ちを
見えないように隅に追いやって。

note散策もずいぶん遠くまで来た。
どなたかのコメント欄で見かけた会話。
「初めての『書く』挑戦。できるかわからないけど……」
「挑戦するってワクワクしますよね」

そうか。
どうしてわたしは書けないと思っていたのだろう。
もう書き出してしまおう。




〔右か左のない日〕

うす黄緑と朱色とこっくりとした水色の縞々で ぽてっ とした体に長い足の蛙には、右側に座ってくれる人も左側に座ってくれる人もありません。大きな切り株に腰掛けて、長い足をぶらぶらとしていました。ぶらぶらもやり尽くしたために、別のことをしてみようと思いますが、なんだか空を見上げるだけでじゅうぶんな気がしてきます。

「天気は最高じゃないか。ぼくはおなかがすいているのかなぁ?」

誰も聞いてくれる人がないので、そんなこともわからなくなってきました。それでもその長い足をぶらぶらしているしかありません。

すると、山の上の方からびゅうと風がかけてきました。それと一緒に蛙の長い足は風下へぶらーんと流れます。

「はははは! おもしろいや。足がかってにこっちに向かうじゃないか」

そういうと、ぴょんと切り株から飛び降りました。また風が吹いて、一輪の空色のネモフィラがくるくるふわふわ飛んできました。蛙はそれを追いかけたい気持ちになりました。

「ちょっと待っていて!」

蛙は、切り株の根本にあった銀色の長い長靴をはきました。だれの長靴なのかはっきりしません。ネモフィラは少し先の小石の脇で待っているようでした。

「わあ、空から降ってきたのかい?」

かけ出しながら蛙はネモフィラにたずねます。ネモフィラは何も言わずに、ふわっと浮きました。

「ねぇ! ぼくも行くよ」

縞々の蛙もすこしふわっとしましたが、銀色の長靴をぶかぶかいわせてネモフィラを追いかけます。くちは半月のまま顔にはりついています。ネモフィラは蛙が遅れると、草の葉の下や蝶の羽の上に止まって待っているようでした。もう風は吹きません。

どれだけ走ったでしょうか。蛙の大きな目は、もっと大きく開いて呼吸します。それに長い足がからんで右か左かわかりません。

「ほんとにいたんだって! 体の細い子とか歌のうまい子とか、たくさんたくさん!」

とつぜんに大きな声を出しました。次の瞬間には、黒目がくるくるとまわって裏返り、とうとうパタンと倒れてしまいました。ネモフィラが連れてきたその場所には、細い背骨と顎の骨が落ちていました。





こういうの、好きです。

勢いつけて走りだしたら、
知らない景色にいました。

蛙は、いたと思います?




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お題は•••

■セリフ
「ほんとにいたんだって!」
■三題
・長靴
・ネモフィラ
・骨

でした!


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くろいるすけ ◇お読みいただきありがとうございます◇心の糧です◇記事の購入に使わせていただきます◇部屋を彩る花になるかもしれません◇犬のおいしいごはんやおもちゃになるかもしれません◇いただいたお気持ちを大切にいたします◇

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